Ultra DMA/66の性能を徹底検証

3.Ultra DMA/66の実力を測る

 

澤谷琢磨
2000/07/13

 前章までで、IDEハードディスクの面記録密度向上と性能の向上とが対応していることを示した。面記録密度の向上に合わせてIDEハードディスクの性能は着々と向上しているため、すでに現在市販されているIDE関連の製品はすべてUltra DMA/66やUltra DMA/100に対応している。

 ここからは、本来の目的であるベンチマーク テストを行う。ベンチマーク テストを実施し、Ultra DMA/66対応ハードディスクの性能を確認することで、Ultra DMA/66対応IDEインターフェイスの転送速度(66Mbytes/s)が本当に活かされているのか、これが必要になるとすればどのような場面なのかを判断できるようになるはずだ。

実施したベンチマークプログラムについて

 今回IDEハードディスクのベンチマークに用いたのは、Testa Labの「HD Tach バージョン2.61」というベンチマーク プログラムである。HD Tachは、Windows 9x、Windows NT 4.0、Windows 2000に対応している。OSのファイル システムを介さずにディスク アクセスを行い、ディスクの性能を計測できるのが特徴だ。OSのファイル システムには、ディスク キャッシュが組み込まれているため、ファイル システム経由でハードディスクに読み書きを行うと、ハードディスクのデータ転送能力を超える結果が得られてしまう。そのため、ハードディスクとIDEインターフェイス自体の性能を測定するにはあまり適さない。そこでHD Tachは、ファイル システムの影響を極力排除するように工夫されている。

HD Tachの起動画面
HD Tachはシェアウェア(49.95ドル)で、レジストレーションすると、書き込みテストと、Windows NT/2000でのベンチマークが行えるようになる。レジストレーションを行わなくても、Windows 9xでのReadテストだけは実行可能だ(画面は未レジスト時の表示)。Testa Labのホームページの表記からは、Windows 2000へ対応しているかどうかはっきりしないが、直接Testa Labに問い合わせたところ、Windows 2000にも対応しているとの回答を得た。
 
HD Tachの実行画面
HD Tachを実行するとこのように測定結果のウィンドウが表示され、同時に結果がログに記録される。この画面から分かるように、HD TachはCPU占有率の測定も可能だ。計測方法がはっきりとしなかったので、今回のテストではHD TachのCPU占有率の値は用いていない。

 表は、HD Tachが測定可能なハードディスク性能の項目だ。

項目 内容 結果から分かること
Ultra DMA/66対応ハードディスクの性能比較 Ultra DMA/66に対応したMaxtor 53073U6とSeagate ST38410Aの性能を測定する。Ultra DMA/33に対応したFujitsu MB3021ATを比較対象として同時に測定した。 Maxtor 53073U6の性能を測定することにより、Ultra DMA/66に対応した最新のハードディスクの性能を知ることができる。Seagate ST38410AはUltra DMA/66初期のドライブとして、Fujitsu MB3021ATはUltra DMA/33対応のドライブとして、それぞれMaxtor 53073U6と性能を比較することにより、ここ2年のIDEハードディスクの性能向上の度合いを知ることができる。
IDEハードディスクの動作モード間の性能比較 Ultra DMA/66(UDMAモード4)に対応したIntel 82801AAとMaxtor 53073U6の組み合わせにおいて、わざとUltra DMA/33(UDMAモード2)、PIOモード4で動作させ、ベンチマーク テストを行った。IDEドライバの完成度が影響する可能性もあるため、標準テスト環境のWindows 98に加えて、Windows 2000でも同じベンチマークを行った。 Ultra DMA/66がうたう66Mbytes/sという転送速度が本当に発揮されているかどうかを、転送速度33Mbytes/sのUltra DMA/33と比較することで確認する。またPIOモード4で動作する場合の性能を測定することで、CPUの機能を用いた転送が、バスマスタDMA転送に対し、どの程度劣るのかを確認できる。
Ultra DMA/66対応IDEコントローラ間の性能比較 Maxtor 53073U6と、代表的なUltra DMA/66対応IDEコントローラであるIntel 82801AA、VIA VT82C686A、Promise PDC20262との組み合わせで性能測定を行った。またUltra DMA/33対応IDEコントローラであるIntel PIIX4Eの性能を比較対象として測定した。なおドライバの完成度によって性能差が発生する可能性があるため、Windows 98に加えてWindows 2000でも同じベンチマークを行った。 同じハードディスクを用いて測定することで、IDEコントローラ間に性能差があるかどうかを知ることができる。またUltra DMA/33までしか対応していないPIIX4Eとの比較を行うことで、Ultra DMA/66に対応した世代のコントローラで、性能がどのように向上したのかを確認する。
Windows 98用IDEドライバ間の性能比較 マイクロソフト標準のIDEドライバと、IDEコントローラ ベンダが提供するIDEドライバを用いた場合の性能を比較する。ハードディスクにはMaxtor 53073U6、IDEコントローラはIntel 82801AAとVIA VT82C686Aについて測定した。 Intel、VIAともに自社のチップセット向けIDEドライバを用意している。これらのドライバは標準ではインストールされていない場合が多いが、マイクロソフト標準のドライバと性能を比較することで、ユーザー レベルでインストールするメリットがあるかどうかについて確認できる。
HD Tachの測定可能なハードディスク性能の項目

