
書評
イーサネットを極める!
アットマーク・アイティ編集局
鈴木淳也
2001/11/17
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近年、イーサネットが再び注目を集めている。Webのニュース記事や雑誌の紙面を眺めていると、「広域LAN接続サービス」や「10GbE」など、イーサネットに関するキーワードがめじろ押しなのが分かる。
十数年前〜数年前までを思い起こしてみれば、トークンリングやFDDIなど、レイヤ2以下を構成するさまざまなLAN向けの伝送媒体が存在し、技術面での優位性を競ったりしていた。だが現在では、イーサネットがLAN向けの伝送媒体の主役だということに、異議を唱える人はいないだろう。
これまでイーサネットは、数々の技術的課題を克服しながら、10Mbpsから100Mbps、そして1000Mbpsと、性能向上を繰り返してきた。コストメリットや利用しやすさを武器に、競合となる伝送媒体がひしめく市場へと浸透し、事実上の標準技術として君臨してきている。そしていま、イーサネットは長距離伝送における信頼性を高める技術も向上させることで、WANやMANといった中・長距離ネットワークの領域へも進出、ATMやSONETなどの市場に食い込みつつある。
今回は、これらイーサネットや、その周辺のネットワーク技術など、レイヤ2以下を構成するネットワーク技術習得に役立つ書籍3冊を紹介していこう。
■イーサネットをさらに極めたい技術者に
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詳説 イーサネット Charles E.Spurgeon 著/櫻井 豊 監訳/柏木 由美子 訳 |
イーサネットが普及した大きな理由の1つとして、“使いやすさ”が挙げられるだろう。10BASE-Tなどの「ツイスト・ペア・ケーブル」を使用するものであれば、それこそPCショップでちょっと機材を購入してきて、初心者でも簡単にネットワークが組める。もちろん、ケーブル長やハブ同士を接続できる段数に制限があるなど、数々の決まりごとはあるのだが、大規模なネットワークでなければ、それらを特に意識することなく手軽にネットワークを構成できてしまう。ここが、多くの人々に受け入れられたポイントでもあるのだが、反面で、トラブル発生の可能性を内包したネットワークを多々生み出す要因となっているのかもしれない。
本書は、ネットワークの構築やトラブル対応にあたる技術者が、イーサネットを基本から学び直すのに適した1冊だといえる。イーサネットの歴史、MACアドレスとフレームの概念、CSMA/CDのアルゴリズム、そしてイーサネット(10BASE-T/F)/ファスト・イーサネット(100BASE-TX/FX)/ギガビット・イーサネット(1000BASE-TX/LX/SX/CX)の各メディアの詳細が独立した章立てで解説されている。特に、各メディアの解説においては、ケーブルの仕組みや信号のやり取りのタイミングなど、物理的な部分についても詳しく触れられている。トラブルシューティングの場面において、もしTCP/IP以上のレイヤで問題が見つからなかった場合などには、本書に記載されているこれらの情報が役に立つはずだ。
レベル的には中級者以上が対象となっている。すでにあまり使用されなくなったAUIのインターフェイスに関する話など、実務に直接結びつかないような情報もあるが、イーサネットの知識をより確かなものにしたいと考える方には、ぜひともお勧めしたい。
■ネットワーク管理者必見! スイッチ技術解説の良書
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LANスイッチング徹底解説 Rich Seifert 著/間宮あきら 訳 |
低価格化の進みより導入しやすくなったスイッチは、イーサネットLANを構成するにあたり、なくてはならない重要なネットワーク機器である。本書では、このスイッチのネットワークにおける役割や動作のメカニズムが詳細に記されている。
まず最初に、スイッチの源流であるブリッジの役割について解説し、次にMACアドレスを学習して目的のポートにフレームを的確に送り出す仕組みや、ネットワークのトポロジを把握して問題解決を行うスパニング・ツリーなどと、徐々にスイッチの仕組みの解説へと踏み込んでいく。本書の後半では、リンクを多重化するトランク技術やVLAN、優先制御(QoS)、SNMPなど、最新のテクノロジー群や管理手法についても解説が行われており、これ1冊あれば、スイッチの全容が分かるといっても過言ではないだろう。ネットワーク管理者には、ぜひ押さえておいてもらいたい1冊だ。
筆者独特のユーモアあふれる文書が随所に散りばめられており、注釈やちょっとしたコラムで息抜きや笑いを誘ったりと、読んでいる者を飽きさせない。「『スイッチ』とは『ブリッジ』という言葉を言い換えたマーケティング用語だ」「『低速で高価だ」というルータのイメージを払拭するのに、高速で評判だったスイッチという言葉を利用して『レイヤ3スイッチ』とした」とばっさり切り捨てた部分には、「なるほど」と思わず納得してしまった。
■話題のキーワードをすばやく的確に理解
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要点チェック式 ブロードバンド教科書 篠浦文彦/岡田賢治 監修、MCR 編 |
変化の激しいネットワーク業界において、「ブロードバンド」はいま最も技術革新が速い分野の1つだといえる。それだけに、新しいキーワードが日夜紙面に登場し、その意味を押さえるのに苦労されている方は少なくないはずだ。
本書は、その話題のブロードバンドに関する数々の事象をすべてひっくるめて理解するのに最適の1冊だ。“要点チェック式”の冠を掲げているように、「ここだけは知っておきたい!」というポイントを簡単で、しかも的確に理解できるような構成をとっている。xDSL、CATV、FTTH、FWA、レイヤ3スイッチ、iDC、マルチキャスト/CDN、MAN、10GbE、IP-VPNなど、キーワード別の章立てが行われており、必要な個所だけをかいつまんで習得することが可能である。事典代わりに手元に置いておき、分からないキーワードが出てきたら参照してみる、といった使い方もお勧めだ。また、各章の解説では図版を多用し、章の最後で簡単なチェックテストも用意されているなど、理解を助ける要素が可能な限り盛り込まれている。A4サイズにやや厚手の本書だが、その見かけほどには読むのに苦労せず、初心者の方でも十分にお勧めできる。
個人的に気に入ったのは、最初の章でWAN系の技術をきちんと整理、紹介されていたところだ。「SONET」や「OC-12」といった伝送媒体の対応が分からず、記事執筆に苦労していたのだが、このあたりの情報もきちんと整理されており、かなり重宝した。
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