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Mobile Insider

第5回 カラーPalmと拡張モジュールで広がるソリューション

塩田紳二
2001/04/05

 PDA市場が大きく活性化している。今までに何回かPDAについてはブームがあったが、大きく異なるのは、米国でPalm系PDAが大きく普及したため、単なるブームではなく、実市場として大きなものができあがりつつあるということだ。ビジネス向けアプリケーションやサービスの提供が次々と登場し、「オモチャ」から「実用品」になってきたのが最大の理由だろう。これまでに、何回かのPDAブームがあり、GOのPen Computer計画や、AppleのNewtonが登場したが、「オモチャ」の領域を脱することができず、大きな市場を作るには至らなかった。日本国内でも、シャープの電子手帳やその後継であるザウルスが一時大きく話題になったのだが、残念なことに国内市場のみであった。かつて米国では、文化的な違いもあり、日本で流行るような小型のPDAはあまり受け入れられないといった話もあったのだが、Palm系PDAの成功が物語るように、実際にはサイズなどの問題ではなく、価格的な問題が大きかったようである。

 また、携帯電話などのワイヤレス環境や各種アプリケーションが整い始めたことから、PDAはビジネス・ツールとして利用可能になったことも、PDA市場が活性化している大きな理由だろう。Palm社のホームページには、Palmをビジネスで利用している事例がいくつか紹介されている。その中には、タイヤ・メーカーとして有名なMichelin North Americaなどが取り上げられており、セールス・マンがPalmを携帯し、ユーザーのタイヤの状況などを分析、そのデータを本社で集計するといった使い方をしているという(Plamのビジネス利用のケース・スタディ)。

 このように、米国ではPalmがビジネス用途に浸透しつつある。この流れが、近い将来日本に上陸するのは間違いないはず。というわけで、今回はHandspring社のカラー・モデル「Visor Prism」と2種類の拡張モジュールを試用し、ビジネス・ソリューションを考えてみたいと思う。

カラー液晶を搭載した「Visor Prism」

 Visor Prism(以下Prism)は、HandspringのVisorの上位機種で、カラー液晶で6万5536色の表示を可能にしたものだ。また、リチウムイオン電池を内蔵し、専用のクレードルを使って充電を行う。

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Visor Prism Visor Prismとそのクレードル
基本的なデザインは従来のVisor Deluxeと変わらないが、ケースはスケルトンではない。また、縦横のサイズはDeluxeと同じだが、厚みが若干増している。 Prismの電池は充電式になったため、専用のクレードルが必要となる。従来のものは利用できないので注意したい。

 カラー化にともない、CPUはDragonBall EZ-33MHzにグレードアップされ、高速な処理が可能になった(従来のVisorはDragonBall EZ-16MHz)。Handspringの製品であるため、Prismは、Springboardスロットを搭載する。ここには、従来のSpringboardモジュールがそのまま利用できる。例えば、前回紹介したデジタル・カメラ・モジュール「eyemodule」などもそのまま利用が可能だ(ただし一部モジュールは、ファームウェアのアップデートが必要となる場合がある。前回の記事)。

カラー化されたアプリケーションの起動画面
最近のPalm OS用のアプリケーションは、アプリケーション自体がカラー対応でなくても、アイコンをカラーで登録しているものが増えている。

 Palm系のカラー液晶搭載モデルには、Palm ComputingのPalm IIIc、ソニーのCLIEなどもあるが、ベースとなっているのはPalm Vである。実際、カラー化に際して、内蔵のアプリケーションには、ほとんど手が加わらなかった。そのため、予定表やアドレス帳といったアプリケーションのカラー対応は、メニュー選択や文字列選択の場合に色を見ることができる程度となっている。標準アプリケーションでカラー化の恩恵に浴せるのは、各種アプリケーションを起動するラウンチャー部分で、アプリケーションがカラー対応アイコンを内蔵していれば、ここにカラーで表示される。アプリケーション自体がカラー対応になっていなくても、最近のアプリケーションは、カラーアイコンを装備していることが多く、ここはモノクロ・モデルと比べるとかなり派手な画面になる。