今回実施したベンチマークの内容

 今回は、以下の表に示した項目についてベンチマークを実施した。ベンチマーク プログラムは、すべてHD Tachを用いている。

項目 内容 結果から分かること
ランダム アクセス ハードディスク中のセクタをランダムに1セクタずつ読み出すのに必要な時間を測定する。この時間には、シーク タイム(ヘッドが特定のシリンダまで移動する時間)、レイテンシ(回転待ち時間)、そしてセクタから実際にデータを読み出す時間が含まれる ランダム アクセスの性能はハードディスクの回転数が高いほど回転待ち時間が縮まるため、よい値を示す。読み出すデータ量が小さいので、ディスク コントローラの性能やIDEの動作モードには影響されにくい傾向がある。
バースト転送速度 ハードディスク インターフェイスからPCへの転送速度のうち最も高速な値を測定する。これはハードディスクが備えるディスク キャッシュ メモリへのアクセス速度に相当する。 ハードディスクが備えるディスク コントローラの転送速度が分かる。この値の上限値は、IDEの動作モードの値(Ultra DMA/66ならば66Mbytes/s)となる。ハードディスク自体のコントローラと、PC側のIDEコントローラの両方が備える性能がはっきりとする。
平均転送速度(読み出し/書き込み) ハードディスクを32Mbytesごとにブロックとして扱い、そこから1Mbytes読み書きするのにかかった時間を、そのブロックのデータ アクセス時間として記録する。ハードディスク全体にアクセスした結果を平均した値を、平均転送速度として扱う。 平均転送速度は、ランダム アクセス性能と並んでハードディスクの性能を表すのによく用いられる値で、回転数とともに面記録密度の疎密が大きく影響する。また、ランダム アクセスの性能とは、IDEの動作モードに左右されるという点でも異なる。ディスクの性能に加え、IDEコントローラの性能差が分かる。
ベンチマーク項目の詳細

ハードウェア構成について

 今回のテストに用いた個々のハードウェアについてはすでに述べたが、ベンチマーク テストにおける組み合わせを、以下の表に示す。Celeron-500MHzとIntel 810チップセットの組み合わせを今回のベンチマークにおける基準のPCに設定した。これは前述のとおり、Intel 800番台のIDEコントローラ「Intel 82801AA」が、現在最も普及しているUltra DMA/66対応コントローラだからだ。比較対象のPCには、VIA Apollo Pro133AチップセットとCeleron-500MHzの組み合わせと、Intel 440BXチップセットとCeleron-500MHzの組み合わせを選んだ。Promise Ultra66のベンチマークは、Intel 440BX採用のPCにPromise Ultra66を追加することで行った。基準のPCと比較用のPCの構成では、グラフィックス性能に大きな隔たりがあるが、HD Tachのようにディスク アクセスのみを行うベンチマークの結果には影響しないと判断している。

ハードウェア仕様
CPU Intel Celeron-500MHz
メモリ PC100 SDRAM 128Mbytes(64Mbytes DIMM×2)
マザーボード Aopen MX3W(Intel 810)
グラフィックス Intel 810 DC-100(チップセット内蔵)
ハードディスク(システム用) IBM DJNA-351520 15Gbytes Ultra DMA/66対応
主要ソフトウェアのバージョン
マザーボードBIOS R1.47
グラフィックス ドライバ Intel製 4.1
INFファイルのアップデート Intel INF Update 2.20
基準のPC
 
ハードウェア仕様
CPU Intel Celeron-500MHz
メモリ PC100 SDRAM 128Mbytes
マザーボード Aopen AX64 Pro(VIA Apollo Pro133A)
グラフィックス Creative Labs CT6710(グラフィックス コントローラはNVIDIA RIVA TNT)
ハードディスク(システム用) IBM DJNA-351520 15Gbytes Ultra DMA/66対応
主要ソフトウェアのバージョン
マザーボードBIOS R1.02
グラフィックス ドライバ NVIDIA Detonator版3.68
チップセット依存のドライバ VIA 4-in-1 Driver 4.20
INFファイルのアップデート VIA inf Driver 1.02
比較用のPC(VIA Apollo Pro133A)
 
ハードウェア仕様
CPU Intel Celeron-500MHz
メモリ PC100 SDRAM 128Mbytes
マザーボード Microstar MS-6163(Intel 440BX)
グラフィックス Creative Labs CT6710(グラフィックス コントローラはNVIDIA RIVA TNT)
ハードディスク(システム用) IBM DJNA-351520 15Gbytes Ultra DMA/66対応
アドオンIDEコントローラ Promise Ultra66(PCIカード、IDEコントローラはPromise PDC20262)
主要ソフトウェアのバージョン
マザーボードBIOS 2.6
グラフィックス ドライバ NVIDIA Detonator版3.68
比較用のPC(Intel 440BX)
 
 
関連リンク
米Testa Lab HD Tachの製品情報ページ

 
     

 INDEX
  [実験]Ultra DMA/66の性能を徹底検証
  1. Ultra DMA/66、Ultra DMA/100登場の背景
  2. 実験前の下準備
    2-1. 機材を揃える
    2-2. 設定の確認
    2-3. デバイス ドライバを設定する
3. Ultra DMA/66の実力を測る
    3-1. ハードディスク間の比較
    3-2. 転送モード間の比較
      コラム Windows 2000における転送モード間の比較
    3-3. IDEコントローラ間の比較
      コラム Windows 2000におけるIDEコントローラ間の比較
    3-4. Windows 98標準ドライバとベンダ製ドライバとの性能比較
    3-5. アプリケーション ベンチマーク テストで性能差は現れるのか?
  4. Ultra DMA/66は必要なのか?
 
「PC Insiderの実験」

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