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SpeedStepテクノロジ
【スピード ステップ テクノロジ】

2000/06/10

 インテルのノートPC用プロセッサ「モバイルPentium III」の高クロック版(モバイルPentium III-600MHz以上)で採用された動作クロックと動作電圧の両方を同時に切り替える省電力技術。

 プロセッサに「Maximum Performance Mode」と「Battery Optimized Performance Mode」の2種類のパフォーマンス モードを規定し、動作クロックと動作電圧を切り替えることを可能にしている。一般に動作クロックと動作電圧の両方を下げれば、性能は下がるが消費電力を下げることができる。特に、消費電力は動作電圧の二乗に比例するため、動作電圧を切り替えることは消費電力の削減に大きく貢献する。AC電源で駆動している場合は、プロセッサをピーク周波数で動かし、バッテリ駆動時には動作クロックと動作電圧を下げることで、消費電力を抑え、バッテリによる駆動時間を長くすることができる。これにより、AC電源使用時にはデスクトップPC並の性能を発揮し、携帯時には長時間のバッテリ駆動を可能にする。

 具体的には、モバイルPentium III-700MHzの場合、システムがAC電源に接続されていないときは、動作クロックを550MHzに自動的に落とすと同時に、プロセッサの動作電圧を1.6Vから1.35Vに下げる。再び、システムをAC電源に接続すると、プロセッサは自動的にクロックをピーク周波数の700MHzに戻し、動作電圧を1.6Vに引き上げる。この切り替えの間、プロセッサはいったん「スリープ モード」に移行し、動作電圧と動作プロセッサを切り替える。その後、再びシステムを「アクティブ モード(通常の状態)」に戻すことで、指定されたモードに移行する。インテルによれば、この切り替えにかかる時間は約0.5ミリ秒で、実行中のアプリケーションに影響を与えることはないという。

 なお、SpeedStepテクノロジのモードは、システムがAC電源かバッテリ駆動かを自動的に認識して変更される。また、インテルから提供されるユーティリティ(SpeedStepテクノロジ採用のノートPCに付属する)により、動作モードを手動で変更することも可能だ。たとえば、AC電源のないところでDVDビデオの再生を行うような場合、「Battery Optimized Performance Mode」から、ユーティリティを使って「Maximum Performance Mode」に変更することで、スムースな再生が行える。もちろん、この方法で再度「Battery Optimized Performance Mode」に戻すことも可能だ。

 SpeedStepテクノロジと同じように動作クロックと動作電圧を合わせて変更する技術は、Transmeta社が発表した「Crusoe(クルーソー)」の「TM5400」も採用している(Crusoeでは、この技術を「LongRun」と呼んでいる)。Crusoeの場合、動作電圧を0.05V刻み、動作クロックを33MHz単位で動的に変更する。これにより、モバイルPentium III-500MHzの1/3といわれる少ない消費電力を実現している。記事の終わり

 

関連リンク
インテル インテルのホームページ
インテル モバイルPentium IIIの製品情報
米Transmeta社 Transmetaのホームページ
米Transmeta社 Crusoeの製品情報

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