[Software]

ディスプレイの種類を手動設定するには(Windows 95OSR2/98/98SE/Me編)

デジタルアドバンテージ
2000/11/16

 「PC TIPS:ディスプレイのリフレッシュ・レートを変更するには(Windows 95OSR2/98/98SE/Me編)」の冒頭で触れているように、CRTディスプレイの場合、リフレッシュ・レートを高めるほど、ちらつきが少なくなり見やすくなる傾向がある。しかし無制限にリフレッシュ・レートを高められるわけではない。ディスプレイには、追従できるリフレッシュ・レートの範囲があり、それを超えると正しく表示されないのだ*1

*1 現在市販されているディスプレイは、追従可能な範囲を超えるリフレッシュ・レートの信号が入力されると、その表示を行わず、代わりに警告メッセージを表示することが多い。

 ディスプレイが追従できるリフレッシュ・レートの範囲は、画面の解像度などに左右される。例えば1024×768ドット時にリフレッシュ・レート85Hzで表示できるディスプレイでも、解像度を1280×1024ドットに引き上げると75Hzまでしか表示できない、といったことがある。こうした複雑なリフレッシュ・レートの特性を理解しつつ、最適なリフレッシュ・レートを手動で選ぶのは、ユーザーにとってはかなり面倒な作業だ。

リフレッシュ・レートの範囲を自動取得する仕組み

 こうした背景から、リフレッシュ・レート範囲などの仕様をディスプレイからPCに伝える仕組みとして、DDC(Display Data Channel*2)という規格が業界団体によって策定され、1990年代後半から各種ディスプレイ製品に実装されるようになった。Windowsもこの機能に対応し、ディスプレイの各種スペックを自動取得できるようになったため、自動取得できる条件さえ満たされれば、ユーザーがリフレッシュ・レートの範囲を意識する必要はなくなったのである。

*2 ディスプレイとPCをつなぐディスプレイ・ケーブルの未使用だった信号線を活用することで、PCとディスプレイの間での相互データ通信を実現した(それまでは、ビデオ信号や同期信号などのアナログ信号をディスプレイ側に送る機能しかなかった)。これによりPC(正確にはグラフィックス回路)は、ディスプレイと通信してディスプレイ側の対応周波数などの仕様を自動取得できるようになった。

 現在市販されているすべてのPC用ディスプレイは、DDCに対応している。Windowsも当然DDCをサポートしており、ディスプレイのリフレッシュ・レート範囲を自動的に取得・計算し、正常に表示させる機能を持つ。ところが、このDDCの機能が働かない場合があるのだ。例としては、2系統入力を持つCRTディスプレイで5BNCコネクタを使ってPCと接続している状況が挙げられる。DDCは一般的なミニD-Sub 15ピン・コネクタでは有効だが、ほとんどの場合5BNCコネクタでは正しく働かない。すると、以下のように、ディスプレイの仕様を自動取得するのに失敗してしまう。

ディスプレイ情報の自動取得に失敗した例

これはWindows 98SEで[画面のプロパティ]から詳細設定メニューを表示させたところ。Windows 9x/Meではディスプレイの種類が特定できないと、[モニタの種類]が「(不明なモニタ)」や「標準モニタ」に設定されてしまう。この場合、リフレッシュ・レートの変更メニューも表示されない。

 上記の状態では、リフレッシュ・レートを手動で変更することができない(通常は[アダプタ]タブに存在するリフレッシュ・レートの変更メニューが表示されなくなる)。また上記画面で、ディスプレイの種類が「プラグ アンド プレイ モニタ」の場合でも、何らかの理由によりディスプレイとの通信に失敗すると、リフレッシュ・レートの設定範囲は大きく制限されてしまうので、注意が必要だ。