 またPrismには、HandspringオリジナルのソフトウェアとしてPhoto Albumというソフトウェアとサンプル・データが付属してくる。これは、カラー画像を閲覧するためのソフトウェアで、カラーの派手な画面を見ることができる。また、前回紹介したeyemoduleで撮影した画像も、Photo Album表示できる。なお、このソフトウェアは、HandspringのWebサイトでソースコードが公開されており、類似ソフト作成のサンプルともなっている。

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付属のPhotoAlbum用のサンプル・データ
ディスプレイを直接撮影したため、若干モアレが生じているが、比較的きれいに色が出ていることが分かるだろう。

 本体は、リチウムイオン電池などを内蔵した関係で、従来のVisorと縦横のサイズは同じものの、厚みが3mm程度増している。このため、ケースのサイズ変更はわずかなのものの、従来のVisor用として発売されていたケース類のほとんどが使えなくなっている。というのはVisorでは、付属のフロント・カバーの固定機構(本体下部のコネクタ部分の穴と本体上部のミゾ)を使って、ケースを固定しているのだが、Prismでは厚みが増したため、そのサイズが変わってしまったからだ。マジック・テープなどを使って固定するような汎用タイプのものは使えるが、Handspringから発売されているケースなどは、すべてPrism専用のものを使う必要があるので注意したい。

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Visor Deluxe(左)とVisor Prism(右)
従来のVisor Deluxeに比べて約3mm厚みが増した。そのため、既存のVisor用のケースは使用できない場合があるので気を付けていただきたい。右の写真を見ると、一見同じようだが、電源ボタンの位置が反対になっているのが分かるだろう。

 また、クレードルも、充電機構が追加されたため、専用のものを利用する必要がある。本体には、USBクレードルが1つ標準で付属するが、USBが使えない機種のシリアル・クレードルなども従来のものとは異なる。すでにVisorを使っている人は、この点にも注意が必要だ。

ATOK Pocket
Visor Prismには標準で添付され、購入後にインストールして利用することができる。文章をまとめて変換できるなど、標準内蔵のかな漢字変換機能よりも格段に使いやすくなっている。独自の手書き文字認識機能をサポートしており、漢字、ひらがな、英数、記号などの手書き入力が可能だ。

 日本語版固有のソフトウェアとして、かな漢字変換ソフトウェアのATOK Pocketが標準搭載された。すでに、ソニーのCLIEを始めとして、Palmシリーズなどにも添付されているので目新しさはないが、日本語の入力が格段に容易になる点で評価したい。Palm OS標準のかな漢字変換は、簡単にいえば単文節変換程度の機能しかなく、予定や住所録の入力には十分だが、少し長めの文章を入力するのはかなり大変だった。ATOKが付属したことで、ポータブル・キーボードなどを接続しての文章入力がかなり容易になった。

 液晶ディスプレイは、バックライト付きのもので、使用時は常にバックライトが点灯する。電源オンの状態で電源ボタンを押し続けるとバックライトの明るさを調整ができる。ただし昼間、屋外で光が当たるような場所では、液晶の表示はかなり見にくくなる。それでも、手で影を作るなどすれば、画面を見ることは可能だ(これが反射型のカラー液晶とは違うところである)。どちらかといえば、Prismの液晶は屋内での利用が向いている。長時間の外出が多く、屋外での利用(住所録やスケジュールの確認など)が多い場合には、Visor Platinum/Deluxeなどモノクロ液晶の機種の方が向いているかもしれない。

 また電池だが、充電なしで、通常のアドレス帳の参照やスケジュール入力程度であれば、2週間ほど利用できる。しかし、長時間動作させるようなアプリケーションを使う場合には、2〜3日と思ったほうがよい。毎日HotSyncを行うような使い方をしていれば、クレードルが充電器になっているため、あまり電池の消費に気を使わなくて済む。つまり、携帯電話のように毎晩クレードルにさしておくような使い方をするのであれば、乾電池のように電池寿命を心配することなく利用できるので、従来のVisorよりも便利だ。個人的な意見だが、こういった毎日利用するPDAは、携帯電話のように充電式としたほうが、取り扱いの点でラクだと思う。

関連リンク
Visor Prismの製品情報ページ
ATOK Pocketの製品情報ページ
 
 

 INDEX

  [連載]Mobile Insider 第5回 カラーPalmと拡張モジュールで広がるソリューション
  1.カラーPalmと拡張モジュールで広がるソリューション
    2.充実しつつあるSpringboardのラインアップ

「連載:Mobile Insider」

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