ノミネート製品で占う2010年のINTEROP TOKYO
三木 泉
@IT編集部
2010/6/7
6月9日からINTEROP TOKYO 2010の展示会が始まる。Best of Show Awardのノミネート製品/サービスを通じて、今回のINTEROP TOKYOの見所を紹介する。(編集部)
クラウドの波は、INTEROP TOKYO 2010の「Best of Show Award」にも大きなインパクトを与えている。ここでは、約10年にわたり同アワードの審査員を努める筆者が、Best of Show Awardノミネート製品/サービスを通じて、今回のINTEROP TOKYOの見所を紹介する。なお、未発表の製品についてはここでは触れない。
サーバ/ストレージ/クラウドサービス
クラウドの流れがもっともはっきりと現れているのは「PC・サーバ・ストレージ・周辺機器」部門だ。
富士通の「PRIMERGY CX1000」は高密度を追求したラックマウントサーバだ。前面にポート類を集中し、さらに前面吸気・上面排気の特別ラックを使っている。ホットアイルを事実上不要にすることで、多数のサーバを限られたスペースに設置できる。
富士通の「PRIMERGY CX1000」 |
NECの「Cloud Platform Suite」は、サーバやストレージ、スイッチを構成し、仮想化環境の基本的な設定までを済ませて出荷するオールインワン・パッケージ。仮想マシンの追加や削除、リソースの割り当てなどを管理するシンプルなツールを備え、即座に社内クラウド環境を利用開始できるのが特徴だ。
ぷらっとホームの「CloudStation dSS」はRAID 6構成のストレージを備えたサーバ機同士を連携させ、仮想的に単一のストレージを構成することのできるシステム。マスターノードがないため、単一障害ポイントは排除されている。
「クラウドサービス」部門では、NTTコミュニケーションズの「Bizホスティングベーシック」などがノミネートされている。これはNTT Comのデータセンターを使ったIaaSサービス。通信事業者らしく、VPNやモバイルアクセスサービスと組み合わせて、安定性とセキュリティをウリにしている。1GBメモリ/100GBストレージの仮想マシンで月額7350円など。
■プロダクトアワード部門-PC・サーバ・ストレージ・周辺機器 | ||||||||||||
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■ソリューション&サービス部門-クラウドサービス (サーバ・ストレージソリューション部門から変更) |
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セキュリティ
セキュリティでは未発表の製品が多い。ご紹介できないのが残念だが、仮想化環境の保護に焦点を当てた製品がいくつかノミネートされている。
セキュリティソリューションでノミネートされた「セキュリティ可視化ソリューション」は、見えない脅威に対抗するため、状況を可視化することに注力。「マルウェア可視化エージェント(Yarai+)」「通信可視化モジュール(PHCS)」などで、既存の対策をすりぬけた脅威を可視化し、被害が発生した場合でもこれを局限するという、逆転の発想に基づくソリューション。
また、同部門でノミネートされた富士通の「Rightspia for Secure Documents」は情報漏えいの防止が目的。Active Directory Rights Managementサービスに同社のソフトウェアを組み合わせることで、サーバ上の機密文書の閲覧や操作の細かな制限を、Office文書およびPDF文書に対して行うことができる。同じくセキュリティソリューションの「Cisco TrustSec」はネットワークへのアクセス制御を、認証情報に基づくタグをベースに実現。つまり人を中心にしたアクセス管理ができる。IPアドレスに基づくアクセス制御の継続的な運用に掛かるコストを削減できるという。
情報セキュリティ製品部門のセキュアヴェイル「LogStareアーカイブfor CAStor」は拡張が容易で、長期保管が可能なストレージ製品「CAStor」に、統合ログ管理ツール「LogStareアーカイブ版」を組み合わせたもの。さまざまなログの一元管理と長期的な利用を可能にしている。同部門の「Kaspersky Small Office Security」は小規模事業所に的を絞ったオールインワン・ソリューションだ。
フォーティネットジャパンの「FortiDB」はデータベース脆弱性評価アプライアンス。リスク診断とモニタ/監査の2つの機能を持つ。リスク診断機能では社内のどこにあるどのDBにだれがどのような経路でアクセスしているかを把握でき、モニタ/監査ではデータベース管理ソフトウェアの監査ログを分析してレポートを作成、不正な操作についてはリアルタイムで通知する。同製品は新バージョンで高速化を図っている。チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの「VPN-1 VE」は仮想アプライアンス形式のファイアウォール/VPN/IPS製品。仮想マシン間のトラフィックについても対象とすることができる。
ネットワークセキュリティではF5ネットワークスジャパンの「BIG-IP Edge Gateway」がノミネート。リモートアクセスサーバ機能、アプリケーション最適化機能、エンドポイントセキュリティチェックを1台にまとめている。通常のSSLに比べ、パフォーマンスが劣化しにくいUDPプロトコルでSSL 通信を実現するDTLSを採用したとしている。同部門のテリロジー「TippingPoint 5100N IPS」は各パケットフローに対し、全レイヤで一度に数千単位のインスペクションが可能という。また、同社のセンターでは他社IPSに比べてはるかに多くの脆弱性を検知、シグネチャを作成しているという。
F5ネットワークスジャパンの「BIG-IP Edge Gateway」 |
■ソリューション&サービス部門-セキュリティソリューション | ||||||||||||
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■プロダクトアワード部門-情報セキュリティ製品 | ||||||||||||
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■プロダクトアワード部門-ネットワークセキュリティ製品 | ||||||||||
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ユニファイドコミュニケーション/アプリケーション
ユニファイドコミュニケーション部門では、日商エレクトロニクスが「Verivue MDX9020」でエントリ。コンテンツ配信アプライアンスのMDX9200(14U、最大200Gbpsの配信能力)を小型化したもの。3Uサイズで最大20Gbps/32000ストリームの同時配信が可能という。また、富士通の「UnifiedLink」は、「Cisco Unified Communications Manager」のIP Phone向けアプリケーション連携ソフトウェア。IP Phoneを業務端末として使えるようにできる。グループウェアのメール着信や申請の通知、そのほかのメッセージをIP Phoneの画面にポップアップ表示可能。業務アプリケーションとの連携もできる。
アプリケーション部門にノミネートの、ユビキタスエンターテインメントによるスマートフォン向けARナビゲーション支援ミドルウェア「Arider(エーライダー)」は、AR(拡張現実)技術で店舗への経路案内や広告などを現実の世界に重ね合わせることができるというもの。「セカイカメラ」的な取り組みだ。
■プロダクトアワード部門-ユニファイド コミュニケーション | ||||||
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■プロダクトアワード部門-アプリケーション | ||||||||
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Index | |
INTEROP TOKYOプレSHOWレポート ノミネート製品で占う2010年のINTEROP TOKYO |
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Page1 サーバ/ストレージ/クラウドサービス セキュリティ ユニファイドコミュニケーション/アプリケーション |
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Page2 管理/評価製品 ネットワーク関連 |
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