 このように自動設定に失敗した場合のために、Windowsではディスプレイの種類を手動設定することも可能になっている。自動設定ではディスプレイの各種仕様をディスプレイ自身から読み出すのに対して、手動設定ではディスプレイの仕様などを記したINFファイル(ディスプレイ定義ファイル)により、その仕様をWindowsに通知する。ここではWindows 98SEを例にディスプレイの種類を手動設定する手順を解説しよう。Windows 95OSR2/98/Meでも、同様の手順でディスプレイの手動設定が可能である。

事前にグラフィックス・カードを正しく認識させておく

 ディスプレイの種類を手動設定する前に、グラフィックス・カードの設定を確認しておこう。なぜなら、インストール直後などでグラフィックス・カード(ディスプレイ アダプタ)が正しく認識されていない場合、以下のように[画面のプロパティ]から詳細設定メニューを表示させても、[モニタ]タブが現れないことがあるからだ。

グラフィックス・カードが正しく設定されていない例

デウインドウ・タイトルが「不明なデバイス)となっていることから分かるように、Windowsはグラフィックス・カードを正しく認識していない。そのため、[モニタ]タブが消えてしまっている。

 これを解決するには、グラフィックス・カードのデバイス・ドライバを適切にインストールする必要がある。インストール方法は各グラフィックス・カードのマニュアルなどを参照していただきたい。

ディスプレイの種類は[画面のプロパティ]から変更できる

 ディスプレイの種類を変更するには、まず[画面のプロパティ]から詳細設定メニューを表示させる。その方法については、「PC TIPS:ディスプレイのリフレッシュ・レートを変更するには(Windows 95OSR2/98/98SE/Me編)」を参照していただきたい。そこで[モニタ]タブを選ぶと、以下のような画面が現れる。

[画面のプロパティ]の詳細設定メニュー

[画面のプロパティ]を開いたあと、詳細設定メニューから[モニタ]タブを選ぶ。
  このボタンを押すと、デバイス(ここではディスプレイ)を認識させるためのウィザードが起動する。

 上記の手順でウィザードを起動したら以下の画面まで進み、デバイスを検索するモード(こちらがデフォルト)から、デバイスを一覧から選択するモードに変更する。なお場合によっては、ウィザードを起動するとすぐに、後述のディスプレイ選択画面が表示されることもある。

ディスプレイを手動で設定するモードを選ぶ

  ディスプレイの種類を手動設定するには、こちらのラジオ・ボタンを選ぶ。。

 上記の画面はWindows 98SEの例で、Windows Meでは画面構成が若干異なるが、選択肢は同じである。

未登録のディスプレイは発売元のWebサイトから入手できる

 ウィザードを進めると、次は実際にディスプレイを選択する画面が現れる。Windowsは標準で多数のデバイスをサポートしており、ディスプレイについても、数多くの市販製品が最初から登録されている。それは以下の画面のように、登録済みディスプレイをすべて表示するモードに変更すれば分かるだろう。

Windows 98SEに登録されているディスプレイ製品の例

数多くの製品が登録されているが、比較的新しい製品は漏れていることもある。
  登録済みディスプレイをすべて表示するには、こちらのラジオ・ボタンを選択する(最初は互換性があると判断されたディスプレイしか表示されない)。
  登録されていないディスプレイの情報を読み込むには、このボタンを押してディスプレイ定義ファイルを読み込む。

 しかし、各バージョンのWindowsが発売された後に登場したディスプレイは、当然ながらそのバージョンのWindowsには登録されていない。そんなときは、ディスプレイ・ベンダがWebサイトで提供しているディスプレイ定義ファイルをダウンロードしてWindowsに組み込めばよい。リソースセンターディスプレイ・ベンダ一覧から、使用中のディスプレイのベンダを選べば、比較的容易にディスプレイ定義ファイルのありかまでたどり着けるだろう。また、ディスプレイによっては、ディスプレイ定義ファイルを収めたフロッピーディスクを添付していることもあるので、それを使ってもよい。

