Master of IP Network
第8回 読者調査結果発表
〜2003年注目のRDBMSプラットフォームとは?〜


小柴 豊
アットマーク・アイティ マーケティングサービス担当
2002/12/6

 1979年のOracle登場以来、リレーショナル・データベース管理システム(以下RDBMS)製品は、長い歴史を重ねてきた。その間コンピューティング環境も汎用機中心からクライアント/サーバ、Webシステムへと変化してきており、現在ではRDBMSはシステムの中心的存在である。では今後のRDBMSに求められる要件とは、何だろうか? Master of IP Networkフォーラムが実施した第8回読者調査から、レポートしよう。

RDBMS利用状況:今後のRDBMS勢力図はどう変わる?

 まずは読者のRDBMS利用状況から見てみよう。製品別では「Oracle」の現在利用率が73%に達し、他製品を大きくリードしている(図1青棒)。Oracle以外では、マイクロソフトのAccess/SQL Server利用率がそれぞれ50%前後に上っているほか、オープンソースの「PostgreSQL」も健闘している。

 では今後のRDBMS勢力図に変化はあるのだろうか? 読者に今後1年以内の導入予定製品を聞いたところ、引き続きOracleのリードは堅いようだ(図1黄棒)。一方で第2位争いは激化しており、SQL Server、PostgreSQL、DB2、MySQLが僅差で続く結果となった。

図1 RDBMS製品利用状況(複数回答 n=514)

RDBMS稼動プラットフォーム:2003年はLinuxに注目

 続いてRDBMS製品の稼動プラットフォームについて、読者に尋ねた。現状では Windows NT/2000 の利用率が8割に達しており、RDBMS利用の主環境であることが分かる(図2緑棒)。しかし今後1年以内の予定に目を転じると、読者が現時点でもっとも導入を考えているプラットフォームは、Linux であった(図2黄棒)。図1を振り返って見ても、Linux上で稼動可能なRDBMSの導入予定が高い傾向は表れている。

図2 RDBMS製品稼動プラットフォーム(複数回答 n=514)

RDBMS選択時の重視点:ベンチマーク競争の時代は終わった

 では今後のRDBMS選びには、どのような要素が重視されるのだろうか? 読者に3つまで選択してもらったところ、トップには「導入コスト」を抑えて「高可用性/信頼性」が挙げられた(図3)。逆に、日ごろベンダーが強調しがちな「TPCベンチマークによる処理能力」を重視する人は、全体の10%以下にとどまっている。24×365稼動が求められるWebシステム時代において、RDBMS選択の重点は、コスト/パフォーマンスから“コスト/リライアビリティ”へと変化しているようだ。

 前述したLinuxプラットフォーム支持の理由も、コスト/リライアビリティという文脈から解釈できるだろう。カーネル2.4によるSMPやラージファイル対応強化に加え、IBM全ハードウェアのLinux対応/Oracle RAC for Linuxの発売など、Linuxを採用するメリットが、従来のコスト一辺倒から信頼性に拡大しているからだ。

図3 RDBMS製品選択時の重視点(3つまでの複数回答 n=514)

RDBMS導入/開発/運用上の課題

 ところで、RDBMSを導入/開発/運用するうえで、エンジニアは現在どのような課題を抱えているのだろうか? 読者の回答を見ると、「アクセス増や連続稼動などに対応するDB性能強化」がトップに挙げられた(図4)。製品選択要件として信頼性が強く求められた背景には、日ごろ“止まらないシステム”作りに奔走するDBエンジニアの苦悩があるようだ。

 また課題の2番目として、「RDBMSを開発/管理できる人材の育成」が挙がっている点にも注目したい。最近のRDBMSは自動チューニングなどの“自己管理”機能を備える傾向にあるが、使い手であるエンジニアのスキル向上意欲(あるいは危機感?)は、衰えることがないようだ。

図4 RDBMS導入/開発/運用上の課題(2つまでの複数回答 n=514)

RDBMS性能強化の方法は?

 前項で見たとおり、RDBMS利用の重点課題は「性能強化」だが、読者はどのような方法でそれを克服しているのだろうか? もっとも重視するDB性能強化法を尋ねたところ、「物理設計/論理設計のチューニング」および「アプリケーションのチューニング」2点のポイントが高くなった(図5)。CPU性能などのハードウェア進化が著しい現在においても、最終的にはエンジニアによるチューニングの良し悪しが、DB性能を左右しているようだ。

図5 RDBMSの性能強化で重視する方法 (n=514)

調査概要

  • 調査方法:Master of IP Network フォーラムからリンクした Webアンケート
  • 調査期間:2002年10月16日〜11月13日
  • 回答数:768件(うち、RDBMS導入/開発/運用者514件を集計)

 

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