第3回 メール環境はWindowsに負けないぞ

今回の主な内容
この文章はLinuxで書いてます
メーラーを選ぼう
Sylpheedをインストール
Sylpheedでメールを読んでみる メールを作成する
最後の問題は添付ファイル

宮原徹
2001/5/19

この文章はLinuxで書いてます

 連載も3回目にもなると、Linuxデスクトップ環境もだいぶ使えるようになってきた。その証拠に、第2回まではWindows上で書いていた原稿も今回はLinux上で書いている。筆者としては、こうやって原稿執筆環境をLinux上に構築するというのが1つのゴールだったので、その意味では「を、Linuxデスクトップ、使えるぢゃん」というところまではきているのではないかと思う。まあ、筆者の場合、ほとんどベタベタの平文テキストしか書かないので、Windowsなんかオーバースペック&ファンクションだし、場合によってはMobileGearあたりでもOKなんだけどね。

 そうはいっても、まだATOKの癖に慣れていないのでなかなか大変。特に、一番使う変換時の文節切り直しのカーソルキー操作がMS-IMEと違うのがちょっと困りものである。しかし、向かいの席に座っているDOS時代からのATOK使いいわく、「これが普通」だそうな。カスタマイズ機能でMS-IME互換にしようと思ったのだが、どうもATOKとMS-IMEでは変換時のカーソルキーの扱いの部分が違いすぎているため、キーアサインのカスタマイズ程度では対応できないようだ。結局デフォルトのまま進むことにした。そのうち慣れるだろう。

メーラーを選ぼう

 さて、筆者のようにたくさんの原稿を書かなくてはいけない人間は少ないと思うが、多くの人は毎日電子メールという形で長短の差はあれど文章を打っていると思う。そこで今回のテーマは「Linuxでメールを読み書きする」だ。

 Linux上で電子メールを読み書きする場合に使用するメールソフト(以下メーラー)は大きく分けて3つに分類できるだろう。

  • キャラクタベース
     elmpineといったメーラーが代表的。筆者も初めて電子メールを使い始めたときはelmを使っていた。telnetなどを使って、どこからでもメールを読み書きでき、大体のUNIXには用意されている(なくてもソースコードをどこかから引っ張ってきてコンパイルすれば使える)という意味ではオーソドックスなメーラーといえる。難点は、画面表示の限界からか、大量のメールを受け取るような場合にフォルダ別にメールを整理して、などというような使い方にあまり向いていないことだ。

  • Emacsベース
     エディタであるEmacs上で動作するメーラーで、MewWanderlustなどがある。Emacs自体、すでにエディタというよりは「環境」といってもいいようなものになっているだけに、慣れている人をして「Emacsさえあればいい」といわしめる。だが、初めて使う人にはとても高い壁がそびえ立っているような気がする。筆者もご多分に漏れず、10年以上前からEmacsに何度も挑んでは跳ね返され、すっかりvi派になってしまった。

  • GUIベース
     近年になって増えてきた、X Window System上で動くGUIのメーラー。MacintoshやWindowsの文化で育ってきた操作性を踏襲しているものが多いため、乗り換え派には比較的お勧めしやすいと思う。このカテゴリの中には、NMailや今回試してみるSylpheed、前回試してみたNetscapeに付属するNetscape Mailなどがある。

Sylpheedをインストール

 Windows乗り換え派の筆者としては、やはり3番目のGUIベースのメーラーの中から選ぶことにする。互換性という意味では、Netscape MailならばWindows版とほぼ同じといえるのでそれほど苦労しないかもしれないが、Windows上でNetscape Mailを使ったとき、複数のメールアカウントをうまく使い分けられない(別々のプロファイルを作成し、切り替える必要がある)という仕様が現在の1人複数アカウント所持時代に合っていないと判断して、すでに却下している。そこで、何かと以前から話には聞いていたSylpheedを試してみたいと思う。

 Sylpheedは、最近では幾つかのディストリビューションにもバンドルされるようになった。公式サイトはhttp://sylpheed.good-day.net/。原稿執筆時点の最新版は0.4.64*編注だ。

編注:2001年5月17日現在の最新版は0.4.66

 ライセンスはGPLとなっており、ソースコードも配布されている。GTK+で開発されているので、使用するにはGTK+が必要だ。基本的にLinux+X Window Systemでの動作となるが、Linux以外のOSでも動作が確認されているようだ。配布形態としてはソースコードとコンパイル済みのバイナリがRPM形式で供給されている。筆者はとりあえずソースコードでダウンロードし、展開したソースコードを以下のコマンドを実行してインストールした。

