DRBD+iSCSI夢の共演(前編)
 〜 Windowsドライブをミラーリング 〜


株式会社サードウェア
岩崎 登
2008/8/4


DRBDの設定

 DRBDの設定ファイルは[/etc/drbd.conf]となり、インストール直後は空の設定ファイルがインストールされている。今回は、DRBDがミラーリングを行うために必要な最低限の設定を施し、DRBDの動作を確認する。

 入力した[/etc/drbd.conf]は、プライマリサーバとセカンダリサーバの両方に同じものを設定する必要がある。プライマリサーバで設定を行い、SCPコマンドやFTPコマンドを使用してセカンダリサーバに転送することを推奨する。

global { usage-count yes; }
common { syncer { rate 10M; } }
resource r0 {
     protocol C;
     net {
          cram-hmac-alg sha1;
          shared-secret "FooFunFactory";
     }
     on drbdscsi.hogehoge.jp {
          device /dev/drbd0;
          disk /dev/sda3;
          address 192.168.20.10:7789;
          flexible-meta-disk internal;
     }
     on drbdscsi2.hogehoge.jp {
          device /dev/drbd0;
          disk /dev/sda3;
          address 192.168.20.20:7789;
          meta-disk internal;
     }
}

■メタデータの作成

 DRBDでは、ミラーリングしているデータの情報を、パーティション領域の最後から128Mbytes分を使用し、メタデータといわれる独自の方式で管理している。メタデータは同期を取る際に使用され、非同期でのミラーリングの時間を大幅に短縮させるために使用される。

 メタデータの作成は、プライマリサーバ、セカンダリサーバともに必要になるので、両サーバから以下のコマンドを実行し、各パーティションにメタデータを作成する。

# drbdadm create-md /dev/drbd0 all

DRBDの起動とプライマリモードの設定

 これまでの設定が終了すると、DRBDを起動できるようになり、プライマリサーバとセカンダリサーバの接続が行われる。

 しかし、初期状態ではプライマリサーバ、セカンダリサーバがともにセカンダリモードで動作しているため、どちらからも双方をマウントできない状態となっている。この同期状況と現在の動作モードは、[/proc/drbd]ファイルを参照することで確認できる。

# cat /proc/drbd
version: 8.2.6 (api:88/proto:86-88)
GIT-hash: 3e69822d3bb4920a8c1bfdf7d647169eba7d2eb4 build by buildsvn@c5-i386-build, 2008-06-26 16:40:17
0: cs:Connected st:Secondary/Secondary ds:Diskless/UpToDate C r---
ns:4204 nr:0 dw:0 dr:0 al:0 bm:0 lo:0 pe:0 ua:0 ap:0 oos:0

 プライマリサーバの状態をセカンダリモードからプライマリモードに変更するには、drbdsetupコマンドを使用する。しかし初期状態では、安全性を考慮し、通常のコマンドのみではプライマリモードに移行することができない。初期状態のときには--overwrite-data-of-peerオプションを指定することに注意する。

# drbdsetup /dev/drbd0 primary --overwrite-data-of-peer
# cat /proc/drbd
version: 8.2.6 (api:88/proto:86-88)
GIT-hash: 3e69822d3bb4920a8c1bfdf7d647169eba7d2eb4 build by buildsvn@c5-i386-build, 2008-06-26 16:40:17
0: cs:Connected st:Primary/Secondary ds:Diskless/UpToDate C r---
ns:4204 nr:0 dw:0 dr:0 al:0 bm:0 lo:0 pe:0 ua:0 ap:0 oos:0

■プライマリサーバにiSCSIターゲット環境を構築

 DRBDで構成されたブロックデバイスをWindows環境からNTFSでフォーマットするため、プライマリサーバをiSCSIターゲットに設定する。iSCSIターゲット環境を構築するソフトウェアとしては、オープンソースのものがいくつか提供されているが、今回はyumでインストールできる「scsi-target-utils」を使用する。以下のコマンドでインストールを行い、ターゲットデーモンを起動する。

# yum install scsi-target-utils.i386
# /etc/init.d/tgtd start

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Index
DRBD+iSCSI夢の共演(前編)
 Windowsドライブをミラーリングで保護
  Page 1
 ネットワークミラーリングを実現するDRBD
 IPネットワークストレージ「iSCSI」
 ミラーリング環境の構築
  Page 2
 DRBDの設定
 DRBDの起動とプライマリモードの設定
  Page 3
 iSCSIターゲットの設定
 コラム 定期的なバックアップ、本当にそれでいいの?

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