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ネットワーク・デバイス教科書

第9回 モバイルでも手軽にイーサネット「PCカード/USBイーサネット・アダプタ」

渡邉利和
2001/10/30

 今回はまた基本に戻って、イーサネット・インターフェイスを取り上げる。ただし今回対象にするのは、PCカードまたはUSBインターフェイスを採用したイーサネット・アダプタである。これらは基本的にノートPCでの利用を想定した簡易インターフェイスと位置付けられる。とはいえ、USBタイプであればデスクトップPCでも利用可能なので、LANを常設する必要はないものの、サイズの大きいファイルのコピーなどの際にちょっと利用する、といった用途にも対応できる。利用が容易なことから、1つは持っていて損のないデバイスであろう。基本的な選択ポイントは、PCIタイプのイーサネット・カードとそれほど変わらないので、今回はPCカード/USBタイプに特徴的な部分のみを解説する。

イーサネット・インターフェイスとしての実力

コンパクトフラッシュ・タイプのイーサネット・アダプタ
ザーコムジャパン(現在はインテルのブランド)の「CompactCard Ethernet 10」。PDA向けにコンパクトフラッシュと同じサイズにしたイーサネット・アダプタも販売されている。コンパクトフラッシュの場合、インターフェイスが16bit PCカードと互換であるため、PCカード・アダプタに取り付けることで、通常のノートPCでも利用可能だ。

 PCカード・タイプ、USBタイプともに、PCIのイーサネット・インターフェイスと仕様面での差はほとんどない。10/100BASE-TX両対応で全二重サポート、という製品が現在では一般的である。ただし、実効転送レートはPCI型に比べて若干劣る可能性がある。PCカード・タイプの場合、100BASE-TXに対応した製品ではCardBus対応の製品が主流である。CardBusでは32bit幅のデータ転送をサポートし、最大転送速度は133Mbytes/sとなる。仕様上はPCIバスと同じ速度でデータ転送が可能だ。この場合、基本的にはPCIカード・タイプと同等の実効速度が得られると期待できる。ただ、経験上はデスクトップ向けのPCIカード・タイプの方が、高いスループットを実現しているように感じることが多い。これは必ずしもイーサネット・アダプタの性能だけの問題ではなく、PC側のバス性能などの違いもあるようだ。

 また、PCカード・タイプの場合、互換性などを考慮してCardBusではなく従来のPCカード・インターフェイスを採用した製品もある。この場合はデータ・バス幅が16bitとなり、スループットに関しては最大でも2Mbytes/s程度と不利になるものの、CardBus非対応の古いノートPCでも利用できる。もっとも、最近のノートPCでは、CardBus対応が標準になっているし、CardBus対応のPCカードを使ってトラブルになることはまず考えられない。むしろ16bit PCカードの方が、その仕様上、システム・リソースの競合などトラブルを招くことが多い。

 一方、USBに関しては、従来より高速なUSB 2.0対応の製品出荷が開始された段階であり、まだイーサネット・アダプタでは一般的でない。現在の主流は12Mbits/sのUSB 1.1対応の製品だ。USB 1.1はもともと10Mbits/s程度までのデータ転送速度で対応できるデバイスでの利用を想定した規格であり、100Mbps(100Mbits/s)のイーサネットでは帯域が足りない。データ転送速度を重視するのであれば、デスクトップPCならばPCIカード・タイプを選択した方がいいだろう。

利用上のポイント

 PCカード・タイプやUSBタイプのイーサネット・インターフェイスは、プラグ&プレイかつホットプラグが可能なので必要なときだけ任意に接続して利用できる、という点が最大のメリットになる(PCIなど内部拡張バスは、一部の例外を除いてホットプラグ不可)。最近では、ブロードバンドが流行っており、ADSLモデムケーブル・モデムなどとの接続でイーサネット・インターフェイスを利用する場面は珍しくない。そのため、イーサネット・インターフェイスを標準装備するノートPCも増えてきている。しかし、少し前のノートPCでは企業向けとされたモデルでもないとイーサネット・インターフェイスを備えていないことが多いため、こうした機種を利用している場合には簡単に利用できるPCカード/USBタイプのアダプタはよい選択となるだろう。

XJACK採用イーサネット・アダプタ
スリーコムの「Megahertz 10/100 LAN CardBus PC カード」。使用しないときにRJ45雌コネクタをカード本体に収められるXJACKを採用している。コネクタ・ケーブルをなくす心配がない点はメリットである。しかし、PCカード・スロットが2つある場合、イーサネット・ケーブルをつけると、もう片方と干渉してしまいモデム・カードなどが利用できなくなってしまうというデメリットもある。

 また、PCカード・タイプの中には、より小型のコンパクトフラッシュ・サイズを採用したタイプもある。これはコンパクトフラッシュ・スロットを持つPDAには直接装着できるし、またノートPCにはPCカード・アダプタを介して装着できる。PDAとノートPCで共用したいような場合は、こうした形状の製品を選ぶとよい。ただ、価格は通常のPCカード型に比べて高くなるし、コンパクトフラッシュ・タイプでは16bit PCカードとなるため、データ転送速度は制限されてしまうので注意が必要だ。

 PCカード/USBタイプとも接続時には、Windowsからは特に区別なく「ネットワーク・アダプタ」として認識される。このため、一度設定してしまえば上位のアプリケーションでは個別の対応は必要なく、汎用性も高い。ただし、物理的な形状の面では差があり、この点が製品の使い勝手に影響している。

