実験 

新世代ブロードバンド・ルータの性能を検証する

3. 新旧ルータの性能を比較する方法

デジタルアドバンテージ 島田広道
2002/01/31

 ベンダの実測では、BAR SW-4P Proのスループットは45Mbits/sとされているが、前述のようにこの値はネットワークに流れた全データ量を測定して得られた値である。そこでエンド・ユーザーが実際に本機を運用したときに得られる性能を測定すべく、ベンチマーク・テストを実行してみた。同じ条件で2機種の従来製品もテストし、性能を比較しているほか、フィルタリングの設定による性能低下についても調べてみた。

ベンチマーク・テストの環境や方法、条件について

 ベンチマーク・テスト時のネットワーク構成は下図のとおりである。ブロードバンド・ルータの基本的な性能を測定するため、ブローバンド・ルータを介してサーバ1台とクライアント1台を接続するという、シンプルな構成を選んだ。また、実際のインターネット接続を利用すると、速度のボトルネックがインターネット接続になる可能性があるため、閉じたネットワークでテストしている。

テスト時のブロードバンド・ルータと各PCの接続状態
単純にサーバ1台に対してクライアント1台からアクセスしたときの性能を測定している。またデータ転送のプロトコルにも、シンプルかつ性能の出やすいftpを選んだ。現実的には、この測定結果がエンド・ユーザーにとっての最大性能になるだろう。
 
スペック項目 内容
サーバ側のPC
プロセッサ Intel Pentium III-1B GHz
マザーボード AOpen AX3S Pro
チップセット Intel 815E
メモリ 256Mbytes PC133 SDRAM CL3
ネットワーク・インターフェイス 100BASE-TX対応PCIイーサネット・カード(Intel PRO/100+ マネージメント・アダプタ)
グラフィックス Intel 815E内蔵アクセラレータ
ハードディスク 40Gbytes IDEハードディスク
OS Windows 2000 Server+Service Pack 2(スタンドアロン・サーバとして運用)
ftpサーバ IIS 5.0付属のFTPサーバ
クライアント側のPC
プロセッサ Intel Pentium 4-1.9GHz
マザーボード Intel D850MV
チップセット Intel 850
メモリ 256Mbytes PC800 RDRAM
ネットワーク・インターフェイス 100BASE-TX対応PCIイーサネット・カード(Intel PRO/100+ マネージメント・アダプタ)
ハードディスク 40Gbytes IDEハードディスク
OS Windows 2000 Professional+Service Pack 2
ftpクライアント Windows 2000標準のftpクライアント(CUI)
テストに使用したPCのハードウェア/ソフトウェア仕様

 テスト方法としては、ftpクライアント・ソフトウェアで40Mbytesのテスト・ファイルをサーバ用PCとクライアント用PCの間で転送し、5回分の結果から平均速度を得る、というものだ。またハードディスクへのアクセスにより測定速度が下がらないよう、測定前に1回ファイルをftpで転送し、転送元PCのメモリ上にあるディスク・キャッシュにテスト・ファイルをロードするようにしている。これにより、測定時にはすべてオン・メモリで処理される。

比較のために用意した従来のブロードバンド・ルータ

 BAR SW-4P Proと性能を比較するためのブロードバンド・ルータとしては、下の写真の2機種を用意した。

ヤマハのRTA54i LinkSys社のBEFSR41
ヤマハのSOHOや家庭向けのルータ/TA「NetVolante(ネットボランチ)」シリーズに含まれるブロードバンド・ルータ。発売開始は2001年7月。ISDN接続もサポートしているほか、TA機能もある。細かく制御できるファイアウォールNAPT、また2つのLANをリモート接続できるなど、ビジネス・ユースを重視した機能を多数実装しているのが特徴だ(RTA54iの製品情報ページ)。 製造元のLinkSys社は、海外ではSOHO/家庭向けブロードバンド・ルータのベンダとしてよく知られている。このBEFSR41は1999年末発表と比較的古い製品だが、4ポートの10/100BASE-TXスイッチング・ハブを内蔵し、ADSLでよく使われるPPPoEプロトコルにも対応するなど、機能的にはBAR SW-4P Proに決して見劣りしない(リンクシス・ジャパンのBEFSR41の製品情報ページ)。

