Master of IP Network
第7回 読者調査結果発表
〜最も使われているシステム負荷分散方法とは?〜


小柴豊
アットマーク・アイティ マーケティングサービス担当
2002/8/8


 システム管理者にとって最大の脅威、システムダウン。特にメールやWebシステムがクリティカルな存在となったいま、24時間×365日その悪夢から逃れられない管理者も多いだろう。システムダウンの原因の1つに、システムへの過負荷が挙げられる。この過負荷によるシステムダウンを防止する方法が「負荷分散」だが、果たしてシステム構築/運用の現場ではどのような方法でそれを実現しているのだろうか? Master of IP Networkフォーラムが実施した第7回読者調査の結果から、その現状をレポートしよう。

読者の4割弱が負荷分散を実施

 まず読者がかかわるシステムの負荷分散実施状況を見ると、現在の実施率は回答者全体の36%であった(図1)。また「1年以内には実施を予定している」「具体的な予定はないが、近い将来に必要になると思う」という回答もそれぞれ10%、29%に上っており、負荷分散の必要性に関する意識は広範囲に高まっているといえそうだ。

図1 システムの負荷分散実施状況(N=296)


負荷分散の対象:不特定多数向けWebシステムが中心

 ではさまざまなシステムの中で、実際に負荷分散が適用されているのはどのような分野なのだろうか? 現在負荷分散を実施している人の回答を見ると、該当者の7割弱が「BtoC、 Eコマースなど、不特定多数ユーザー向けWebシステム」と答えている(図2)。不特定多数ユーザー向けWebシステムのトラフィックは、ある日突然爆発的に増加する可能性があるが、ECなどの業務にかかわるものであれば、そう簡単にシステムを止めることもできない。負荷分散需要の拡大は、ビジネスのフロントエンドにWebシステムが浸透してきている証拠ともいえるだろう。

図2 負荷分散対象システム(負荷分散実施者 n=105)


負荷分散方法:ロードバランサなど専用機の活用が主流

 負荷分散を実現するには、DNSを利用する古典的なものから、専用のハードウェア/ソフトウェア導入まで、幅広い方法が存在している。そこで読者が現在利用している方法/今後利用を検討している方法を聞いた結果、現在は「スイッチやロードバランサなどの専用機器」の利用率が7割以上に達していることが分かった(図3)。Webシステムの生死がビジネスに大きな影響を与える現在、DNSではカバーできないフェイルセーフ/フェイルオーバーなどの機能や、専用機ならではのパフォーマンスが重視されているのではないだろうか。

図3 負荷分散:現在の利用方法/今後利用を検討している方法


負荷分散装置:3社の導入率が接近

 図3で見たとおり、現在の負荷分散は専用機器を利用する方法が主流だが、具体的にどのようなベンダ/製品が選ばれているのだろうか? 現在の専用機利用者に尋ねたところ、ノーテルネットワークス(アルテオン)の 「Alteon/ACEdirector」、F5ネットワークスの「BIG-IP」、シスコシステムズの「Cisco CSS/LocalDirector」という3製品の利用率が接近する結果となった(図4)。負荷分散専用機市場は、まだデファクトの確定しない競争状態にあるようだ。

図4 導入している負荷分散専用機(LB専用機利用者 n=79)


負荷分散について知りたいこと:処理能力/ボトルネックの把握法

 最後にシステム負荷分散について、読者に現在興味のある情報の内容を聞いたところ、「システムの処理能力やボトルネックの把握方法」を選択する読者が、全体のおよそ6割に達した(図5)。ハードウェア/アプリケーション/ネットワークが複雑に絡んだ現代のWebシステムでは、負荷分散実施の前段階の情報把握が大きな課題となっているようだ。

図5 負荷分散に関して知りたい情報(N=296)


調査概要

  • 調査方法:Master of IP NetworkフォーラムからリンクしたWebアンケート
  • 調査期間:2002年6月10日〜7月12日
  • 有効回答数:296件

 

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