宮原徹的Linux生活
其の九 独占ってのはこういうことか

宮原 徹
2001/2/17

 皆さん、こんにちは。み。です。

 自宅にいることが多くなったら、突然電話代が跳ね上がりました。いかにダイヤルアップネットワークに依存しているのかデジタルに分かりますね。一応、ADSLの申し込みをしているんですけど、いつまでたってもサービスが始まりません。3月からスタートと聞いてはいるのですが、本当に使えるようになるのはいつなんでしょうね。フレッツ・ISDNなんかは2カ月も3カ月も待たされるとか。

 果たして、これで全国民に低価格な常時接続なんて提供できるのでしょうか?

 ところで、すでに会社を辞めている実家の親父がインターネットをしたいということなので、実家が加入しているCATV会社が提供しているケーブルインターネットの工事をしてもらった。申し込んでから1週間から2週間で工事。やっぱり、これぐらいのレスポンスは欲しいところ。しかし、あまり詳しくない実家の方が先に常時接続になってしまうのは皮肉なものだ。

 実家にあるPCは、メモリ32MbytesのWindows 95マシンというかなり古いもの。とりあえずネットワークカードを挿してCATVと接続。Webブラウズとメール用にNetscape Communicator 4.75をセットアップ。速度は遅いものの、なんとか動くのでとりあえずOKということで、本屋で参考書を選んであげることにした。

 近所でも比較的大きめの本屋に行ったのだが、そこのコンピュータ関連書籍の棚の前でがく然とすることになる。というのも、いわゆる「インターネット入門本」にNetscapeを取り扱ったものは1冊もなく、すべてがInternet Explorerなのだ。いま時分だとPCを買うと大体Windows Meだから、表紙には「Windows Me対応」なんて大書きしてあったりするわけである。

 この状況、私も売文家の端くれだから分からなくもない。買ってきた状態のPCですぐに始めることのできるIEが入っているのに、本当の初心者(というかド素人)に、わざわざNetscapeをインストールさせる意味は本を作る側にはまったくないからね。まあ、水はやすきに流れる、ということだ。

 ただ、これこそまさにMSの思う壺って感じ。OSを押さえて、さらにWebブラウザも「OSに統合」して、そのブラウザのデフォルトページに設定されているのは「www.msn.co.jp」だったりするわけだ。メールはOutlook ExpressでもHotMailでもいいですよ、というところだろうか。まあとりあえずのところはこれで事足りるから、ユーザーは何の疑問を持つこともなく、快適にインターネット生活ができるって寸法だ。

 半面、何やら薄ら寒いものも感じる。圧倒的な独占と体制や情報の一般化、そしてユーザーの思考停止。歴史をひもとけば、典型的な独裁国家が持ち合わせる政治手法と一緒なわけだ。

 コンピュータは人を楽にするために存在するものだとすると、そういうやり方もありなのかなと思います。しかし、その先の展開をOS提供会社1社がすべて握っていて、新しい可能性の入り込んでいく余地が見当たらないとすると、コンピュータの将来というのは暗い。そう思わざるを得ないのではないでしょうか。

 ちょっと暗たんとさせられる出来事でした。

「宮原徹的Linux生活」

筆者紹介
宮原徹

Project BLUE/日本Samba ユーザ会会員。データベースの活用を中心としたLinuxによるビジネスソリューション構築のため、公私にわたり日々活動している。Linux Squareフォーラムのガイドとして、記事の執筆などを行う


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