Ultra DMA/66の性能を徹底検証

3.Ultra DMA/66の実力を測る

3-5. アプリケーション ベンチマーク テストで性能差は現れるのか?

澤谷琢磨
2000/07/13

 ここまでのベンチマーク テストは、すべてHD Tachを用いてきた。HD TachはOSのファイルシステムを介さずにディスク アクセスを行うため、ハードディスク本来の性能を測定するには最適だ。しかし、実際の使用環境では、OSのファイル システムを介さずディスク アクセスを行うことはない。OSのファイル システムは高速化のため、PCのメイン メモリの一部をディスク キャッシュとして用いている。つまり、実際の使用環境ではハードディスクの性能差は、HD Tachの測定結果ほどはっきりと現れない可能性が高い。

 「転送モード間の比較」では、Maxtor 53073U6とIntel 82801AAとの組み合わせで、IDEインターフェイスの動作モードを変更することで性能差が生じるかどうかを確認した。結果としては、Ultra DMAモード4とUltra DMAモード2の間に性能差は生じなかった。しかし、CPUの機能を用いてデータ転送を行うPIOモード4では、深刻な性能低下が発生した。PIOモードでは、CPU占有率も100%近くになるため、OSやアプリケーションの性能は大きく低下するものと予想される。

 そこで、実アプリケーションをベースにしたベンチマーク テストであるBAPCoSYSmark2000を用いて、実際の使われ方に近い環境での転送モード間の違いを見てみることにした。SYSmark2000は、実際に広く使われているアプリケーションを特定のパターンで実行し、それに要した時間を測定するベンチマーク ソフトウェアだ。結果は、「Internet Content Creation」と「Office Productivity」という2項目に分けて、BAPCoが基準に定めたPC(Pentium III-450MHz、128Mbytes PC100 SDRAM、440BX、Diamond Viper V770 Ultra)の性能を100とした相対値を表示する。なお、「Internet Content Creation」と「Office Productivity」で採用しているアプリケーションは表のとおりだ。

Internet Content Creation Office Productivity
MetaCreations Bryce 4 Corel DRAW 9
Avid Elastic Reality 3.1 Microsoft Excel 2000
Adobe Photoshop 5.5 Dragon Systems Naturally Speaking Preferred
Adobe Premiere 5.1 Netscape Communicator 4.61
Microsoft Windows Media Encorder 4.0 Corel Paradox 9
  Microsoft PowerPoint 2000
  Microsoft Word 2000
BAPCo SYSmark2000の実行するアプリケーション名

 ベンチマークテストは、「転送モード間の比較」とほぼ同じ条件で行っている。変更したのは、SYSmark2000をインストールするためMaxtor 53073U6をシステム用ドライブとして設定した点だけだ。なお、Maxtor 53073U6には全容量を1パーティーションに設定してWindows 98 SEとSYSmark2000をインストールした。ディスプレイの解像度は、1024×768ドット65536色、75Hzに設定している。

SYSmark2000の実行結果

 グラフは、IDEインターフェイスの動作モードごとに測定した、SYSmark2000の「Internet Content Creation」と「Office Productivity」の値だ。グラフから分かるとおり、Ultra DMAモード4とモード2の性能差はほとんどなかった。これは、HD Tachによる測定結果と同じ傾向である。ところが、PIOモード4での結果は予想に反して、Ultra DMAモードでの測定結果とほとんど変わらない値を示した。PIOモードでは、ディスク アクセスが低速なうえ、ディスク アクセス時にCPUを使うため、SYSmark2000の結果も低速になるように思われたが、性能差としてはほとんど現れなかった。このような結果となった原因は、SYSmark2000がディスク アクセスに費やす時間が、SYSmark2000全体の処理時間に対して短く、ディスク アクセスに多少性能差があっても全体の結果にはほとんど影響しないためと考えられる。実際の使用環境においても、延々とディスク アクセスを行うプログラムはまれで、ディスク アクセスに費やされる時間はそれほど長くはないことを考えると、SYSmark2000の示す結果は妥当な値だろう。

代表的なアプリケーションの実行時間

 このグラフは、SYSmark2000の実行するアプリケーションのうち、大多数のユーザーにとってなじみ深いMicrosoft Word 2000、Microsoft Excel 2000、Microsoft PowerPoint 2000、そしてAdope Photoshop 5.5の4製品の測定値を各モードごとにグラフ化したものだ。この値は上のグラフとは異なり、実際に各アプリケーションにおいてベンチマーク プログラムを処理するのに費やした時間を示している。各モードの値を見ていくと、確かにUltra DMAモード4がもっとも高速で、次にUltra DMAモード2、最後にPIOモード4という測定結果にはなっている。ただ、その差は微々たるもので、見方によっては測定誤差といえる範囲内に留まっている。 

結論:実環境では転送モード間の差はそれほどない

 アプリケーション ベンチマークのように、ディスク アクセスはもちろん、CPUやグラフィックス サブシステムの性能を同時に測定するベンチマークでは、Ultra DMAモード4、モード2の差はもちろん、PIOモード4と比較しても明らかな性能差は測定されなかった。今回のテストでは、128Mbytesのメモリを搭載したPCを使用したこともあり、ほとんどスワップが発生していない。搭載メモリが少ない、スワップが大量に発生するようなシステムでは、転送モードの差が性能に大きな影響を与える可能性もある。また、大量のファイル コピー時などは、PIOモードとUltra DMAモードの性能差は体感できるほど大きく、無視できないだろう。ただ、現在の平均的なシステム環境の場合、転送モードは、アプリケーションの処理性能にはほとんど影響をおよぼさないことが分かった。

関連リンク
BAPCo SYSmark 2000の製品情報
 
 
     

 INDEX
  [実験]Ultra DMA/66の性能を徹底検証
  1. Ultra DMA/66、Ultra DMA/100登場の背景
  2. 実験前の下準備
    2-1. 機材を揃える
    2-2. 設定の確認
    2-3. デバイス ドライバを設定する
  3. Ultra DMA/66の実力を測る
    3-1. ハードディスク間の比較
    3-2. 転送モード間の比較
      コラム Windows 2000における転送モード間の比較
    3-3. IDEコントローラ間の比較
      コラム Windows 2000におけるIDEコントローラ間の比較
    3-4. Windows 98標準ドライバとベンダ製ドライバとの性能比較
  3-5. アプリケーション ベンチマーク テストで性能差は現れるのか?
  4. Ultra DMA/66は必要なのか?
 
「PC Insiderの実験」

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