動向解説

IDEディスクの壁を打ち破る最新ディスク・インターフェイス
 
デジタルアドバンテージ 島田広道
2001/09/15

 PCパーツの中で、数値のインフレーションが激しいものといえば、プロセッサの動作クロック周波数と並んで、ハードディスクの記録容量や転送レートが挙げられるだろう。このところ、各国の景気後退が影響しているのか、容量については1年で2倍という向上ペースが若干ゆっくりになってきたが、それでも市販のIDEハードディスク容量はすでに100Gbytes*1の大台に乗っている。転送レートにしても、実効で40〜50Mbytes/s程度が当たり前となりつつある。この値は1年半前の2倍に相当する。

*1 ハードディスクの容量は、伝統的に1Mbytes=1,000,000bytes、1Gbytes=1000Mbytesとして計算される。本稿でもこれにならっている。1Kbytes=1024bytesではないことに注意していただきたい。

 こうしたハードディスクの容量や転送レートの向上を支えているのは、記録ディスク(プラッタ)1枚当たりの記録容量、すなわちプラッタの記録密度を高める技術だ。現在市販されている3.5インチIDEハードディスクの最新製品では、1プラッタ当たりの容量は40Gbytes、面記録密度でいえば1平方インチあたり27〜31Gbitsである。これが100Gbitsに達するのは、そう遠くない将来のようで、例えば富士通研究所は、新しい記録媒体と磁気ヘッドの開発に成功し、300Gbits/平方インチまで達成する見通しを得た、と2001年8月20日に発表している(富士通研究所によるプレスリリース)。この技術を用いた製品は今年度中に富士通から発売されるという。

 またIBMも2001年5月22日、磁性層の間にルテニウムと呼ばれる貴金属を挟むことで記録密度を向上できる新しい多層コーティング技術を実用化したと発表している(日本IBMによるプレスリリース)。2003年には、やはり面記録密度100Gbits/平方インチを実現できる予定だという。

 こうした技術により、デスクトップPC向けの3.5インチ・ハードディスクなら400〜500Gbytes、ノートPC向けの2.5インチ・ハードディスクなら100〜200Gbytesという大容量の製品が、2年以内に登場する。「そんな容量がクライアントPCで必要なのか」という意見もあるが、例えば動画編集をしていると100Gbytes程度は意外とあっさり使い切ってしまう。これまでのPCの歴史が証明しているように、ディスク容量が増えれば、それに応じて大容量のデータが利用されるようになるのではないだろうか。

 一方、ハードディスクの記録密度が高まると、単位時間当たりにアクセスできる容量が増えるため、転送レートも高まる。つまり、容量と転送レートはセットで増大していくわけだ(両者のペースは異なるとしても)。クライアントPCのハードディスク・インターフェイスの標準であるIDEインターフェイスも、こうしたハードディスクの変化を受けて、やはり2年以内に大きく変わろうとしている(特に容量については差し迫っている)。キーワードは「Big Drive」「Fast Drive(Ultra ATA/133)」「シリアルATA」だ。

 本稿では、まず容量に注目し、Big DriveによりIDEの仕様がどのように変更されるのか、またその変更はエンドユーザーにどのような影響が与えるのか、なるべく実例を交えつつ解説してみる。次に、IDEインターフェイスの高速化に着目し、シリアルATAの最新スケジュールとFast Drive(Ultra ATA/133)の概要や運用上の注意点などを説明する。クライアントPCの購入や管理、アップグレードの計画を立てる一助になれば幸いである。

  関連リンク 
100ギガビット/平方インチのハードディスク技術開発に関するプレスリリース
多層磁気コーティング技術に関するプレスリリース
 

 INDEX
[動向解説]IDEディスクの壁を打ち破る最新ディスク・インターフェイス
    1.容量の壁を打ち破る「Big Drive」
    2.Over 137Gbytesディスクを正しく使うには
    3.不透明なシリアルATAへの移行スケジュール
    4.Fast Drive(Ultra ATA/133)の存在理由

「PC Insiderの動向解説」

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