ニュース解説

エンタープライズ重視のIntelを示したIDF Spring 2002 

4. ギガビット・イーサネットとシリアルATAの動向

元麻布春男
2002/03/12

 最後に、併設の展示会からいくつか話題を拾っておこう。まずは冒頭でも触れた1チップ化されたギガビット・イーサネット・コントローラだ(写真4)。発表された3種の概要についてはすでに触れたので、ここでは繰り返さないが、このチップを搭載したクライアントPC向けのカードを見ると、そのサイズなど外観が100BASE-TXのカードとほどんと変わらないことに驚く(写真5)。今回発表された1チップ・コントローラは、カード製品のみならず、サーバ、デスクトップPC、モバイルPCなどのオンボード実装用に採用が進んでいるとのことだった。さすがにモバイルPCの場合、バッテリが持たないとは思うが、企業向けのデスクトップPCの置き換えを狙ったノートPCなら問題ないようだ。次のステップとして、ICH(サウスブリッジ)への統合が待たれるところだが、そのスケジュールは現時点ではハッキリとしない。

写真4 1チップ化されたギガビット・イーサネット・コントローラ
左の82546EBは、サーバ向けに2ポートを1チップに統合したものでPCI/PCI-Xバス対応。右の82540EMは、主にクライアントPC向けで32bit PCIバス対応のシングル・ポート・タイプ。
 
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写真5 82540EMを採用したギガビット・イーサネット・カード「Intel PRO/1000 T Desktop Adapter」
見た目は100BASE-TX対応カードとほとんど変わらないが、ギガビット・イーサネット対応だ。

 ここ2〜3年のIDFで、必ず展示されていたものの1つに、シリアルATAが挙げられる。今回のIDFでは、ついに製品レベルの完成度を持つシリアルATA対応ハードディスクと、シリアルATA対応ホスト・コントローラが披露された(写真6)。写真6のハードディスクはMaxtorのものだが、ほかにSeagate Technologyも自社ブースでデモを行っていた。さまざまなベンダの意見を総合すると、シリアルATAはこの夏にも製品が勢ぞろいすることになりそうだ。

写真6 Maxtorが出展したシリアルATA対応ハードディスク
シリアルATAコネクタのほか、なぜかレガシー電源コネクタが復活している。

 なお、今回のIDFでは次世代のシリアルATA IIの標準化作業を行うワーキンググループ結成の発表があった(Intelの「シリアルATA IIワーキンググループ結成に関するニュースリリース」)。シリアルATA IIでは、シリアルATAをサーバやネットワーク・ストレージに対応可能なよう拡張を行うフェーズ1と、最大データ転送速度を2倍の300Mbytes/sに引き上げるフェーズ2の2段階で、規格化と商品化が行われることになっている。会場ではAdaptecのシリアルATA対応のRAIDコントローラもデモされており、シリアルATAが幅広く使われるものになることがうかがえた。

 このシリアルATAに加え、USB 2.0とIEEE 802.11aによる無線LANを統合した次世代PCのConcept Platformとして、「Lecta(レクタ)」が展示されていた(写真7)。Concept Platformというのは、Intelのデスクトップ・グループが現在取りまとめ中のデスクトップPC向けのデザイン・ガイド「Intel 2003 Desktop Platform Vision Guide」のコンセプトを具現化したプラットフォームだ。これまでのIDFで展示されてきたConcept PC(製品化を前提としてデザインやフォームファクタを重視したPC)と違って、製品化を狙ったものではないし、Concept PCでは重要な要件の1つである外観は、Concept Platformでは重要ではない。Concept Platformは上記のVision GuideのReference Platformを定めるための、一種のたたき台であり、スペックが重要というわけだ。

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写真7 2003年のプラットフォームのコンセプトを具現化したLecta
Concept Platformとして発表されたLecta。現在、Intelがまとめているデザイン・ガイドを具現化したもので、一種のたたき台といえるPCだ。

 今回展示されたLectaは、2002年第2四半期に発表予定のチップセット「Brookdale-G(開発コード名:ブルックディール・ジー)」を用いたmicroATXフォームファクタのマザーボードを中核とした、省スペース・デスクトップPCだ。Brookdale-Gは、現在使われているIntel 845チップセットにメイン・メモリ共有型のグラフィックス機能を統合したものである。グラフィックスの機能や性能については、「次世代のグラフィックス機能であり、Intel 815に内蔵のものとは比べ物にならない」という以上の具体的な話を聞くことはできなかったが、テレビ・エンコーダやDVIのトランスミッタ(デジタル接続のディスプレイ向け信号送信回路)が外付けになることは確認できた。DVIのトランスミッタは、オンボード実装、Intel 815と同じような独自コネクタを用いた拡張に加え、写真8に示したようなAGPバス対応のパドル・カードの提供も検討されているようだ。

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写真8 Brookdale-G汎用のパドル・カード
Brookdale-G汎用のDVIオプションとして利用可能なAGPバス対応のパドル・カード。Intel 815の独自コネクタと異なり汎用性を持つため(ただしチップセットはBrookdale-Gであることが必要)、カード単体で流通する可能性もある。

 Lectaのマザーボード上にはSilicon Image製のシリアルATAホスト・コントローラが実装されており、シリアルATAのハードディスクが使われている。USB 2.0は、Brookdale-Gチップセットに含まれるICH4が提供するもので、日本電気製のハブ・チップと組み合わせられ、合計8ポートが利用できる。一部は内部接続に用いられており、フロッピードライブ代わりに内蔵されているフラッシュカード・リーダーもUSB 2.0対応のものだった。拡張スロットにはCNRスロット対応の拡張サウンド・カード(S/PDIF対応)、テレビ・チューナー・ユニット、上述したAGPバス対応のDVIバドル・カードに加え、IEEE 802.11a対応の無線LANカードが実装されていた。

 Lectaは、あくまでも叩き台であり、これがそのまま市販されたり、リファレンス・デザインになったりすることはないが、Intelが考える2003年のデスクトップPCの姿を知るうえで興味深いものだ。なお、技術セッションで配布された「Intel 2003 Desktop Platform Vision Guide Rev 0.10」は、3枚の紙に目次だけが印刷されたスケルトンに過ぎなかったが、次のIDFまでには大まかな内容が決められることになっている。

 このように今回のIDFでは、主にサーバ向けの製品ならびに技術にフォーカスした内容となっていた。Pentium 4が順調に立ち上がった現在、課題は昨年、チップセットの遅れからスケジュールが大幅にずれてしまったサーバ分野ということなのかもしれない。Intel Xeon向けのチップセットとして、Intel E7500に加え、ServerWorksからもGrand Championシリーズの出荷が開始されたことから、2002年はサーバ分野でもNetBurstアーキテクチャ化が動き始めるだろう。また、Itaniumファミリについても、McKinleyのリリースによってこれまで以上に出荷が伸びることが期待されている。Intelが2002年はサーバ分野に期待を寄せていることを実感したIDF Spring 2002であった。記事の終わり

  関連リンク 
IDFに関する情報ページENGLISH
シリアルATA IIワーキンググループ結成に関するニュースリリース
 
 

 INDEX
  [ ニュース解説 ]エンタープライズ重視のIntelを示したIDF Spring 2002
    1.キーノート・スピーチで感じるIntelのエンタープライズ指向
    2.サーバ向けプロセッサの動向
    3.ナゾのまま終ったクライアントPC向けプロセッサ
  4.ギガビット・イーサネットとシリアルATAの動向
 
「PC Insiderのニュース解説」

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