ニュース解説

AMDが2次キャッシュをプロセッサ・ダイに同梱したAthlonとエントリPC向けDuronを発表

小林章彦
2000/06/08

 

新しいAMD Athlonプロセッサ

プロッサ・ダイ2次キャッシュを同梱したことにより、1チップ化が行われた。これにより、PGAパッケージによる供給も可能になった。

 2000年6月5日、米Advanced Micro Devices(AMD)社は、台湾の台北市で開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2000で、2次キャッシュをプロセッサ・ダイに同梱した新しい「AMD Athlon」とエントリPC向けの「AMD Duron」の2種類のプロセッサを発表した(AMD社のニュース・リリース)。今回の発表は、2000年春に公開されたAMDのロードマップのとおりであり、順調に製品開発が進んでいたことを示すものだ。

 今回発表されたAthlonは、開発コード名で「Thunderbird(サンダーバード)」と呼ばれていたもの。また、Duronは同様に「Spitfire(スピットファイア)」と呼ばれていたものだ。新しいAthlonは256Kbytesの2次キャッシュを、Duronは64kbytes(2000年6月5日時点では未発表、推測値)の2次キャッシュを、それぞれプロセッサ・ダイに同梱し、プロセッサと同じクロック周波数でアクセス可能となっている。これまでのAthlonは、512Kbytesの2次キャッシュをCPUカートリッジに内蔵していたものの、チップとしては別々であった。このような外付けタイプの2次キャッシュ・メモリの最大クロック周波数は、最近のx86プロセッサの動作クロックに対して、まったく追いつかないのが現状だ。そのため、動作クロックが700MHz以下のAthlonでプロセッサの1/2、750MHzから850MHzで2/5、900MHzから1GHzで1/3と、プロセッサのコア部分の動作クロックが高くなるほど、2次キャッシュのアクセス速度は遅くなっていた。今回、2次キャッシュをプロセッサ・ダイに同梱したことにより、2次キャッシュのアクセス速度が向上し、特に1GHzといった高い動作クロックの製品ほど、より性能が向上すると予想される。

 AMDが同社のホームページ上で公開したベンチマーク・テストの結果によると、BAPCoのSYSmark2000(Windows 98)というベンチマーク・テストでは、Athlon-1GHzの194.5に対し、Pentium III-1000EB MHz(Intel 820システム採用)では194、Athlon-800MHzの170.5に対し、Pentium III-800EB MHz(同)は170となっており、若干ながらAthlonが上回っている。これまでのAthlonは、2次キャッシュをプロセッサ・ダイに同梱したPentium III(開発コード名、Coppermine)に対し、同じ1GHz版で20%ほどの性能が低かったことを考えると、2次キャッシュをプロセッサ・ダイに同梱した効果が実証されたということだろう。

 新しいAthlonは、これまでのAthlonと同じSlot A対応のカートリッジに加え、新たに462ピンのZIFソケットのSocket Aに対応したPGAパッケージによる提供が行われる。一方、DuronはSocket A対応のPGAパッケージのみとなっている。これまでのAthlonからの主な変更点は以上で、そのほか128Kbytesの1次キャッシュ、200MHzのシステム・バス、エンハンスト3DNow!テクノロジの採用、0.18μmの製造プロセスの採用など、仕様の変更はない(ただしAthlonには、後述のように一部に銅配線を採用したバージョンがある)。このように今回発表されたAhtlonは、単に2次キャッシュをプロセッサ・ダイに同梱し、Socket Aのパッケージが選択できるようになったものだと思えばよい。今回、発表されたプロセッサの動作クロックと価格は以下のとおり。

動作クロック 価格(円) 価格(ドル) 価格(ドル)
AMD Athlon Pentium III
1GHz 11万8800円 990ドル 990ドル
950MHz 9万1080円 759ドル
933MHz 774ドル
900MHz 7万680円 589ドル
866MHz 562ドル
850MHz 6万840円 507ドル 551ドル
800MHz 4万3080円 359ドル 385ドル
750MHz 3万8280円 319ドル 337ドル
 
AMD Duron Celeron
700MHz 2万3040円 192ドル
650MHz 1万8480円 154ドル
600MHz 1万3440円 112ドル 112ドル

AthlonとDuron、Pentium III/Celeronの1000個ロット時の単価

 なお、同日に公開となったデータ・シートには、Athlonの650MHzと700MHzについてもオーダー・パーツ・ナンバー(OPN:注文番号)が記載されており、OEMからの要求によっては提供の可能性があることを示唆している。また、PGA版のデータ・シートにあるOPNの見方のページには、「Size of L2 Cache: 2=128Kbytes, 3=256Kbytes」といった記述があり、2次キャッシュを128Kbytesとした廉価版(もしくはノートPC版)を出荷する可能性を感じさせる。

 AMDは、今回のAthlonとDuronの発表に合わせ、ドイツのドレスデンにあるFab 30という半導体工場から新しいAthlonの出荷を開始したことも発表している(AMDのFab 30に関するニュース・リリース)。Fab 30は、米Motorola社との提携により、銅配線技術向けに建設された工場である。なお、銅配線技術は、従来のアルミ配線に比べ、より高速に半導体回路を駆動できると期待されているものだ。今回のAthlonは、従来からの0.18μmの製造プロセスを持つFab 25に加え、新しくFab 30からも出荷される。つまり、新しいAthlonには、アルミ配線のものと、銅配線のものの2種類が存在することになるわけだ。配線技術が異なる以上、動作電圧や発熱量などの仕様が異なる可能性が高いが、どのような形(動作クロックやパッケージ)で両者を分けるのかは、2000年6月5日時点では不明だ(データ・シートには両者の違いに関する記述はない)。

AthlonおよびDuron搭載PCの予定

 今回発表されたAthlonおよびDuronを搭載したシステムは、Compaq、Fujitsu-Siemens、Gateway、Hewlett-Packard、IBM、日本ゲートウェイ、ソーテック、エプソンダイレクト、ソフマップ、九十九電機、CSK・エレクトロニクス(T-ZONE)、フェイスといった各PCベンダが出荷を予定しているという。ただし、6月5日時点で各PCベンダから具体的な製品発表は行われていない。

 プロセッサの価格を見ても分かるように、AthlonとDuronは、それぞれPentium IIIとCeleronと同価格か若干安価な値付けが行われている。2次キャッシュをプロセッサ・ダイに同梱したことにより、性能面でもほぼ互角になったことから、今後Intelがどのように対抗してくるのかが楽しみだ。Athlonが登場し、Pentium IIIとの激しい性能競争の末、ハイエンドPC向けプロセッサの性能が著しく向上したように、DuronとCeleronとの性能・価格競争により、エントリPCの性能向上と低価格化が加速されることに期待したい。記事の終わり

  関連リンク
新型Athlonの発表とDuronの出荷開始に関するニュース・リリース
BAPCoのWebページ
ドイツのドレスデンにある半導体工場Fab30から新型Athlonの出荷を開始したことに関するニュース・リリース

「PC Insiderのニュース解説」

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