Linux Square
第5回 読者調査結果発表

〜 オープンソース・ソフトウェア導入を阻む壁とは? 〜

小柴豊
@IT マーケティングサービス担当
2001/12/21

 Linus Torvalds氏が1991年にバージョン0.02を公開して以来、Linuxの歴史は10年を迎えた。ハッカーのホビーから始まったLinuxだが、現在では多彩なオープンソースソフトウェア(以下OSS)と連携することで、ほかの商用プラットフォームを脅かす存在感を示している。では、ECなどの業務システム構築においてLinux+OSSは実際どのくらい活用されているのだろうか? また、今後より活用されるためには何が必要なのだろうか? Linux Squareが実施した第5回読者調査から、その概要を紹介しよう。

業務システム構築状況:大いなる助走期間?

 まず読者がLinuxサーバ上で利用しているOSSを尋ねたところ、Webサーバ「Apache」の利用率が75%に達したほか、ファイル/プリントサーバ「Samba」、DNSサーバ「BIND」、データベース「PostgreSQL」、アプリケーションサーバ「Tomcat」の順に利用者が多いことが分かった(図1)。Apacheの利用率の高さは、単独のWeb情報発信機能に加え、PostgreSQLやTomcatなどと連動したWebアプリケーションのフロントエンドとして使われる機会が多いためと思われる。

図1 実務で利用しているサーバ用OSS(複数回答 N=424)

 続いてLinuxと上記OSSを組み合わせた各種業務システムの構築/提案状況を見てみよう(図2)。

図2 OSSによる業務システム構築状況 (N=424)

 ご覧のとおり「すでにOSSを組み合わせたシステムを構築/提案している」読者は全体の17%にとどまり、「具体的な予定はないが、興味はある/検討中」レベルの人が過半数を占める結果となった。著名なOSSの信頼性・機能は商用ソフトにも劣らないといわれている中、業務システム構築がイマイチ本格化していないのはなぜだろうか? 次にその理由について検証しよう。

OSSシステムを阻む壁

 図3は、Linux+OSSによる業務システム構築時の課題/問題点を尋ねた結果である。全体の約6割が「OSSによる業務システム構築のノウハウが不足している」と答えたほか、「トラブル時のサポート体制に不安がある」「各ソフトのバグ・セキュリティ情報収集やアップグレードが大変」といった点への問題意識も高くなった。読者のコメントからは、Linux+OSSシステムを構築できる技術者の不足感に加え、オープンソースならではの“不安感”を訴える声が多く寄せられた。

図3 OSSによる業務システム構築時の課題/問題点(3つまでの複数回答 N=424)

読者のコメントより

  • PostgreSQLを実業務に適用することの不安はないものでしょうか? 導入されている皆さんは、どこまでの運用を保証されているのか疑問です
  • アップグレードや提供されたパッチの適用可否が一番の問題
  • セキュリティに対する防衛策、検出、復旧方法など、最近どう対処してよいものか迷うものが増えている
  • ダウンタイムを少なくするための保守やサポートに関する問題をどのように解決するかが課題だと思います
  • 現状では、何か問題があったときに自力で対処せざるを得ない環境にある。対処できる人間が限られており、大きな負担になっている

セキュリティ/トレーニングに対する高いニーズ

 前項で見たようなサポート需要に対しては、すでにさまざまなベンダから有償のサービスが提供されている。ではこうしたLinux/OSSサポートサービスは、現在どの程度利用されているのだろうか?

 読者の利用状況を尋ねた結果、「すでに利用している」または「今後利用する予定がある」と答えたのは全体の7%にすぎず、ニーズが高い割にはサービス利用が進んでいない現状が明らかになった(図4)。ただし「サポート内容・価格やベンダを検討中」の読者が25%いるうえに、そもそも「Linux/OSSのサポートサービスを知らない」読者も35%と多い。サポートサービス普及を進めるには、ユーザー/ベンダ間のコミュニケーションを深めていく必要がありそうだ。

図4 OSSサポートサービス利用状況(N=424)

 最後に、読者が求めるLinux+OSSサポートサービスの内容について触れておこう。考えられるいくつかのサービスメニューを提示し、利用したいものを3つまで選んでもらった結果が図5だ。最も利用意向が高かったのは、図3で問題意識の高かった「セキュリティ診断/監視/アップグレードサービス」。以下「OSSシステム構築のためのトレーニングサービス」「利用するOSSの一括テクニカルサポートサービス」と続いている。

図5 OSSサポートメニュー利用意向(3つまでの複数回答 N=424)

 OSSが“自由”な存在である限り、それは同時に“不安”なものであり続ける。これまで10年間のLinuxユーザーは、その不安を自力で克服してきた人たちであり、図4で「Linux/OSSにサポートサービスは必要ない」と答えた層にその多くが該当するだろう。しかし、これからの10年、より多くの人がより多様なシステムを構築していくためには、Linux+OSSの不安を解消するサポートサービスが重要な役割を果たしていくのではないだろうか。

調査概要

調査概要
調査方法
Linux SquareサイトからリンクしたWebアンケート
調査期間
2001年10月19日〜11月9日
有効回答数
424件

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