IT Market Trend

第8回 2000年の日本国内ワークステーション市場分析--UNIXワークステーションに復調の兆し

ガートナー・ジャパン株式会社
データクエスト アナリスト部門サーバシステム担当シニアアナリスト

亦賀忠明
2001/07/25


2000年、日本国内のワークステーション市場は、前年(1999年)比で出荷台数が9.6%増の17万7809台、出荷金額が11.0%減の1464億円であった。金額は昨年と同様に減少したが、台数でプラス成長となったのは、過去4年間で初めてのことである。台数におけるプラス成長は、UNIXワークステーション市場の改善が大きく寄与している。一方、製品単価の急速な下落は継続しており、これが出荷金額の減少につながっている。本稿では、国内ワークステーション市場の状況について、2000年の出荷データをもとに分析する。

国内ワークステーション市場規模

 出荷台数ベースと出荷金額ベースの市場規模をそれぞれ以下のグラフに示す。

国内ワークステーション市場の推移(出荷台数)
出典:ガートナー データクエスト(2001年5月)
 
国内ワークステーション市場の推移(出荷金額)
出典:ガートナー データクエスト(2001年5月)

セグメント別の出荷状況

 UNIXワークステーション市場は、これまで出荷台数、出荷金額ともに継続的に大幅な減少傾向にあった。しかしながら、同市場で見られた強い減少傾向は2000年に改善している。同市場の1999年の出荷台数、出荷金額ベースの成長率はそれぞれ、29.4%減、26.8%減であったが、これが2000年にはそれぞれ4.1%減、12.9%減となり、特に出荷台数が改善されたことが分かる。

 2000年、PCワークステーション市場の出荷台数ベースの成長率は、31.6%増であった。しかし、金額ベースでは3.7%増と、決して高い成長とはいえない状況にある。1999年における対前年比成長率は、それぞれ53.5%増、16.5%増であり、2000年の成長率は、出荷台数、出荷金額ともに1999年を下回っている。

ベンダ別出荷状況

 日本国内のワークステーション市場全体のベンダ別シェアを以下に示す。

2000年国内ワークステーション市場のベンダ別シェア
出典:ガートナー データクエスト(2001年5月)

 台数ベースでは、日本電気が1999年首位のサン・マイクロシステムズ(サン)を抜き去りトップに躍り出た。2位はサンで、以下、日本IBM、日本HP、デルコンピュータの順となっている。

 日本電気は、UNIXワークステーション(EWS4800シリーズ)の出荷台数が21.1%減となったが、PCワークステーション(Express5800/50シリーズ)が67.6%増と非常に好調であったため、全体では35.2%増となっている。

 サンのUltraワークステーションの出荷台数は、これまで減少傾向が継続しており、例えば1999年では対前年比で24.5%減、2000年では0.8%減となっている。日本電気に首位の座を譲ったものの、出荷台数の減少傾向に歯止めがかかったことは同社のワークステーション事業にとって、ひと安心といったところであろうか。

 日本IBMのPCワークステーション(IntelliStationシリーズ)は、出荷台数28.7%増と堅調であった。また、UNIXワークステーション(RS/6000ワークステーション)は、ほぼ横ばいの0.3%減となった。結果として、日本IBMの全体の成長率は19.0%増となり3位の座を安定的に確保している。

 日本HPの出荷台数は、PCワークステーション(KayakとVisualize X/P)で4.7%増、UNIXワークステーション(Visualize J/C/B)で3.5%増となり、全体では4.1%増であった。デルコンピュータのPCワークステーション(Precision WorkStation)の出荷台数は、73.0%増と大きく成長し、4位の日本HPに僅差まで迫る格好となった。

 グラフには示されていないが、6位はコンパック、7位は富士通となっている。コンパックについては、PCワークステーション(DeskproとProfessional Workstation AP/SP)の出荷台数が37.9%増と好調な一方で、UNIXワークステーション(Alpha WorkstationおよびProfessional Workstation XP)は12.0%減と低調な出荷となり、全体で29.3%増にとどまった。富士通は、PCワークステーション(FMV-PROとCELSIUS)の出荷台数が19.1%増と堅調であったものの、そのほかのワークステーションが64.1%減と大きく減少した結果、全体で37.9%減となった。

 金額ベースでは、日本HP、サン、日本電気、日本IBM、デルコンピュータの順となっている。日本HPは、Visualizeハイエンド、ミッドレンジUNIXワークステーションといった高額な製品が全体の出荷金額に貢献している。

毎年下がり続ける平均単価

 次のグラフに、これまでの日本国内におけるUNIXワークステーションとPCワークステーションの単価の推移を示す。青線の「平均」は、全ワークステーションの平均単価の推移である。

国内ワークステーション平均単価の推移
出典:ガートナー データクエスト(2001年5月)

 ワークステーションの平均単価は、1997年では約140万円であったが、これは毎年約20万円ずつ安くなり、2000年にはおよそ80万円にまで下がっている。この減少に拍車をかけているのは、PCワークステーションである。PCワークステーションの製品単価は、1997年に約100万円であったのが、2000年には約50万円と半減している。1999年と比較すると、PCワークステーションが約21.2%減、UNIXワークステーションが9.1%減となっている。このような製品単価の急速な下落が、ワークステーション市場の出荷金額の減少につながっている。

緩やかな成長が予測されるワークステーション市場の今後

 ハイエンドの需要の一部は、今後Compute Farm*1に置き換えられる。さらにローエンドについては、PCへ需要が移行する可能性がある。結果として、今後のワークステーション市場では、ハイエンドからミッドレンジにかけて、回路設計、シミュレーション、モデリング、流体解析といったハイ・スペックを要求する用途での需要は残るものの、製造業におけるリプレース需要を中心とした緩やかな成長にとどまるだろう。

*1 複数のコンピュータ、ストレージ、ネットワーク機器、ソフトウェアなどを1つの集合体として扱い、ユーザーからは単一のコンピュータ・リソースとして利用可能にするというもの。Sun Microsystemsが提唱している。

 ローエンド・ワークステーションについては、システム提案にオフコン的なアプローチを採用している日本電気などが、今後とも継続して特定用途アプリケーションを搭載した端末として販売していくと思われるため、ワークステーション市場を出荷台数ベースで支えるだろう。

 一方、出荷台数ベースのPCワークステーションの伸びに歯止めをかけたいサンは、この4月にSun Blade 100ワークステーションを投入した。Sun Blade 100は基本構成で16万円台とこれまで以上に安価であり、クライアントPCおよびPCワークステーションを強く意識した戦略的製品である。RISC/UNIXワークステーションのみでPC(IA)ワークステーションに戦いを挑むサンが、今後IA(インテル・アーキテクチャ)の脅威にどこまで対抗できるかが注目される。

 プロセッサ別では、この5月に登場したIPF(Itanium Processor Family)搭載ワークステーションが注目される。IPFは、ミッドレンジを皮切りに、今後はハイエンドまで浸透する可能性がある。将来的にHewlett-Packardなどの主要ベンダ製品のコア・プロセッサとなることは間違いないが、2002年に予定されている64bit版Windows 2002および次期Itanium(開発コード名「McKinley:マッキンリー」)の登場まで、急速に普及することはないだろう。記事の終わり

  関連リンク
Express5800/50とEWS4800の製品情報ページ
ワークステーションの製品情報ページ
IBMワークステーションの製品情報ページ
hp workstationの製品情報ページ
Precison WorkStationシリーズの製品情報ページ
ワークステーションの製品情報ページ
CELSIUSの製品情報ページ

 
     
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