ニュース解説

2002年、CeleronもNetBurstアーキテクチャになる

小林章彦
2001/11/06

 2001年10月30日、Intelは「2001 Intel Executive Webcast(以下、Webcast)」を開催した。このWebcastは、名前のとおり、インターネットのビデオを使い、クレイグ・バレットCEOをはじめとする役員が、Intelの役割やPC業界などの動きなどについて解説するもの。ここで2002年にIntelが発表する予定のプロセッサなどについて、アップデートも行われた。そこで、ここではWebcastで明らかになったIntelのロードマップについて解説する。

写真 役職・氏名・経歴
社長 兼 CEO(最高経営責任者)
クレイグ・バレット(Craig R. Barrett)
経歴ENGLISH
上席副社長 兼 インテル・アーキテクチャ事業本部長
ポール・オッテリーニ(Paul Otellini)
経歴ENGLISH
上席副社長 兼 ワイヤレス・コミュニケーションズ&コンピューティング事業本部長
ロナルド・スミス(Ronald J. Smith)
経歴ENGLISH
主席副社長 兼 コミュニケーションズ事業本部長
ショーン・マローニ(Sean Maloney)
経歴ENGLISH
2001 Intel Executive Webcastのスピーカー

2003年に0.09μmプロセスを導入

 すでにモバイルPentium III-MPentium III-Sなどが製造されている0.13μmプロセスの半導体工場は、2002年中ごろに6工場にまで増やされるという。現在、0.13μmプロセス工場は、2001年第1四半期に稼働を始めた「F20」のみであるが、第3四半期には「F22」と「D2」が、第4四半期には「F17」がそれぞれ稼働を開始する。2002年第1四半期と第3四半期に、300mmウエハによる0.13μmプロセス工場の「D1C」と「F11X」のそれぞれの稼働が始まり、2002年後半にはパフォーマンス・デスクトップPC向けのプロセッサがすべて0.13μmになる。つまり、2002年後半にはすべてのPentium 4が0.13μmに移行するということだ(2001年第4四半期にはノートPC向けプロセッサの50%以上が0.13μmプロセスによる製造になる)。さらに、2003年第1四半期には、早くも0.09μmプロセスの立ち上げを行うという。

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0.13μmプロセスによる半導体工場の稼働時期
縦軸は、0.13μmプロセスを採用して製造したウエハの枚数(200mmウエハ換算)。F11Xの稼働により、300mmウエハを採用したプロセッサの生産量が大幅に増えていくことが分かる。

 こうした0.13μmプロセスと300mmウエハの立ち上げにより、プロセッサの平均製造コストは2003年第4四半期に、2001年第4四半期と比べて25%の削減が実現する予定だ。世界的にIT市場が減速する中、Intelが積極的な設備投資を継続するのは、このように次々と新しい製造プロセスを採用することで、プロセッサの製造コストを引き下げ、競争力を高めることにある。製造プロセスの微細化は、プロセッサの低価格化とともに、高性能化も実現する。つまり、より高い性能のプロセッサを、低価格で販売できるようになるわけだ。これにより、新規購入だけでなく、買い替え需要なども喚起でき、販売個数を伸ばすことができる、というのがIntelの目論見だ。

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0.13μmプロセス採用によるコスト削減効果
左のグラフは、全プロセッサに対する0.13μmプロセス製造の割合。D1Cの稼働が本格化する2002年第1四半期から第2四半期にかけて、0.18μmプロセスで製造した個数を超える予定だ。また、ほぼ全プロセッサが0.13μmプロセス製造になる2003年第4四半期には、2001年第4四半期(ほとんどが0.18μmプロセス製造)に対して、25%のコスト削減が実現する。

2002年にCeleronもNetBurstアーキテクチャに

 今回のWebcastでは、2002年のIntelのプロセッサとチップセットのロードマップについても語られている。2001年にPentium IIIからPentium 4への移行を開始したデスクトップPCだが、2002年にはさらにPentium 4化が進む。すでに、2001年9月の段階でデスクトップPC向けプロセッサの24%がPentium 4になっており、第4四半期には40%を超える見込みであるという。2002年第2四半期には80%に達し、Pentium IIIからPentium 4への移行がほぼ完了する。Intelによれば、Pentium 4の順調な立ち上がりは、SDRAMに対応したチップセット「Intel 845」のリリースにより、Pentium 4を搭載したPCが800ドル台(日本では10万円以下)に入ったことが大きな要因と分析している。

 まず、デスクトップPC向けのロードマップだが、2001年第4四半期に0.13μmプロセスで製造されたPentium 4の出荷が始まり、2002年中にはすべてのPentium 4が0.13μmプロセスに移行する。これにより、Pentium 4の動作クロックは、2002年中に最大3GHzに達する。また、0.13μmプロセスのPentium 4投入と同時に、DDR SDRAMをサポートしたIntel 845の出荷も開始され、2002年第2四半期にはグラフィックス機能を内蔵した開発コード名「Brookdale-G(ブルックディール・ジー)で呼ばれるチップセットもリリースされる予定だ。

