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元麻布春男の視点
書き込み可能なDVD普及のカギは?

元麻布春男
2002/01/29

 2001年に登場した新しいデバイスの中で、最も注目を集めたものは、書き込み可能なDVDストレージではないだろうか。以前からDVD-RAM*1が発売されていたとはいえ、既存のDVD-ROMドライブや民生用DVDプレイヤーとの互換性が低く、あまり注目を集めることはなかった。しかし、既存のDVD-ROMドライブでの読み取り互換性を備えたDVD-RDVD-RWDVD+RWが登場したこと、実売価格が10万円を切る民生用のDVDレコーダが登場したことなどで、DVDストレージが一気に注目されることとなった。そして、この流れのなかで、DVD-RAMというメディアも再評価されている。

*1 DVD-RAMの詳細については「特集:DVD-RAMの実像」を、またDVD+RWの詳細は「特集:DVD+RWの可能性」をそれぞれ参照していただきたい。また各種の書き込み可能なDVDメディアの比較については、「ニュース解説:混沌のDVD規格、ライトワンス型のDVD+Rが登場」が参考になるだろう。

 この世代の特徴の1つは、片面の記録容量が4.7Gbytesになり、プレスのDVD-ROM/DVDビデオの1層分の記録容量と等しくなったことだ。PCでの利用(PCデータの書き込み)を前提にする限り、先行して発売されていたDVD-RAMの2.6Gbytesで不都合なことはそれほど多いわけではない。ビデオ録画などの民生用途にはまったく不足だが、データを書き込む分にはDVDビデオとの互換性は重要ではないからだ。もちろん、メディアあたりの記録容量は大きいに越したことはないのだが、バックアップ用途とAV用途を除くと、CD-R/RWで対応不可能な大規模なデータを日常的に扱っている人はマレだろう。だが、書き込み可能なDVDメディアがプレスメディアと同じ容量になった、という心理的な効果はあるようで、再生互換性が加わったことと合わせ、がぜん「本物」感が強くなったような気がする。おりしも民生用のDVD-RAM/Rレコーダが、10万円を切る実売価格で売られ始めたこともあり、書き込み可能なDVDメディアが動き始めたように思える。

メディアの価格が書き込み可能なDVDの普及のネック

 だが、その動きはまだまだ胎動に近いもので、メディアとして広く認知された、というレベルには達していない。本稿執筆に際して、各種の書き込み可能なDVDメディアの実売価格を、大型量販店(秋葉原および新宿エリア)を中心に調べてみたのだが、まず気付いたのが価格のバラつきが少ない点だ。DVD-Rメディアの価格はおおむね1000円前後、DVD-RWメディアの価格は1500円前後であった。DVD-RAMはカートリッジなしだとDVD-RWと同じくらいだが、カートリッジに入っていると、1800円程度で売られていることが多かった(以上はすべて1枚売りでの価格で、5枚セットならもう少し安い)。もちろん、販売店によっては、特定のベンダのメディアに対して大幅なディスカウントを行っているところもあったのだが、ここでは除外した。

 VHSのビデオテープのように、価格競争が行き着くところまで行ってしまえば、たとえ自由競争市場であっても価格は収束する。しかし、DVDメディアの場合、まだこれには遠く及ばない。DVDメディアの価格にバラつきが少ないというのは、価格決定のプロセスにおいて、まだ売り手側が提示する価格が大きな比率を持っているということであり、またたとえ価格を引き下げても、それに応じて売り上げが大きく拡大するほどの潜在ニーズがない(それほど普及していない)、という証とも考えられる。

 では、なぜ書き込み可能なDVD(メディアおよびドライブ)は、ボチボチと売れても爆発的なヒットにならないのだろうか。すでにドライブの実売価格は5万円を切っており、4万円を切るものも見受けられる。CD-Rが急速に立ち上がったのも、ドライブ価格が5万円を切ったあたりではなかったかと記憶する。すでにドライブ価格は、かなり値ごろ感のあるところに近付いているのだ。メディア価格が高いのは、間違いなくネックの1つだと思うが、逆にメディアの価格は普及が始めれば一気に値下がりするもの。「鶏と卵」の関係であり、同じことはかつてCD-Rメディアにもいえた。

 にもかかわらずCD-R/RWが爆発的に普及した大きな理由は、すでに普及していた音楽CDのコピーができたということ、動画の記録を除けば、おおむね不足を感じない記録容量だった、という2点にあったのではないだろうか。DVDは、最初からコピー・プロテクションを前提に考えられたメディアであり、著作権者の意向により、私的複製を含めた一切の複製を禁じることが可能だ。また、仮に可能だったとしても、現在の書き込み可能メディアは記録層が1層しかないため、2層記録された映画などほとんどのDVDビデオのコピーはできないという事情もある。DVDの4.7Gbytesという記録容量は、上述のように、純粋にPCのデータを記録するメディアとしては持て余し気味だが、ビデオ録画を考えると、実用ギリギリの容量でしかない(実際に使ってみると、その中途半端さを痛感する)。多くのデータ用途は、おそらくCD-R/RWの700Mbytesという容量で事足りる。バックアップ用途を考えるのならば、4.7Gbytesではまったく不十分で、最低でも数十Gbytesクラスが必要になるだろう(フル・バックアップではなくデータだけのバックアップならば、CD-R/RWで十分だろう)。ならば、いくら安くなり始めたとはいえ、CD-R/RWに比べればメディアやドライブの価格が割高で、互換性も確立してない書き込み可能なDVDを選ぶ理由はない。

台湾製メディアが書き込み可能なDVDを普及させるか?

台湾製DVD-RWメディア
台湾の大手メディア・ベンダであるRitek社のDVD-RWメディア。台湾製メディアとしては若干高めの価格で流通しているが、PC用ドライブ、民生用レコーダを問わず、比較的安定して書き込みできた。

 だが、ここにきて、この状況に変化をもたらす可能性がでてきた。それは、安価な台湾製メディアの流通だ。すべての販売店をチェックしたわけではないが、少なくともDVD-RとDVD-RWに関しては、台湾製のメディアが流通し始めており、前者は1枚500円を切るものさえ見受けられる。割高感の強いDVD-RWメディアも、台湾製なら680円〜980円程度で買うことが可能だ。残念ながら、筆者がテストしたところ、こうした安価なメディアの中には、互換性に問題のあるものが存在する。特に、古い世代の民生用レコーダでは互換性問題が生じやすいようだ。

 とはいえ、こうした問題はCD-R/RWの普及期にも見られたこと。問題の解決にそれほど長い時間がかかるとは思えない。もしDVD-RやDVD-RWメディアが3枚1000円で買えるようになれば、CD-Rからの乗換えを考える人も増えるのではないだろうか。確かにほとんどのデータはCD-R/RWで事足りるが、6〜7枚のCD-Rが1枚のDVD-Rで収まると考えれば、スペース・ファクタという点で魅力がある。CD-RやCD-RWメディアの氾濫が、少しは緩和されるというものだ。もちろん、そのうち今度はDVD-Rメディアの洪水に悩まされることになるだろうが。記事の終わり

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DVD-RAMの実像
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混沌のDVD規格、ライトワンス型のDVD+Rが登場
 
「元麻布春男の視点」

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