Turbolinux 7 Workstation

中澤 勇
@IT編集局
2001/9/15
製品名: Turbolinux 7 Workstation
価格: 1万5800円
発売日: 2001年9月7日
販売元: ターボリナックスジャパン
URL: http://www.turbolinux.co.jp/

Turbolinux初のカーネル2.4標準搭載ディストリビューション「Turbolinux 7 Workstation」(以下Turbolinux 7)が発売された。開発時点での最新仕様の取り込みやデスクトップ環境整備への注力などが行われ、使いやすいクライアントOSに仕上がっている。

一新されたデザインとパッケージ構成
写真 パッケージの内容。6枚のCD-ROMと3冊のマニュアルが付属する

 Turbolinux 6はイエローを基調としたパッケージであったが、今バージョンではイメージを一新。ブルー系の涼しげなカラーになった。そのパッケージには、以下のものが入っている。

CD-ROM

 CD-ROMは全部で6枚。内容は以下のとおり。

  • Disk 1、2(Install CD)
    Turbolinuxのインストールに使用(バイナリ)

  • Disk 3、4(Source CD)
    Install CDのソース

  • Disk 5(Companion CD)
    ATOK X for LinuxやリコーのTrueTypeフォントなどの商用ソフトウェアを収録

  • Disk 6(Document CD)
    各種マニュアルおよびUser's Forum/users-mlのアーカイブを収録。アーカイブはTkNumazuで検索可能

マニュアル

 マニュアルは7種類あり、すべてDocument CDにPDFで収録されている。また、製本された紙のマニュアルが3冊付属する(*はDocument CD収録のPDFファイルのみ)。

  • インストールガイド
    GUI/CUI両モードについて各ステップごとに丁寧に解説

  • ユーザーガイド
    KDEやKOffice、メールクライアントなどの各アプリケーション、CannaやTurboToolsの使い方を解説

  • アプリケーションガイド
    ATOK X for LinuxやTrueTypeフォント、Acrobat Reader、RealPlayer 8の使い方を解説

  • Linuxベーシックガイド*
    「Linuxとは」から始まり、マルチユーザーやディレクトリ、X Window SystemなどLinuxの基礎を解説

  • コマンドガイド*
    Linuxでよく使われるコマンドを解説

  • サポートガイド*
    サポートについての解説

  • FAQ*
    「カーネルを再構築する方法」など、各種のFAQ

最新仕様&最新バージョンへの対応

 Turbolinux 7では、その開発時点で最新のソフトウェアや仕様を意欲的に取り込んでいる。順番に見ていくことにしよう。

基本システム

  Turbolinux 7 最新版(*)
カーネル
2.4.5
2.4.9
glibc
2.2.3
2.2.4
XFree86
4.1.0
-
RPM
4.0.2
-
GCC
2.95.3
3.0.1
KDE
2.1.1
2.2
GNOME
1.4.0
-
Turbolinux 7の基本システム
*2001年9月13日時点(安定版のみ)

 Turbolinux 7の基本システムはほぼ最新版に差し替わり、Turbolinux 6の面影はない。ディストリビューションの開発中にバージョンアップしてしまったパッケージもあるが、少なくとも現時点で最新版を最も取り入れたディストリビューションであることに間違いはない。

 カーネルが2.4であることはすでに触れたが、それだけでなくIPv6にも対応している点が目を引く。なかなか普及しないIPv6だが、徐々に導入も現実味を帯びてきているだけに、このことはもう少し注目されてもいいだろう。

 また、UNIX系OSのディレクトリ構造統一を目的とした標準仕様「FHS」(Filesystem Hierarchy Standard)の 2.1に準拠している()。そのため、前バージョンやFHS 2.1非準拠ディストリビューションとはディレクトリ構造が若干異なっている部分もあるが。初めは戸惑うかもしれないが、FHSが普及してくれば問題ないだろう。

注:同社によると、準拠度は「98%」とのこと。ちなみに、FHSはすでに2.2になっている。FHSについては、Linuxの常識 第2回参照。

クライアント向け初のMongoose投入

 Turbolinux Server 6.5から採用されたGUIインストーラ「Mongoose」が、Turbolinux 7からクライアント向けディストリビューションにも投入された。設定項目そのものはRed Hat LinuxやVineなどで使われている「Anaconda」と同じだが、使い勝手はMongooseの方が良好だ。USBマウスを初めから認識してくれるので、USBマウスを使ってインストール作業を行うことができるのもうれしい。

画面1 Mongooseの画面。関連する設定はタブで分類されている(画像をクリックすると拡大表示します)

画面2 同じくMongooseのパーティション設定画面(画像をクリックすると拡大表示します)

 ちなみに、従来と同じテキストベースのインストーラを使ってインストールすることもできる。起動時にGUIモードとCUIモードの選択が可能なほか、GUIモードへの移行に失敗した場合は自動的にCUIモードに切り替わってインストールを継続する。

 Mongooseで1点気になったのが、タブで画面を切り替えるようになっている部分があるところだ。さまざまな設定を無理に1画面に押し込まず、タブで項目を整理しているため画面自体は見やすいのだが、その一方で設定の見落としが発生する可能性もある。1例を挙げると、Anacondaではrootのパスワード設定と一般ユーザーのユーザー名/パスワード設定は1画面で同時に行うようになっている。Mongooseでは、rootのパスワード設定と一般ユーザーの登録はタブで分かれているため、タブをクリックしないと一般ユーザーの登録画面は表示されない。

 タブで分かれている項目の多くはデフォルト設定でも問題ないのだが、一応見落とさないように注意する必要があるだろう。

 
1/2

Index
Turbolinux 7 Workstation
Page 1
一新されたデザインとパッケージ構成
 CD-ROM
 マニュアル
最新仕様&最新バージョンへの対応
 基本システム
 クライアント向け初のMongoose投入
 製品版との微妙な違いと注意点
  Page 2
メイン環境はKDEに変更
Turbolinuxの特徴はTurboToolsにあり
すぐ使い始められるディストリビューションへ

Linux Squareプロダクトレビュー


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