連載

ネットワーク・デバイス教科書

第12回 ブロードバンド・ルータの基本設定

2. ブロードバンド・ルータのDHCPサーバ機能

渡邉利和
2002/02/05

DHCPサーバの設定でクライアントPCの設定を楽に

 このほかに、比較的よく使われる設定として、DHCPサーバの運用がある。ブロードバンド・ルータのDHCPサーバ機能を使うことで、LAN内のクライアントPCに自動的にIPアドレスを配布することが可能になる。それにより、クライアントPCのネットワーク設定が、初期状態の「IPアドレスを自動的に取得する」になっていれば、ほかの設定をしなくてもインターネットへの接続が行えるようになる。まだほかの機器(サーバなど)でDHCPサーバが運用されていない場合は、ブロードバンド・ルータのこの機能を使うと便利だ。BEFSR41の場合、この設定は「DHCP」タブで行う。

BEFSR41の「DHCP」画面
BEFSR41ではDHCP機能だけで独立したページになっているが、そうでない機種もあるだろう。あまり手の込んだ設定はできないことが多いが、簡単なネットワーク構成であれば十分に用が足りる。
  ブロードバンド・ルータのDHCPサーバ機能を利用する場合に設定する。基本的には、割り当ての先頭IPアドレスと割り当てるIPアドレス数を設定するだけでよい。

 DHCPサーバを内蔵するのは一般的になっており、たいていの機種で利用可能な機能といってよいだろう。ただし、どのような設定が可能かは機種によってばらつきがあるはずだ。本機の場合、まず「DHCPサーバ」の項目で「有効」か「無効」かのどちらかを選択する。「無効」を選んだ場合は、当然DHCPサーバ機能は働かないため、それ以上設定することもない。「有効」にした場合は、続いて「割当先頭IPアドレス」と「割当IPアドレス数」を指定する。これは、DHCPクライアントに配布するIPアドレスの範囲を指定するもので、画面の例では、先頭が「192.168.0.110」で、割当数は10個としてある。つまり、DHCPクライアント用に確保されたIPアドレスは、「192.168.0.110〜119」の10台分ということになる。

 このほか、設定された割り当て範囲の中から除外するIPアドレスを別途指定したり、特定のMACアドレスを持つホストに対して固定的なIPアドレスを割り当てたりといった機能がDHCPサーバにはよくあるが、こうした設定が可能かどうかは機種による。小規模なLANでは、あまり設定する必要はないだろう。

ケーブリングについての注意点

 さて、ごく一般的なインターネット接続のための設定と考慮点について紹介したが、最後にケーブリングに関しても触れておこう。今回紹介したのは4ポートのスイッチング・ハブ内蔵機種だが、筆者の経験上、スループットを重視する場合には本体内蔵のハブの使用は避けた方がよいように感じている。厳密な計測はしていないのだが、LAN側相互の通信負荷が高まった場合、WAN接続のスループットが低下すると感じているからだ。たとえば、図のような場合である。

WAN接続のスループットが低下する接続例
スイッチング・ハブに接続されたPC間で、ハードディスクのバックアップのような大量のデータ転送が行われていると、本来は独立して動作するはずのほかのポートからのWANアクセスのスループットが低下する。この原因は、スイッチング・ハブ部を含むブロードバンド・ルータの内部データ転送速度があまり高くないためと想像する。

 もともとブロードバンド・ルータといっても、WAN接続としてせいぜい10Mbps程度の速度しか見込んでいない製品が大半であり、8Mbps ADSLや100Mbpsの光ファイバ接続での利用をにらんで高スループットをアピールする製品が出始めたのは、ようやく最近という段階である。一方で、LAN内部の通信はPCやイーサネット・カードの性能向上により、100Mbpsという上限値にかなり近い値に迫っているので、性能的な限界に当たっても不思議はない。

 もちろん、小規模な環境では、ハブ/スイッチ内蔵のブロードバンド・ルータは接続にかかわる機器の数を減らすうえで有効なのだが、LAN内の通信量が多い場合には、多少煩雑にはなるが、下の図のようにLAN側にスイッチング・ハブを別途設置し、LAN内で完結する通信のパケットがブロードバンド・ルータに送られないようにすべきだろう。なお、蛇足ながらこの場合はシェアード・ハブを使っては何の意味もないことにご注意いただきたい。

お勧めのブロードバンド・ルータの接続構成
ブロードバンド・ルータをスイッチング・ハブに接続し、クライアントPCはすべてスイッチング・ハブに接続すれば、LAN内のPC間での通信はブロードバンド・ルータには送られなくなるので、ブロードバンド・ルータの内部データ転送帯域を食いつぶす心配はなくなるはずだ。現在ではスイッチング・ハブも安価なので、ブロードバンド・ルータのスイッチング・ハブ機能が無駄になることもあまり気にならないのではないだろうか。

 ブロードバンド・ルータは機能も豊富なため、設定項目も多岐にわたる。今回はごく基本的な部分しか触れることができなかったため、ブロードバンド・ルータに関しては続けて取り上げる予定である。現段階での予定としては、次回に簡易ファイアウォールやパケット・フィルタリングといったセキュリティ関連の設定について、その次にサブネット分割したLANと組み合わせるためのルーティングなどの設定について解説するつもりだ。記事の終わり

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  関連リンク 
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 INDEX
  第12回 ブロードバンド・ルータの基本設定
    1.ブロードバンド・ルータのLAN設定とWAN設定
  2.ブロードバンド・ルータのDHCPサーバ機能
 
「連載:ネットワーク・デバイス教科書」

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