ニュース解説

パーム コンピューティング、2001年上半期に日本でもPalmによるワイヤレス・サービスを開始

塩田紳二
2000/05/27

 

米Palm社CEO カール・ヤンコフスキー氏

 

パーム コンピューティング株式会社代表取締役 クレイグ・ウィル氏

 Palmは、米国のPDA(Personal Digital Assistants)市場で大きなシェアを誇る小型の情報端末の代表ともいえる製品だ。その日本での開発、販売を行っているパーム コンピューティング(株)が、2000年5月24日に「ワイヤレス・インターネット時代に向けた世界、日本市場での展開について」というテーマで、戦略説明会を開催した。説明会には、米Palm社のCEO(最高経営責任者)、カール・ヤンコフスキー氏以下、主だった経営陣が出席し、現在と将来のPalmビジネスなどについての説明を行った。

 現在米国では、Palm VIIと呼ばれる機種で、無線を使ったワイヤレス・インターネット接続サービスが行われている。インフラには、ベルサウス・ワイヤレス・データなど、既存の無線サービスが利用されており、Palm VIIには無線モデムが内蔵されている。この無線サービスは、携帯電話ではなく、ページャー(ポケット・ベル)やメッセージ機器などに使われる無線パケット・サービスを利用している。ただし、Palmシリーズの画面解像度は、160×160ドットとあまり大きくないため、既存のWebページをそのまま表示するには無理がある。このためPalm社は、Web Clippingと呼ばれる仕様を策定し、この仕様に応じてコンテンツ・ページを作ることで、Palmシリーズでの閲覧を可能にしている。すでに、Amazon.comNew York Timesといった著名なサイトがこのWeb Clippingに対応しており、ユーザーは、内蔵アプリケーションを起動するかのようにアイコンをタッチすることで、必要な情報を無線通信で取得して表示させることが可能だ。このサービスは現在、Palm.Net Wireless Communication Service(Palm.Netワイヤレス・コミュニケーション・サービス)という名称で、 主要都市で行われている(ただし、全米をくまなくカバーしているわけではない)。

Palm VII

Palm.Netに対応したPalm(米国版)。無線通信を使ったe-mailサービスや情報サービスを受けることができる。

 またPalmは、今年中にヨーロッパでのワイヤレス・サービスを開始する予定で、英国ボーダフォン・エアタッチと協力体制にある。携帯電話会社と提携していることから、こちらは、ヨーロッパでポピュラーなGSM方式による携帯電話のインフラを利用したものになると思われる。

 さて、日本では、2001年上半期をめどに、同様のワイヤレス・サービスを行うという。国内で2001年までにサービスを開始するとなると、米国やヨーロッパ同様、すでにあるインフラを使うことになるだろう。また、利用形態から考えて、従量課金が可能なパケット・サービスを使う必要がある。同一のハードウェアで全国をカバーするとなると、国内では全国をカバーする1社(1グループ)のインフラのみを利用することになるだろう。具体的な利用料金はまだ明らかになっていないが、パーム コンピューティングによれば、無線通信の利用料金を「携帯電話に毎月1万円以上を支払っている人が安価に感じる程度」としている。

Palm Vx

Palm IIIc

名刺入れサイズの小型のPalm。モノクロ液晶ディスプレイを採用し、8Mbytesのメモリを搭載する。 256色表示のカラー液晶を採用したPalm。「Album ToGo(フォト ビュアー)」と「Chroma Gammon (バックギャモン)」の2つのアプリケーションを標準添付する。

 Palmは、1999年6月14日にNTTドコモとの提携を発表していることから、NTTドコモのパケット網を使うことが予想できる。イメージとしては、おそらくPalmで使うiモード・サービスのようなものになると思われる(制限を加えたWWWを使うところなども似ている)。Web Clippingに対応したオリジナル・コンテンツを揃えるには、コンテンツ・ベンダの参加が不可欠である。そのためには、2001年までにPalmを普及させるか、iモードに対する優位性をアピールする必要があるだろう。米国では、すでにPDA市場の70%以上を占めるというPalmだが、国内では、2000年3月16日に日本法人を設立し、2000年4月にようやく「Palm IIIc」と「Palm Vx」の2機種を本格的に発売したばかり。国内のPDAなどの市場規模は、今後も伸びる方向にあるとはいえ、数十万台程度に留まると予想されている。これに対して、すでにiモードは600万契約を突破、2000年内に1000万契約を達成することを目標にしている。となると、数の論理がものをいい、よほどのアピールができないと、ワイヤレス・インターネット端末としてユーザーの目をPalmに向けさせることは難しいかもしれない。もっとも、iモードに対応してしまうという方法もないわけではないだろうが……。記事の終わり

  関連リンク
パーム コンピューティングのWebページ
米Palm社のWebページ
米3Com社と協力して、Palm OS搭載端末と無線データ通信を利用した製品/サービスを開発することに関するニュース・リリース
米Palm社の日本法人としてパーム コンピューティング株式会社を設立したことに関するニュース・リリース
「Palm IIIc」と「Palm Vx」の日本市場での発売に関するニュース・リリース

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