連載:5分でネットがわかるシリーズ(11)
5分で分かるクラウド・コンピューティング

栗原 潔
テックバイザージェイピー(TVJP)

2008/10/14


5. クラウドの普及度

 では、今後、クラウド・コンピューティングはどのように普及していくのでしょうか。 ここでは、消費者向け市場と一般企業向け市場を分けて考えることが必要でしょう。

 消費者向け市場、特に、携帯電話向け市場においては、クラウド・コンピューティングの世界はすでに実現しているといえます。携帯電話の利用者は、サーバの存在など気にせずに自由にサービスを利用しています。

 一般企業向け市場ではどうでしょうか? SaaSに代表されるようにクラウドは企業向けにも着実に普及しています。しかし、一般的な大企業においては、依然としてシステムを社内に導入して利用する形態(オンプレミス型と呼ばれます)が一般的です。

 特に、企業業務の根幹を支える基幹系においては今後長期間にわたってオンプレミス型が一般的であると考えられます。

 これらのシステムでは、信頼性の要件が極めて厳しいことが多く、問題が発生した場合には、当事者が集まって再発防止策を講じることなどが求められます。

 残念ながら、いまのクラウドの仕組みではこのような厳しい要件に答えることはできません。障害が発生すればできるだけ短期間に回復できるよう努力する、場合によってはペナルティとして利用料金を返金するというレベルです。

図5 「自前主義」のオンプレミスとの使い分けがカギとなる

 結局のところ、企業におけるクラウドは、信頼性に関する要件が多少緩やかであり、かつ、迅速な展開が求められる短期戦術的なアプリケーションから利用されていくことになるでしょう。「自前主義」の重要性は段階的に減少していきますが、「自前主義」がまったく不要になることはありません。

 クラウドの重要性が段階的に増していくことは確実と思われますが、当面の間、企業はクラウドとオンプレミスをどのように組み合わせていくかをIT戦略の中心にしていくべきです。すべての情報システムが瞬く間にクラウド型になるというような無責任な予測を真に受ける必要はありません。

編集部より:5分では分からなかったという読者は下記特設コーナーをご確認ください。随時更新中で、クラウド・コンピューティングの最新情報もあります。

Cloud Quest 〜 そして、雲活へ…
クラウドを制するものは、ITを制す! クラウドに関する情報をまとめた@IT特設コーナーです。クラウドを理解して最適なサービスを比較・検討し、SaaS・PaaS・IaaS・DaaSといったクラウド活用(雲活)へつなげてください

 栗原 潔
テックバイザージェイピー(TVJP)代表取締役 弁理士。技術士(情報工学)。 IT、知財、翻訳サービスを中心とした新しいタイプのリサーチ会社。 東京大学工学部卒業、米MIT計算機科学科修士課程修了。
日本アイビーエム、ガートナージャパンを経て2005年6月より独立。 ITmedia Alternative BLOGにて 「テクノロジー時評Ver2」を執筆。


5分でわかるクラウド・コンピューティング
  <1分> クラウド・コンピューティングとは
  <2分> クラウドと過去の類似コンセプトとの相違
  <3分> なぜクラウドなのか?
  <4分>クラウドの階層とプレイヤー
<5分> クラウドの普及度


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