$ ./configure
$ make
$ su
# make install

 開発ツールやライブラリがきちんとインストールされていれば、特に問題なく作業が終わるはずだ。終了したら起動してみよう。

 しかし、ドキュメントのどこにもどうやって起動すればいいのかが書かれていない(汗)。WindowsならInstall Shieldがスタートメニューへの登録やデスクトップへのショートカットの作成まで全部やってくれるのに。素の状態に近いソースコードからのコンパイル/インストールとはいえ、せめて、せめてどのプログラムを立ち上げればいいのかぐらいは教えてほしい(涙)。

オープンソースソフトウェアの情報集積

 単純比較はできないが、例えば商業ベースのソフトウェアの製品開発プロセスというのは、単純にソフトウェアをプログラミングするだけでなく、ユーザーの手元で使ってもらえるようになるまでの情報の集積を行い発信する(マニュアルの作成など)ところまでが「製品開発」と見なされる。

 これに比べるとオープンソースソフトウェアは途中のところで止まってしまっているような感じがする。幾つかの、Apacheのように圧倒的な利用者を獲得したオープンソースソフトウェアの場合は自然と書籍などが出版されたりして商業ソフトウェアと同等の情報量を持っているが、ほとんどのオープンソースソフトウェアはプログラミングの段階で止まってしまっているのが現状なのではないかと思う。これによって、優れたソフトウェアがオープンソースだから、ボランティアだから、情報不足だからという理由でエンドユーザーに広く利用されない、普及しないのはもったいない気がする。このあたりをうまく改善する良い方法はないものだろうか。

Sylpheedでメールを読んでみる

 とりあえずMakefileの中を調べて、/usr/local/binの中にプログラムファイルがインストールされたことが分かった。当該ディレクトリを調べてみると「sylpheed」というファイルを発見したのでktermから起動する。

 初回起動時は、まずメールボックスの位置の指定を行わないといけない。デフォルトでは「Mail」になっている。ここで指定した名前のディレクトリが、ユーザーのホームディレクトリに作成されてメールが蓄積されていくことになるので、適当な名前を付けよう。ディレクトリの作成が終わるとSylpheedの画面が表示される。

 Sylpheedの画面はWindowsで使われている一般的なメーラー、例えばBecky!などとほぼ一緒の構成である。左側にメールボックスがツリー上に表示され、右上がメールの一覧で右下に本文が表示される。どうもOutlookが参考になっているらしいのだが、筆者はOutlookを使ったことは1回もなく、また使っているのを見たこともほとんどないので、似ているのかどうかはよく分からない。

Windowsで一般的な3ペイン構成を採用したメーラーSylpheed(画像をクリックすると拡大表示します)

 まず最初に設定。[アカウント毎の設定]画面はメールアカウントの入力からPOPサーバ、SMTPサーバの設定など、おなじみの項目ばかりなのでWindowsでメーラーの設定ができる人なら迷うことはあまりないだろう。

メールを作成する

 次はメールの作成に移ろう。[作成]ボタンを押すと別ウィンドウが開き、メールを作成できる。本文のテキストエリアも十分広いので作業はやりやすい。しかし、いろいろと試したところ、1つ不都合があった。

 本文エリアの幅は半角80文字だが、[全般の設定]で設定できる。そして、送信時に自動的に折り返される。だが、折り返しをメーラー任せで書いているとき、1つ上の行のテキストを直したとする。そこでカーソルキーの上を押すと、なぜか一気に相当前の位置までカーソルが飛んでいってしまうのだ。メーラーがエディタ代わりになっている筆者としてはちょっと残念だ。

 しかし、これ以外は特に問題もなく使えているので、十分に合格点をあげることはできるのではないだろうか? Windowsであればシェアウェアフィーで5000円ぐらいは取られてしまいそうな機能のメーラーがフリーで使えるのはうれしいところである。

最後の問題は添付ファイル

 Linux上のメール環境は意外と使えることは分かった。しかし、問題は残っている。それは添付ファイルである。

 添付ファイルを扱うこと自体はMIMEなりBASE64といったものに準拠していればいいのだが、問題は添付されているファイルを開けるかどうかである。特に、圧倒的シェアを誇るMS Officeのファイルをどうするかは、Linuxならずとも永遠の課題となっている。次回はこのあたりを探ってみたいと思う。

現在の使用環境
ハードウェア
  PC:Compact Base(ぷらっとホーム
  ディスプレイ:FlexScan L350(EIZO
  そのほか:PShare4(ぷらっとホーム
ソフトウェア
  OS:Turbolinux Workstation 日本語版 6.0 Limited Edition(ターボリナックス
  IM:ATOK X(ジャストシステム

連載 デスクトップもLinuxでいこう!

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