ゼロ円でできるデュアルブート
LinuxとWindowsを共存させる

 

4. loadlinによるLinuxのブート

 MBRにインストールしたLILOではなく、loadlin.exeを使ってDOSからLinuxを起動させることも可能だ。この方法のメリットは、1024シリンダの制限を受けないので、パーティション構成の自由度が広がることだ。

loadinの導入

 loadlin.exeはDOS用のプログラムで、redhat LinuxおよびTurboLinuxのインストールCD-ROMのdosutilsディレクトリに収録されている。Cドライブのルートに「linux」というフォルダを作り、ここにloadlin.exeをコピーしておこう。

 loadlin.exeを使う場合でも、Windows 98のインストールまでの手順は同じ。また、Linuxのインストール方法も基本的に変わらない。ただし、インストール中に作成を促される「ブートディスク」を必ず作っておくこと。また、redhat Linuxの場合はインストール時に「インストールの種類」で「カスタム」を選択し、「LILOの設定」で「LILOをインストールしない」を選ぶ。TurboLinuxの場合はLILOのインストールを「スキップ」すればよい。以上の点に注意しながら、Windows 98とLinuxのインストールを行う。

 Linuxのインストールが終了したら、loadlin.exeのための準備を行う。まず、作成したLinux用のブートディスクを使ってPCを起動する。Linuxが起動したら、/bootディレクトリにあるvmlinuzというファイルを、先ほど作成したc:\linuxにコピーする。Linuxのインストール時にWindows 98用パーティションをマウントする設定を行っておけば、Cドライブは/mnt/dosディレクトリになっている。よって、

cp /boot/vmlinuz /mnt/dos/linux

とすればvmlinuzがc:\linuxにコピーされる。

 以上の作業が終わったら、ブートディスクを抜いてリブートし、Windows 98を起動させる。Windows 98が起動したら、[スタート]-[Windowsの終了]をクリックし、「MS-DOSモードで再起動する」を選択する。

 コマンドプロンプト状態になったら

us

と入力して英語モードに切り替える。そしてlinuxディレクトリに移動して、loadlin.exeを以下のように実行する。

loadlin vmlinuz root=/dev/hda2

 これでLinuxが起動する。なお、「root=/dev/hda2」はLinuxを2つ目の基本パーティションにインストールした場合(はじめに紹介したパーティション構成の場合)の例。Windows 98用の基本パーティション以外を拡張パーティション上の論理ドライブにした場合は、「hda2」が「hda5以降」になる。

ブートするOSを選択できるようにする

 Linuxは起動できるようになったが、このままでは使い勝手が悪い。そこでLILOのように、ブートするOSを選択できるようにしよう。これには、DOSのマルチコンフィグ機能を利用する。

 まず、Cドライブのルートにあるconfig.sysをエディタで開く。このファイルはデフォルトでは表示されないので、エクスプローラの[表示]-[フォルダオプション]-[表示]で「すべてのファイルを表示する」を選択しておくこと。そして、以下のように編集する。

[menu]
menuitem=linux, Linux
menuitem=win98, Windows 98
menudefault=win98, 30

[linux]

[win98]
device=C:\WINDOWS\himem.sys
device=C:\WINDOWS\EMM386.EXE RAM
devicehigh=C:\WINDOWS\biling.sys
devicehigh=C:\WINDOWS\jfont.sys /p=C:\WINDOWS
devicehigh=C:\WINDOWS\jdisp.sys
devicehigh=C:\WINDOWS\jkeyb.sys /106 C:\WINDOWS\jkeybrd.sys
devicehigh=C:\WINDOWS\kkcfunc.sys
devicehigh=C:\WINDOWS\COMMAND\ansi.sys

 「menudefault=」以後の部分は、デフォルトで起動するOSと、メニューを表示する時間の設定。デフォルトOSをLinuxにし、メニューの表示時間を10秒にする場合は

menudefault=linux, 10

に書き換える。また、[win98]以下の行は、config.sysに元から記述されていた内容のままでよい。つまり、[win98]までの行を追加するということである。

 次に、autoexec.batの編集。同じくCドライブのルートにあるautoexec.batをエディタで開いたら、以下のように書き換える。

goto %config%

:linux
cd c:\linux
loadlin vmlinuz root=/dev/hda2

:win98
loadhigh C:\WINDOWS\COMMAND\nlsfunc.exe C:\WINDOWS\country.sys

こちらも、「:win98」以下の行は元の記述のままにする。

 これで、loadlin.exeの設定は完了。PCを再起動すると、以下のメニューが指定時間表示され、ブートするOSを選択できる。


画面8 config.sysとautexec.batを編集すれば、複数のOSを起動できるようになる



Index
ゼロ円でできるデュアルブート
LinuxとWindowsを共存させる
  1.パーティション構成の検討
OSの仕様を確認する
パーティション構成例
コラム:パーティションの概念
  2.WindowsとLinuxをインストールする
Windows 98の再インストール
redhat Linuxのインストール
そしてLILOの設定
  3.TurboLinuxの場合
データ用パーティションの作成
コラム:ブートストラップ
4.loadlinによるLinuxのブート
loadinのメリットと導入
ブートするOSを選択できるようにする

Linux Square全記事インデックス


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