 ここでは、筆者が使用しているナナオ製ディスプレイ(FlexScan T760)を例に、ディスプレイ定義ファイルを組み込んでみる。あらかじめ、ベンダのWebサイトからダウンロードしたアーカイブ・ファイルを展開して、その中身のディスプレイ定義ファイルを適当なフォルダに展開しておく。ここではD:\Drv-98\FlexScan\Monitorというフォルダにディスプレイ定義ファイルを保存した。上記の画面にてのボタンを押すと以下の画面が表示されるので、適切にフォルダを指定する。

ディスプレイ定義ファイルの組み込み

ここではディスプレイ定義ファイルを保存したD:\Drv-2k\FlexScan\Monitorというフォルダを指定して[OK]ボタンを押す。

 すると、ディスプレイ定義ファイルに含まれるディスプレイ製品の一覧が現れるので、該当する製品を選んで次に進む。

該当するディスプレイを選ぶ

ここでは現在使用しているナナオ製FlexScan T760を選んでいる。

 正常に組み込み作業が進めば、完了の画面が表示され、最後は元のディスプレイのプロパティに戻るはずだ。[OK]ボタンを押していって、いったんプロパティを閉じたら、再度[画面のプロパティ]からディスプレイの種類とリフレッシュ・レートの範囲を確認してみよう(手順は「PC TIPS:ディスプレイのリフレッシュ・レートを変更するには(Windows 95OSR2/98/98SE/Me編)」を参照)。リフレッシュ・レートの変更メニューでは、以下のように「60Hz」「75Hz」といった特定のリフレッシュ・レートの値が現れるはずだ。

ディスプレイ手動設定後のリフレッシュ・レート変更メニュー

グラフィックス・カードとディスプレイが正しくWindowsに認識されていれば、この[アダプタ]タブでリフレッシュ・レートを変更できる。
  この時点の解像度/発色数で表示可能なリフレッシュ・レートとして、60Hz〜85Hzまでの値が選択可能であることが分かる。


ディスプレイをつなぎ替えるときに要注意

 ディスプレイを手動設定した場合、注意すべきはディスプレイを交換するときだ。自動設定の場合は、新しいディスプレイにつなぎ替えた時点で新しい仕様が読み出され、リフレッシュ・レートなどが自動的に変更される。しかし手動設定では新しいディスプレイをつないでも自動的な変更は行われないので、新しいディスプレイでも確実に表示できるよう、交換前にいったん解像度とリフレッシュ・レートを下げる必要がある。さもないと正常に画面が表示されない可能性があり、その後の設定もままならなくなってしまう。新しいディスプレイをつなげたら、あらためて手動でディスプレイの種類を設定し直す必要もある。記事の終わり

  関連記事(PC INSIDER内)
ディスプレイのリフレッシュ・レートを変更するには(Windows 95 OSR2/98/98SE/Me編)
ディスプレイの種類を手動設定するには(Windows 2000編)
ディスプレイ・ベンダのリンク集

「PC TIPS」


System Insider フォーラム 新着記事
  • Intelと互換プロセッサとの戦いの歴史を振り返る (2017/6/28)
     Intelのx86が誕生して約40年たつという。x86プロセッサは、互換プロセッサとの戦いでもあった。その歴史を簡単に振り返ってみよう
  • 第204回 人工知能がFPGAに恋する理由 (2017/5/25)
     最近、人工知能(AI)のアクセラレータとしてFPGAを活用する動きがある。なぜCPUやGPUに加えて、FPGAが人工知能に活用されるのだろうか。その理由は?
  • IoT実用化への号砲は鳴った (2017/4/27)
     スタートの号砲が鳴ったようだ。多くのベンダーからIoTを使った実証実験の発表が相次いでいる。あと半年もすれば、実用化へのゴールも見えてくるのだろうか?
  • スパコンの新しい潮流は人工知能にあり? (2017/3/29)
     スパコン関連の発表が続いている。多くが「人工知能」をターゲットにしているようだ。人工知能向けのスパコンとはどのようなものなのか、最近の発表から見ていこう
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

System Insider 記事ランキング

本日 月間