実験 

137Gbytes超IDEディスクの正しい使い方

4.48bit LBA対応IDEインターフェイス・カードを利用する

デジタルアドバンテージ 島田広道
2002/01/22

 IAAを駆使すれば、Windows 2000環境で137Gbytesの壁を克服できることは、これまでの実験で分かった。と同時に、パーティション構成やブート関連ファイルの保存場所、そしてWindows XPへのアップグレードなどで注意すべきことが多く、管理の手間が増大するという欠点も明らかだろう。何より、Intelの800番台のチップセットを搭載していないPCでは、IAAが使えないということが致命的である。

 こうした欠点を克服できる解決策としては、48bit LBA対応を謳うIDEインターフェイス・カードが挙げられる。IAAのように無償ではないが、IAAの欠点を克服できるならば追加コストに目をつぶることも可能だろう。そこで本稿では、Promise Technology製の最新製品であるUltra133TX2をテストしてみた。48bit LBAに対応した2ポート装備のPCI IDEカードである。

48bit LBA対応のIDEカード「Ultra133TX2」

Promise Technologyが開発し、国内ではシネックスが販売しているIDEカードの1種。写真のものは量販店にて6800円で購入した。48bit LBAのほか、最大133Mbytesでデータ転送できるIDE規格「Ultra ATA/133」にも対応している。またWindows 95/98/Me/NT 4.0/2000/XPに対応しているため、例えばIAAで問題となったWindows 2000からWindows XPへのアップグレードにも対処できる。ハードウェア的にはPCI 2.2対応の32bit PCIカードであり、現在使われているPCIスロット装備のほとんどのデスクトップPCで本カードを利用できるはずだ。

 Ultra133TX2の「48bit LBA」対応とは、カード上の拡張ROM(フラッシュメモリ)に内蔵されるディスクBIOSと、各OS対応のIDEドライバの両方とも、48bit LBA対応であることを意味する。またWindows 2000のインストール時に専用IDEドライバを組み込めるため、インストール中に137Gbytes以上の容量が正しく扱える。実際、160Gbytesハードディスクをつなげると、以下の画面のようにディスクBIOSもWindows 2000も160Gbytesの全容量をあっさりと認識した。

Ultra133TX2のディスクBIOSが表示する初期化メッセージ
160Gbytesハードディスクが「D0」つまりポート1のマスタに接続されていることが表示されている。
  「152GB」つまり約163Gbytesの容量が認識されていることが分かる。
  「Ultra DMA 6」とは、Ultra ATA/133の最速転送モード、すなわち133Mbytes/sの転送モードが選択されていることを意味する。Ultra133TX2とテスト対象の160Gbytesハードディスク(Maxtor DiamondMax D540X 4G160J8)の両方ともUltra ATA/133に対応しているため、この転送モードが選択された。
 
Ultra133TX2使用時のWindows 2000インストール画面
これはWindows 2000のインストール中、認識されたディスク容量とパーティション構成が表示されているところ。
  「156328GB」、つまり164Gbytesの容量が認識されていることが分かる。

 またUltra133TX2に160Gbytesハードディスクを接続した状態で、パーティション操作ユーティリティ「PartitionMagic 7.0日本語版」とディスク・コピー・ユーティリティ「Drive Image 5.0日本語版」を使ってみた(どちらもDOS上で利用)。これらのユーティリティは基本的にディスクBIOS経由でハードディスクにアクセスするが、問題なく160Gbytesの全容量を認識した*3。パーティションの縮小や移動、パーティション単位のコピー、イメージ・ファイルの作成と復元など、試した限りの処理は正常に完了した。Ultra133TX2搭載のディスクBIOSが48bit LBA対応である恩恵といえる。

*3 編集部でテストした限りでは160GbytesのIDEハードディスクを正常に扱えたが、これらのユーティリティの販売元であるネットジャパンでは、「設計上は137Gbytesまで対応」としている。137Gbytesを超える容量の扱いについては、動作保証されていないことにご注意いただきたい。

 たとえ137Gbytesを超える容量のハードディスクをつないでいても、それをユーザーが意識することなく利用できる。それがUltra133TX2のようなIDEカードの大きなメリットといえよう。

ディスク・オーバーレイ・ソフトウェアは「使える」のか?

 マザーボード上のディスクBIOSが48bit LBA非対応の場合、各ハードディスク・ベンダが提供しているディスク・オーバーレイ・ソフトウェアを利用するという方法がある。これは、パーティションを操作し、PCの起動中にディスクBIOSを差し替えるなどのテクニックを駆使して、ディスクBIOSのレベルで容量の壁を解消するというものだ。過去にあった8.4Gbytesや33Gbytesの容量の壁を克服するのに、よく利用されてきた。

 本稿で使用した160GbytesハードディスクのベンダであるMaxtorは、「MaxBlast Plus II Ver.1.00」というディスク・オーバーレイ・ソフトウェアを提供中だ。これを160Gbytesハードディスクで実際に試したところ、DOS環境では確かに160Gbytesの全容量を認識できた(FAT32の単一パーティションを作成できた)。しかし、MaxBlast Plus IIのウィザードで「Windows 2000」という選択肢を選んでWindows 2000のインストールを試みたが、セットアップは成功しなかった(途中でハングアップ)。実際、MaxBlast Plus IIのダウンロード・ページには、

NOTE: The MaxBlast Plus II Software is not recommended for use with Windows NT 4.X, 2000 and XP installs.

