Interop Tokyo 2008プレSHOWレポート

ネット最前線に何が見えるか


三木 泉
@IT編集長
2008/6/2
今年も幕張メッセでInterop Tokyoが開催される。15年目となった今年のテーマは「覚醒するインターネット」。Best of Show Award 2008の審査員を務める三木泉が見どころをレポートする(編集部)

 ネットワーク技術の進化と成熟が、ほんの1、2年前には無理だと思われていたようなことを実現する――。6月9〜13日に開催されるInterop Tokyo 2008の展示会では、製品やサービスの現実化の過程を見ることができる。

 例えば人体通信の技術。NTTエレクトロニクスは同社が「ヒューマンエリア・ネットワーク技術」と呼ぶ人体の表面電界を使った通信技術を「Filmo」(フィルモ)という製品名で実用化し、4月に評価キットを提供開始した。

 この技術では送信機を身に付けた人間が受信機に手や足で触れるだけで、送信機からのデータを受信機に伝えられる。名刺サイズの送信機にID情報を記憶させておき、ポケットに入れたり、首から下げておくなどしておくと、例えばドアに設置した受信機に指で触れるだけで、ユーザー認証ができる。

 これほど近未来的ではないが、以前は望んでもできなかったことが実現できるようになった例の1つがユニファイド・コミュニケーションだ。会社の各社員の直通電話番号にかかってきた電話を、社員は自席の電話機で取るだけでなく、PCのソフトフォン(IP電話ソフトウェア)、あるいは携帯電話機で受けるようなシステムが構築できるようになった。通話が途切れることなく、この3種の間での切り替えも可能だ。

 社員は自分自身で、どの電話機へ着呼させるかを設定することもできる。自分の携帯電話機からの発信でも、IP電話で会社のPBXに接続し、そこから外へ発呼する方式を取れば、社員は戸外にいたとしても、社内にいるかのように見せ掛けることができる。ある社員が受けた電話を、別の社員の携帯電話機に内線転送するといったこともできる。

 例えば、日本アバイアは「企業全体をコンタクトセンターにする」といういい方で、こうした仕組みを提供している。社員にとって労働強化につながるのではないかという意見もあるだろうが、顧客に自分の携帯電話番号を教えなくて済み、携帯電話機で受信したくない場合は会社の自席の電話機にのみ着呼する設定にしておけばいい。在宅勤務やモバイルワーカーを後押しするシステムとして使える。

日本アバイアのアプレット型ソフトフォン「Avaya one-X Portal」の画面。どの電話端末で着信を受けるかを設定できる


 ブロードバンドだからこそのシンクライアント

 同様に、ブロードバンド時代ならではの、在宅勤務を支援する仕組みとしても注目されるのが、デスクトップ仮想化を用いたシンクライアント・ソリューションだ。デスクトップ仮想化とはサーバ仮想ソフトウェア上で、デスクトップOSをゲストOSとして稼働し、画面転送を行ってシンクライアント端末で利用する形態だ。

 例えば、NECではこれを「仮想PC型シンクライアントシステム VirtualPC Center」という名称で販売している。NECはIP電話と動画・音声処理をシンクライアント端末側で実行できるようにし、サーバ側で処理する場合に比べてユーザーの使い勝手を大幅に向上している。

 こうした仕組みなら、自宅にブロードバンド接続環境があるユーザーはVPNで社内ネットワークに入り、データ漏えいなどのセキュリティの心配をあまりせずに、業務のためのPC環境をフルに使えることになる。

 PCを社内データセンターで動かしながら、リモートで操作できるようにする製品としては、アボセントジャパンの「Avocent HMX Desktop over IP」も面白い。画面出力やマウス・キーボード入力をIPネットワーク経由で延長する仕組み(KVM over IP)だ。

 大きなネットワーク帯域を要するため、在宅勤務環境の構築には使えないが、金融トレーダーやCADオペレータのようなパワーユーザーのために、高精細な画面と軽快な操作を実現できる。基本的にはPC側と、モニタ/キーボード/マウス側にそれぞれアダプタを接続するだけで、ソフトウェア的な構築作業は不要であるため、すぐに使い始められるし、運用も楽だ。

 さまざまな仮想化がIT製品を変える

 上記のシンクライアント・ソリューションには、実現技術としてのデスクトップ仮想化の利用が見られるが、広い意味での仮想化は、ITあるいはネットワーク関連製品における拡張性や柔軟性の実現に大きく貢献するようになっている。

 例えば、アイシロン・システムズのNAS製品である「Isilon IQ-Xシリーズ」。同社は「クラスタ・ストレージ」といういい方をしているが、OSとディスクドライブ群を1つのまとまりとした「ノード」を追加するだけで、容量とパフォーマンスを拡張することができる。

 Isilon IQでは接続されたすべてのノードのすべてのディスクドライブに、データを平準的に分散する作業を装置が自動的に行うことで、日常の管理や容量拡張時の作業をほとんど不要としている。装置の物理的な壁を超えて容量をどんどん拡張していける仕組みは、まさに仮想化のコンセプトを具現化している。

Isilon IQ Xでは、「ノード」を接続していくだけで1.6PBまで拡張できる

 A10 Networksの「AXシリーズ」は、サーバの負荷分散、SSL処理の代理実行、HTTP高速化などの機能を提供するアプライアンスだが、この製品も複数台をクラスタ構成することで、処理能力をリニアに向上することができる。

 NECネッツエスアイが展示するノーテルネットワークスの「Virtual Services Switch 5000」はスイッチで動かすサービスの適用を仮想化できる製品だ。同スイッチの上でアプリケーション・スイッチングやファイアウォールなどの機能を、ユーザー・グループあるいは顧客ごとに別個のポリシーで組み合わせて提供できる。

 NTTコミュニケーションズは、サーバ仮想化技術を使ったサーバホスティング・サービスを近く提供開始の予定だ。これは「VMware Virtual Infrastructure 3」によるサーバ仮想化環境を同社が運用し、仮想サーバをユーザー企業に貸し出すというもの。サーバ・ハードウェアを効率的に利用し、経済的なサービスを実現するとともに、アプリケーションの利用量が突然増大した場合でも、CPUやメモリを迅速に追加割り当てできる柔軟性を実現する。

 
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Index
ネット最前線に何が見えるか
Page1
ブロードバンドだからこそのシンクライアント
さまざまな仮想化がIT製品を変える
  Page2
IT/ネットワーク機器が地球のためにできること
セキュリティに仮想化とIPv6対応の流れ

「Master of IP Network総合インデックス」


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