 Intelでは、Intel 845チップセットを「Stable Platform(安定したプラットフォーム)」と位置付けていることを明らかにした。基本的にIntelが「Stable Platform」と位置付けるチップセットが、メインストリームのPCで利用されるものとなる。Pentium II世代ではIntel 440BX、Pentium III世代ではIntel 815がStable Platformに位置付けられていた。実際には、Pentium III世代でIntel 820をStable Platformに位置付けるべく作業していたが、Direct RDRAMの立ち上げに失敗し、Intel 815が事実上、Stable Platformに位置付けられたという経緯がある。同様に、IntelはPentium 4世代で、再びDirect RDRAMをサポートするIntel 850を「Stable Platform」とするべくロードマップを組んでいたが、やはりSDRAM(DDR SDRAM)とDirect RDRAMの価格差が大きいことや、Direct RDRAMを製造するメモリ・ベンダの情勢が不安定*1なことなどから、Direct RDRAMをサポートするチップセットはワークステーションならびにハイエンド・デスクトップPCに限定したサポートにする方向に転換したようだ。すでに、大手PCベンダはこの意向に沿うように、Intel 845を採用したPCを中心にラインアップを組んでいる。大手PCベンダの中で、Intel 850を採用したデスクトップPCを販売しているのはいまやDell Computerだけである。

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PCの稼働状況
ビジネス用途で使われている世界中のPCの65%が700MHz以下であり、買い替えサイクルに入ると分析している。その場合に選択されるPCは、Pentium 4+Intel 845の新しい「Stable Platform」になるという。
 
*1 現在、Direct RDRAMを製造している大手メモリ・ベンダは、Samsung Electronics、日本電気(販売はエルピーダメモリ)、東芝、Infineon Technologiesなど。このうち日本ベンダである日本電気と東芝が、事実上の汎用DRAMからの撤退を決めており、Direct RDRAMの供給面で不安が残る。さらに、Direct RDRAMの低価格化を実現するといわれていた4i(4バンク構成)のRDRAMは、Samsung Electronicsしか製造しないことになったため、このメモリをサポートするチップセットはキャンセルすることにしたようだ。

 2002年中ごろになると、NetBurstアーキテクチャ(Pentium 4アーキテクチャ)を採用したCeleronが出荷される予定だ。これにより、Pentium 4とCeleronが同じアーキテクチャになり、これまでのPentium IIIとCeleronの関係と同様になる。NetBurstアーキテクチャを採用したCeleronとPentium 4でどの点が異なるか不明だが、動作クロックや2次キャッシュの容量、製造プロセス、FSBの速度などで差別化されることになるだろう。2002年中ごろというと、ちょうど2つ目の300mmウエハ/0.13μmプロセスの工場「F11X」の稼動が開始し、Pentium 4が全面的に0.13μm製造に移行する時期でもある。これにより、Pentium 4を製造していた0.18μmプロセスの工場に余裕が生まれ、NetBurstアーキテクチャを採用したCeleronの製造が可能になることから、この時期にCeleronのNetBurst化が行われるのだろう。このCeleronのNetBurst化と同時に、差別化のためにPentium 4のFSBが現在の400MHzから533MHzに引き上げられたり、2次キャッシュを256Kbytesから512Kbytesに増量したりする可能性も高い。この点については、残念ながら今回は明らかにされなかった。

ノートPCにもPentium 4が登場

 次にノートPC向けプロセッサ/チップセットについて明らかになった点について解説しよう。低消費電力版/超低消費電力版モバイルPentium IIIの投入や、2001年第3四半期に0.13μmプロセスのモバイルPentium III-Mへ移行したことなどにより、米国のPC市場が2001年第3四半期に72%にまで落ち込みをみせた中でも、ノートPC向けに関しては90%以上を堅持したという。2002年には、第1四半期にモバイルPentium 4を投入し、2002年前半にはすべてのメインストリーム市場向けにモバイルPentium 4の出荷を開始する予定だ。2002年第1四半期というと、ちょうど300mmウエハ/0.13μmプロセスの工場「D1C」の稼働が開始する頃である。これまでの例では、最新の工場を立ち上げる場合、ノートPC向けのプロセッサから製造されることが多い。このことからも、まずD1CでモバイルPentium 4が製造されることになると思われる。

 低消費電力版/超低消費電力版については、モバイルPentium 4には用意されず、Pentium III-Mで継続的な販売が行われる。動作クロックは、1GHz以上になる予定だ。モバイルPentium 4に低消費電力版などが用意されるのは、0.09μmプロセスが立ち上がる2003年第1四半期以降のことになるだろう。