 PCカード・タイプの場合、専用アダプタを介してイーサネット・ケーブルを接続するものと、イーサネット・ケーブルを直接接続できるものの2種類がある。一方、USBタイプでは、USBコネクタにイーサネット・ケーブルを接続するためのアダプタがついたものが一般的だ。

 PCカードの場合、一般的なのはPCカードの厚みに収まる薄型の専用コネクタを使い、一端がこの専用コネクタ、他方がRJ45雌コネクタとなった専用ケーブル(メディア・ケーブル)を接続して利用するタイプである。最も普通に入手できるタイプだが、この場合はこの専用ケーブルを紛失したり傷めたりすると、専用ゆえ簡単に交換品を入手できないことが多く、利用不能になってしまうこともある点に注意が必要だ。一方、イーサネット・ケーブルを直接接続できるタイプには、コネクタ部分がカードから飛び出る3ComのXJACKシリーズのほか、コネクタ部分の厚みが2スロット分になっている製品などもある(コネクタ部分がちょうどノートPCのPCカード・スロットから飛び出るようになっていたり、Type IIIサイズにすることで縦並びのType II PCカード・スロット×2つ分にちょうどコネクタ部を収めたりしている) 。このケーブル直結タイプは、専用ケーブルの煩わしさから解放される半面、ほかのPCカードを同時に装着すると物理的に干渉(衝突)することがあり、一概に使いやすいとはいえない。また、価格的にも直接接続できるタイプは高くなりがちだ。

 USBタイプの場合は、外見的には特殊な形状のケーブルと見えるものが一般的だ。最近では、大型のUSBコネクタにRJ45雌コネクタが取り付けられた「キー型」と呼ばれるケーブルのない製品も、いくつかのベンダから販売され始めている。どちらも取り外しできない構造の製品が多いため、必要なパーツを紛失する危険はない。キー型の場合は、親指ほどの大きさであるため、持ち運びにも便利だ。データ転送速度はそれほど必要なく、たまにイーサネットに接続したいといった場合に、USBタイプは便利だろう。

コネクタ部を一体化させたイーサネット・アダプタ
プラネックスの「FW-310TX」は、PCカードにイーサネットのコネクタ部が組み付けられていて、イーサネット・ケーブルが直接接続できる。
USBキー型のイーサネット・アダプタ
メルコの「LUA-KTX」は、RJ45雌コネクタ部分がポップアップによって現れるようになっている。親指ほどの大きさなので、持ち運びにも便利だ。

 
USBを使って2台のPCを接続するケーブル
アイ・オー・データ機器の「USB-LINK」。2台のPCをこのケーブルで接続することでファイル転送などを可能にする。このUSB-LINKでは、USBハブを使って6台のPCでネットワークを構築することも可能だ。

USBで2台のPCを接続する
 
USBタイプのイーサネット・インターフェイスとは、少々異なるが、両端ともPCとの接続に用いるシリーズAのUSBコネクタになったものも販売されている。基本的には2台のPCを相対で接続するために利用するものだ。両方のPCに専用のアプリケーションをインストールすることで、2台のPC間でのファイル交換などを可能にする。通常はネットワークを利用することはないが、ときどきファイル転送などを実行したい、というユーザーにとっては便利な選択肢である。基本的に直結であるため、イーサネット・ケーブルやハブといった追加のデバイスが必要なく、手軽に利用できる。

デバイス・ドライバの対応はホームページでチェック

 ネットワーク・インターフェイスを利用する場合には、デバイス・ドライバのサポートが選択の重要な要素となる。いまどきデバイス・ドライバはベンダのホームページで配布されているのが一般的となっており、入手できなくて困るということはまずない。逆に、デバイス・ドライバがホームページで提供されていないようなベンダの製品は選ぶべきではない。特に、Windows XPの対応などの情報もチェックして、サポートのしっかりとしているベンダの製品を選ぼう。

 デバイス・ドライバをチェックするときに、ファイル・サイズを注意した方がよい。凝ったインストーラがついているサイズの大きなデバイス・ドライバよりも、フロッピーディスクなどに簡単に収まるサイズの小さなものの方が、ダウンロード時間が短くて済むし、ほかのPCにインストールする際もフロッピードライブが使えるので、何かと便利なことが多い。イーサネット・インターフェイスの場合、Windowsのデバイス・ドライバ組み込みウィザードを利用してデバイス・ドライバを組み込むのが一般的になっているが、専用インストーラや各種ツールがセットになった巨大なファイルを配布しているベンダもあるので、ノートPCなどを利用しているユーザーは気をつけるとよいだろう。記事の終わり

機能 チェックポイント
基本仕様 10BASE-T対応か、10/100BASE-TX両対応か。全二重対応か否か。基本的には、接続するPCのスペックと利用環境によるが、用途として一時的な接続のために利用することが多いと思われるため、あまり神経質になる必要もないと思われる
ハードウェア/デザイン PCカードか、USBか。PCカードの場合は専用ケーブルを介するタイプか直接イーサネット・ケーブルが接続できるタイプか、という点や、CardBus対応か否か、といった点も確認しておくとよい
インジケータLEDの有無 RJ45雌コネクタが組み付けられている部分に、最低限のインジケータLEDを備えた製品もある。なくても普段の使用で問題になることはまずないが、トラブルが起きた場合はインジケータの有無で手間が大きく変わる可能性もある
 
  関連リンク 
CompactCard Ethernet 10の製品情報ページ
Megahertz 10/100 LAN CardBus PC カードの製品情報ページ
FW-310TXの製品情報ページ
LUA-KTXの製品情報ページ
USB-LINKの製品情報ページ
 
 
     
 
「連載:ネットワーク・デバイス教科書」

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