 また、比較テスト時の各ブロードバンド・ルータの設定は、以下のように変更している。

スペック項目 内容
アドレス/ポート変換機能 NAPT(IPマスカレード)有効
パケット・フィルタリング パケットを遮断(破棄)する設定はすべて削除し、全パケットを通過させる設定のみ残した
ログの記録 すべて無効
PPPoE 無効(使用せず)
ファームウェアのバージョン テスト時点で最新の正式リリース版を使用
BAR SW-4P Pro: Ver1.01
RTA54i: Rev.4.04.05
BEFSR41: 1.40.2
LAN側イーサネット・ポートの速度設定 BAR SW-4P Pro: 100BASE-TX/全二重
RTA54i: 10BASE-T/半二重
BEFSR41: 100BASE-TX/全二重
WAN側イーサネット・ポートの速度設定 BAR SW-4P Pro: 100BASE-TX/半二重
RTA54i: 10BASE-T/半二重
BEFSR41: 10BASE-T/半二重
性能比較テスト時のブロードバンド・ルータの各種設定
3機種とも、なるべく条件が同じになるように設定している。特にRTA54iはデフォルトでパケットをフィルタリングする設定が有効になるが、残りの2機種に合わせて無効にしているほか、不正アクセスの検知機能も無効にしている。ただし、イーサネット・ポートの速度だけは、各機種で最大性能を発揮できるよう、個別に変えている(実際には、どの機種も速度や全二重/半二重を自動判別するため、PC側でイーサネット・カードの設定を変更している)。

 特にパケット・フィルタリングの設定はスループットに影響するため、なるべく公平になるよう、ほとんどのフィルタリング設定を無効にしている。実際に運用するときにはさまざまなフィルタを設定するが、3機種の間でフィルタリングできる設定項目が大幅に異なり、共通のフィルタ設定ができなかったため、やむを得ずフィルタを無効にすることで設定を共通にした(例えば、WAN→LAN向きのフィルタリングを個別に設定できるのはRTA54iだけだった)。

 転送レートが変わるという点ではNAPT(IPマスカレード)も同様だが、これは一律有効としている。SOHO内/家庭内のLANをインターネットに接続する場合、複数台のPCから1つのWAN側IPアドレスを共有するため、たいていはこの機能を利用するからだ。NAPTを無効にすれば、転送レートは若干高まるだろう。

  関連記事(PC Insider内) 
ネットワーク・デバイス教科書:第1回 広帯域インターネット接続を便利に使う「ブロードバンド・ルータ」
ネットワーク・デバイス教科書:第12回 ブロードバンド・ルータの基本設定
ブロードバンド・ルータ徹底攻略ガイド
ビギナー管理者のためのブロードバンド・ルータ・セキュリティ講座
ウイルスを遮断できるブロードバンド・ルータ「GateLock X200」
 
  関連リンク 
BAR SW-4P Proの製品情報ページ
コレガ製BAR SW-4P Proの動作実績情報
RTA54iの製品情報ページ
ヤマハ製RT54iの動作実績情報
BEFSR41の製品情報ページ
リンクシス・ジャパン製BEFSR41の動作実績情報
運用:常時接続時代のパーソナル・セキュリティ対策(第1回)
6.セキュリティ対策その3:パケット・フィルタを設定する(1)
ゼロ円でできるブロードバンド・ルータ 2
 1FD Linuxで作る高機能ルータ [インストール編]
ゼロ円でできるブロードバンド・ルータ 2
 1FD Linuxで作る高機能ルータ [設定・運用編]
 

 INDEX
  [実験]新世代ブロードバンド・ルータの性能を検証する
    1. ブロードバンド・ルータに「性能」があるワケ
    2. BAR SW-4P Proの中身と性能の関連性
  3. 新旧ルータの性能を比較する方法
    4. 従来製品より桁違いに速いが……
 
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