 IDF Fall 2001(Intelの開発者向けのカンファレンス)で概要が発表されたノートPC向けの統合プロセッサ「Banias(開発コード名:バニアス)は、2003年に向けて開発が行われている。性能とバッテリ駆動時間は25%以上(どのプロセッサに対してかは明らかにしていない)も向上し、薄型で3lb(約1.4kg)以下のノートPCに搭載可能になるという。無線LAN規格のIEEE 802.11aとIEEE 802.11bの両方に対応することも明らかにした。なおIntelでは、2002年にギガビット・イーサネットとIEEE 802.11の機能をICH(I/Oコントローラ・ハブ)へ統合する予定である。Baniasでは、このICHを採用することで、IEEE 802.11の対応を行うものと思われる。

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チップセットへの機能統合の流れ
440FXでUSB 1.0のコントローラ、Intel 810でグラフィックス機能やオーディオCODEC、Intel 815でLANとHomePNAのMAC(メディア・アクセス・コントローラ)をそれぞれ統合したように、2001年以降、ギガビット・イーサネットとワイヤレス機能(IEEE 802.11)の統合を考えている。

Intel Xeonでサーバをサポート開始

 最後にサーバ向けプロセッサだが、この市場はチップセットの遅れから、2000年に構築したロードマップから大きくズレている。そのため、2002年は挽回するように多くの製品が予定されている。先行してワークステーション向けとして販売されているIntel Xeonだが、2002年第1四半期にIntelがボリューム・サーバ向けチップセット市場に再参入することで、やっとサーバ向けとしても出荷が開始される。開発コード名「Plumas(プラマス)」で呼ばれるチップセットは、DDR SDRAMをサポートしたデュアル・プロセッサ向けである。

 当初は、2001年5月21日のIntel Xeonの発表に前後して、ServerWorks(Broadcomの一部門)から対応チップセットが出荷され、ワークステーション/サーバ向けとして販売される予定であった(インテルの「Intel Xeonの発表に関するニュースリリース」)。ところが、ServerWorksのチップセットの開発が遅れ、正式発表日が8月、10月とノビノビになってしまった。その結果、サーバ向けのIntel Xeonの第2世代に位置付けられていた、開発コード名「Prestonia DP(プレストニア・ディーピー)」で呼ばれる0.13μmプロセスで製造されるプロセッサとの発表時期が近付きすぎたことから、第1世代のIntel Xeonをキャンセルし、Prestonia DPからサポートを行うことにしたようだ。

 2002年第2四半期には、3次キャッシュを内蔵し、Hyper-Threadingに対応した「Foster MP(開発コード名:フォスター・エムピー)」が、第4四半期にはFoster MPの0.13μmプロセス版の「Gallatin(開発コード名:ガラティン)」を次々と出荷する(Hyper-Threadingについては「頭脳放談:第16回 x86を延命させる『Hyper-Threading Technology』、その魅惑の技術」を参照のこと)。これらの出荷により、高密度サーバを除き、すべてがPentium III/Pentium III XeonからIntel Xeonに移行することになる。高密度サーバでは、低消費電力版のPentium IIIならびに、Baniasが採用されることになる。

 なおItaniumについては、次期製品のMcKinley(開発コード名:マッキンリー)が2001年第1四半期にパイロット・リリースを開始し、早くも2002年中ごろにはプロダクト・リリースとなる。開発コード名「Merced(マーセド)」で呼ばれていた現行のItaniumが、開発に時間がかかったため、比較的開発が順調に進んだ次期製品のMcKinleyとの時間差が縮まってしまった結果、1年という短い期間でのモデルチェンジを迎えることになる。

 今回のWebcastを見る限り、世界的にIT市場が減速する中でも、Intelの積極的な製品展開は継続するようだ。クレイグ・バレット社長のプレゼンテーションのタイトルが「Beyond Turbulence(動乱を超えて)」であり、プレゼンテーションの中でも再び成長期が訪れることを、繰り返し述べていたことからも、表向き強気の姿勢を崩すつもりはないようだ。IT市場を牽引する大きな力であるIntelが、弱気の姿勢を見せたとき、壊滅的なIT不況がやってくることになる。ぜひとも、強気の製品戦略を貫いてもらいたいものだ。そのためにも、今回明らかになった2002年のロードマップは固持していただきたい。記事の終わり

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再び成長期に向かうIT市場
IT市場は、Enabling Technologies(要素技術)からスタートし、Irrational Exuberance(過大な繁栄)、Turbulence(動乱)を経て、Rational Growth(理性的な成長)に向かうとしている。クレイグ・バレット氏によれば、現在のIT市場は「Turbulence」にあるという。
 
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  関連リンク 
Intel Xeonの発表に関するニュースリリース

2001 Intel Executive WebcastのホームページENGLISH

 
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