実験 

中古PC活用講座パート2【RAID構築編】

2.RAID構築の機材を揃える

澤谷琢磨 
2002/03/30

古いPCをRAID対応ファイル・サーバとして再利用する

 Linuxのインストールの手間は、ハードウェア構成を決定する時点で決まる。最新のハードウェアのLinux用デバイス・ドライバが、現時点で提供されているとは限らないためだ。これを解決する最も簡単な方法は、消極的ではあるが、実績のある古いハードウェアを用いることである。本稿では、「実験:中古PC活用講座」で用いたのと同じ、Pentium II-233MHz搭載機を選んだ。この程度のスペックのPCでもLinuxならば、SOHO/部署のファイル・サーバとして十分に利用可能だ。今回用いたPCのスペックは、ハードディスクとそのインターフェイスを除いて下表のとおりである。

プロセッサ Pentium II-233MHz
メモリ 64Mbytes PC100 SDRAM
チップセット Intel 440BX
グラフィックス NVIDIA Riva TNT
CD-ROMドライブ リコー MP7060A
ネットワーク メルコ LGY-PCI-TXL
テストに用いたPCのハードウェア構成(ハードディスクを除く)

構築するRAIDレベルを決める

 IDEディスクと低価格ハードウェアRAIDコントローラを用いてRAIDボリュームを構築する場合、選択可能なRAID構成は、RAID 0かRAID 1のいずれかになる。このあたりの事情は「特集:IDE RAID実践導入術【低価格IDE RAIDカード編】1.最新IDE RAID事情」を参照していただきたい。今回はデータの保護を目的としているため、2台のハードディスクをミラーリングして信頼性を高めるRAID 1を選択することにする。

 LinuxのソフトウェアRAIDの場合、パーティション単位でRAIDボリュームが構築可能だ。そのため、ハードディスクに対する制限は見かけ上存在しないのだが、実際には物理的なハードディスクの故障からデータを保護するためには、対となるパーティションは別のハードディスクに置かなければ意味がない。そこでソフトウェアRAIDの場合も、低価格IDE RAIDカードを用いたハードウェアRAIDと同様、2台の同容量のハードディスクを用いたRAID 1を採用することにした。RAID 1の場合は、ハードディスクを2台搭載しても1台分の容量しか利用できないが、ほかのRAIDレベルに比べると設定は容易だ。

準備したハードディスクとIDEカード

 ハードウェアRAID、ソフトウェアRAIDともに、IDEハードディスクを2台用いたRAID 1として構築することが決まったので、続いて構築に用いるハードウェアの選定に入る。RAID 1としてのパフォーマンスを考慮すると、2台のIDEハードディスクはまったく同じ製品を用いることが望ましい。ここでは、Seagate Technology製のBarracuda ATA IVシリーズの容量40Gbytesのモデル「ST340016A」を用いることにした。Barracuda ATA IVを選んだのは、本稿執筆時点で、性能、価格、入手性のバランスが優れていたことによる。80Gbytesクラスのハードディスクも安価になってきているので、必要ならもっと大容量のハードディスクを選択してもよいだろう。

Barracuda ATA IV ST340016A
今回の実験で採用したIDEディスク(製品情報ページ)。性能と価格の面で優れているため採用した。さらに大容量のハードディスクを選択してもよい。

 ハードウェアRAID構築に必要なIDE RAIDカードには、「特集:IDE RAID実践導入術【低価格IDE RAIDカード編】」でも使ったPromise Technology製のFastTrak TX2000を用いることにした。FastTrak TX2000は最新の製品であるため、従来製品より性能と入手性の面で優れているが、いまのところLinuxカーネルにはデバイス・ドライバが取り込まれていない。ただ、Promise TechnologyがWebサイトでデバイス・ドライバを配布しているので、Linuxインストール時にマニュアルで導入すればよい。IDE RAIDカードについても、前述のように多くの製品がLinuxに対応し始めているので、それらの中から条件に合ったものを選んでいただきたい。FastTrak TX2000と同様の手順でRAIDの構築が行えるはずだ。

Promise Technology製IDE RAIDカード「FastTrak TX2000」
RAIDカードとしての性能や機能は大したことがないが、価格と入手性という点では優れている。あまりコストをかけずに耐障害性を確保するためにRAID 1を構築したい、といった用途には最適なカードである(製品情報ページ)。

 一方、ソフトウェアRAIDはPCに標準装備のIDEインターフェイスを利用して実現できる。ただ、今回の実験で用いたPCはIDEインターフェイスがUltra DMA/33までの対応のうえ、ディスクBIOSも古いため、このままで最新のIDEハードディスクを接続するのは、性能の面でも互換性においてもあまり好ましくない。ソフトウェアRAIDの場合でも、追加のIDEカードを導入した方が無難だ。Red Hat Linux 7.2のカーネル(バージョン2.4.7)にデバイス・ドライバが収録されているIDEカードの中から、現時点での入手性を考慮して、Promise Technology製の「Ultra100 TX2」を選んだ。

Promise Technology製IDEカード「Ultra100 TX2」
今回は、ソフトウェアRAIDの場合もIDEカードを追加することにした。Red Hat Linux 7.2のカーネルにデバイス・ドライバが収録されているIDEカードの中から、ハードウェアRAIDのFastTrak TX2000との比較も考慮してPromise Technology製を選択した(製品情報ページ)。

 Promise Technology製のUltra100 TX2の実売価格は、約5000円(バルク品ならば3000円程度から)なのに対し、FastTrak TX2000は約1万5000円であり、両者には約1万円の価格差がある。導入コストにおける、ソフトウェアRAIDとハードウェアRAIDの差はこの程度ではあるが、ソフトウェアRAIDが簡単に導入・運用できるのならば、この価格差は無視できない。ハードウェアRAIDを選択するなら、この差を埋めるだけのメリットがなければ意味がないことになる。

  関連記事
中古PC活用講座
IDE RAID実践導入術【低価格IDE RAIDカード編】
IDE RAID実践導入術【低価格IDE RAIDカード編】1.最新IDE RAID事情
 
  関連リンク 
IDEハードディスク「Barracuda ATA IV ST340016A」の製品情報ページ
IDE RAIDカード「FastTrak TX2000」の製品情報ページ
IDEカード「Ultra100 TX2」の製品情報ページ
 


 INDEX
  [実験]中古PC活用講座パート2【RAID構築編】
    1.Linuxのディストリビューションを選択する
  2.RAID構築の機材を揃える
    3.パーティション構成を検討する
    4.ソフトウェアRAIDの構築−−パーティションの構築
    5.ソフトウェアRAIDの構築−−RAIDボリュームの作成
    6.ソフトウェアRAIDの構築−−動作確認
    7.ハードウェアRAIDの構築−−デバイス・ドライバを準備する
    8.ハードウェアRAIDの構築−−デバイス・ドライバをインストールする
    9.RAIDの再構築を確認しておこう
    10.ソフトウェアRAIDの再構築の実際−−パーティションの構築
    11.ソフトウェアRAIDの再構築の実際−−デバイスごとの再構築
    12.ソフトウェアRAIDかハードウェアRAIDか
 
「PC Insiderの実験」

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