と記されていることから、DOSやWindows 9x系OSでの利用に限定した方がよさそうだ。

 こうしたディスク・オーバーレイ・ソフトウェアでディスクBIOSを48bit LBA対応させたとしても、別個にIDEドライバも48bit LBAに対応させる必要がある。両者をセットアップして正常に運用する手間を考慮すると、数千円で入手できる48bit LBA対応IDEインターフェイス・カードをインストールするほうが、よほど安全・確実といえるだろう。

ハードディスクの移し替えには要注意

 48bit LBA対応のPCで使っていた137Gbytesを超える容量のハードディスクを、48bit LBA非対応のPCにつなぎ変えるのは、十分注意すべきだ。この場合、原理的に、48bit LBA非対応のPCでは137Gbytesの境界より後の領域にはアクセスできない。ところが、Windows 2000の[ディスクの管理]でパーティションを参照すると、ディスクの全容量は137Gbytesを超えた容量(本稿のテストでは160Gbytes)に見えるのだ。これは、Windows 2000がハードディスクそのものからではなく、パーティション・テーブルなどから得た情報(これはその前に搭載していた48bit LBA対応のPCで設定された情報)を元に全容量を表示しているからだと思われる。

 一見すると、そのままパーティション設定をやり直さずに使えそうだが、実際には137Gbytes以降の領域は使えない。全パーティションを削除して、いったん再起動してからパーティション構成をやり直すべきだろう。

 この例に限らず、あるPCから別のPCにハードディスクを移動する場合、両方のPCの間でハードディスク内のアドレッシングに互換性がない場合がときどきある。これはディスクBIOSの仕様や設定の違い、前述のディスク・オーバーレイ・ソフトウェアなどの起因する。ハードディスクを移動しても、その中のデータがそのまま利用できるとは限らないことを覚えていた方がよい。


48bit LBA対応IDEカードがベストだが、動作確認は十分に行うべき

 現在、48bit LBA対応は始まったばかりであり、いわば過渡期の始まりに位置付けられる。そうした状況下で、本稿の実験結果より、Windows 2000環境で推奨できる137Gbytesの壁の対策をまとめてみよう。

 まず、管理の手間をなるべく省くという観点から、Ultra133TX2のような48bit LBA対応のIDEカードを導入するのがベストだ。これならば、ハードディスク容量が137Gbytes以上かそれ以下かを区別せずに運用できる。また、使用中のIDEインターフェイス用の48bit LBA対応IDEドライバが提供されていない場合も、必然的にこのIDEカードによる解決策が唯一の選択肢となる。

 しかし、数千円とはいえUltra133TX2は有償である。ハードディスク以外の追加コストは0円に抑えたい、あるいはUltra133TX2を装着できるPCIスロットがない、といった場合は、IAAのような48bit LBA対応IDEドライバで利用することになる。ただし、ディスクBIOSが48bit LBA非対応の場合は、トラブル防止のため、137Gbytes以上の領域にはデータのみを保存し、システム/ブート・パーティションを配置しないこと。さらにいえば、137Gbytes以上のハードディスクは2台目以降の追加ディスクとして扱う方がよい(管理が簡単になる)。

 注意すべき点は、160Gbytesハードディスクを出荷しているのがMaxtorのみで、ほかのベンダの製品はまだ登場していないことだ(2002年1月中旬時点)。そのため、現在市販されている48bit LBA対応のIDEドライバやディスクBIOS、IDEカードなどの製品は、Maxtor以外のベンダ製ハードディスクでテストされていないものが多いだろう。48bit LBA自体は標準規格といえる共通仕様だが、各社のハードディスクに実装された時点で、微妙に仕様が異なってしまう可能性は否定できない。

 こうした問題は、本稿で取り上げていないほかのIDEホスト・コントローラにも当てはまることだ。従って、既存のデータの損失が生じないよう、実際に運用を始める前に、48bit LBA対応製品を組み合わせて十分な時間をかけてテストを行うようにしたい。記事の終わり

  関連リンク 
MaxBlast Plus IIのダウンロード・ページ
 
  更新履歴
【2002/01/24】 ディスク関連ユーティリティ「PartitionMagic 7.0日本語版」と「Drive Image 5.0日本語版」が対応するIDEハードディスクの全容量について、販売元のネットジャパンでは「設計上は137Gbytesまで対応」としていることを併記しました。
【2002/01/22】 「48bit LBA対応IDEカードがベストだが、動作確認は十分に行うべき」にある、上から4番目の段落にて、

 「注意すべき点は、160Gbytesハードディスクを出荷しているのがMaxtorのみで、ほかのベンダの製品はまだ登場していないことだ(2001年1月中旬時点)。」

と記していましたが、正しくは2002年1月中旬です。お詫びして訂正させていただきます。
 
 
 

 INDEX
  [実験]137Gbytes超IDEディスクの正しい使い方
    1. IDEハードディスクの「容量の壁」とは?
    2. 48bit LBAに未対応だと、どんな不具合が生じるのか?
    3. 160GbytesハードディスクへWindows 2000をインストールする
  4. 48bit LBA対応IDEインターフェイス・カードを利用する
 
「PC Insiderの実験」

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