連載第3回
TCP/IPアレルギー撲滅ドリル【下位レイヤ編】

分かるスライディングウィンドウ、
見えるEthereal

福永勇二
インタラクティブリサーチ
2004/3/13


素朴な疑問
「言葉」というカタチから入る
  1. カタチから入るなんて邪道です!
  2. TCPの本に「連続送り」が出てきません
  3. 「シーケンス番号」って何ですか?
  4. じゃあ「肯定確認応答(ACK)」は?
スライディングウィンドウの謎に迫る
  1. スライディングウィンドウの謎に迫る
  2. スライディングウィンドウ! そろそろギブアップです
  3. スライディングウィンドウをやさしく説明してください
  4. スライディングウィンドウのほかのメリットは?

生のTCPに触れてみよう

  1. ホンモノのTCPを見てみたいのです
  2. どうやってプロトコルアナライザを手に入れますか?
  3. 組み込む手順を教えてください
  4. どうやって使うんですか?
  5. 画面の見方を教えてください
  6. シーケンス番号はどこにありますか?
  7. Etherealを使うときの注意事項は?
  8. Etherealを手に入れた私はTCP制覇ですか?
 「言葉」というカタチから入る

カタチから入るなんて邪道です!

 春の声を聞いて、少し明るめの色のスーツを新調した。そんな方は多いと思います。新しいスーツを着て、すがすがしい気持ちで仕事に取り組んだら、顧客からのイメージがアップした、何だか自信がみなぎって瞬発力がアップしたなんて、うれしい効果も期待できるかもしれません。

 もちろん、スーツが仕事をするわけじゃなし、いいスーツが直接的にいい結果をもたらすとはいえません。しかし、スーツに代表されるような「カタチ」から入ることは、自分が気持ちよく仕事に取り組む環境を整え、間接的に仕事へ良い影響を与える可能性は十分にあり得ます。

 さらにいえば、心地よい環境が自分のやる気を引き出し、その結果として成果が出る。それを励みにさらにやる気がわいてくる、という絶好調サイクルのきっかけになるかもしれません。

 「カタチから入る」というと、ちょっと格好悪く聞こえる方もいらっしゃると思います。でも何か難しい問題を抱えているとき、この作戦が意外な突破口になることもあると思うのです。TCP/IPという難問に立ち向かう皆さんに、今回はこの「カタチから入る」作戦を展開してみたいと思います。何かの突破口を見つけることができることを祈りつつ。

TCPの本に「連続送り」が出てきません

 前回「ITオンチにTCPのセボネを見る」はTCPの基本的な機能を独自の用語と図で説明しました。この用語、大部分が本連載でだけ使っている用語なので、TCPの本には「連続送り」なんて言葉は出てきません。

 そこで、今回は初めに、ホンモノのTCP用語を説明したいと思います。基本的には前回の説明に照らし合わせますが、一部、そうならない部分もあると思います。そんな部分は「カタチ」から入ると割り切って、どんどん読み進めていってください。カタチだけでも言葉を聞いたことがあれば、全く知らない単語ほどビビることもありません。「カタチから入る」効用は、きっとあります。

「シーケンス番号」って何ですか?

 「シーケンス番号」とは、1バイト送信するごとに進んでいく番号です。前回の例でいえば、りんご1つ1つに、それぞれ連続した番号が付いていました。「データの番号」といっていたもの、それがTCP用語でいう「シーケンス番号」です。

 この「シーケンス番号」は通信を開始するときに、お互いに適当な値を決めて、相互に交換しておきます。例えばシーケンス番号が100から始まる場合、最初の1000バイトのデータを送った後の次のシーケンス番号は1101になります。

 TCPのいろいろな機能を実現するうえで、この「シーケンス番号」は必要なものです。ひいては、機能を理解するためにも切っても切り離せないものです。まず、この言葉を頭に入れておいてください。

じゃあ「肯定確認応答(ACK)」は?

 「肯定確認応答」とは、データが到着したことを伝える情報です。前回の話では「受け取り確認」と表現しました。データが正常に到着したら、それを相手方に「到着しました」と伝える。これが「肯定確認応答」です。「こうていかくにんおうとう」という言葉が長いので、短く「ACK(アック)」ということも多いです。

 この「肯定確認応答」がTCPの正確な通信のベースになっていることは前回書いたとおりです。また「遅れ」が大きい通信回線では、「肯定確認応答」が通信速度を遅くする原因であることも説明しました。

 

TCP/IPアレルギー撲滅ドリル【下位レイヤ編】(3)目次
1  「言葉」というカタチから入る
2  スライディングウィンドウの謎に迫る
3  生のTCPに触れてみよう

関連リンク
  連載:TCP/IPアレルギー撲滅ドリル【超実践編】(上位レイヤ編)
連載:インターネット・プロトコル詳説

連載:ルータの仕組みを学ぼう
ホストのネット接続は正しく行われているか? 〜netstatによるネットワーク設定の確認〜

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