プロダクト・レビュー

さまざまな新技術が注ぎ込まれたミッドレンジIAサーバ 「eserver xSeries 360」(1)

デジタルアドバンテージ 島田広道
2002/03/14

 2002年3月13日、インテルは4way以上のSMP構成を実現できるサーバ向けx86プロセッサ「Intel Xeon MP」を発表した。当初はもっと早い時期(2001年中)の投入が予定されていたこのプロセッサの発表がここまで延びたのは、Intelが期待していたServerWorks(Broadcomのチップセット開発部門)製チップセットの準備が遅れたためといわれている。現在IAサーバ向けチップセットは、IntelとServerWorksのものが主流を占めている。しかし両社とも、2wayのIntel Xeonや4way以上のIntel Xeon MPのサーバに対応するチップセットは、なかなか出荷できなかった。

 こうした状況下で、独自に開発されたIntel Xeon MP用サーバ向けチップセットが存在する。それはIBMの「XA-32」ファミリだ*1。同社は、メインフレームの開発/製造で培われてきた技術をIAサーバにも適用する「エンタープライズ X-アーキテクチャー(EXA)」を提唱し、IAサーバのスケーラビリティ可用性を高めようとしている。XA-32はこのEXAに基づいて開発された初めてのチップセットである(「エンタープライズ X-アーキテクチャー(EXA)」の情報ページ)。

*1 XA-32と同様に、EXAに基づいたItaniumプロセッサ・ファミリ向けチップセット「XA-64」ファミリも開発されている。これは次世代Itaniumプロセッサ「McKinley(開発コード名:マッキンリー)」をサポートする。なお、以前XA-32/64は開発コード名「Summit」で呼ばれていた。これらのチップセットの外販については不明であるため、IBM以外のサーバ・ベンダから同チップセットを搭載したサーバが販売されるかどうかは分からない。

 本稿で紹介する日本IBM製ミッドレンジIAサーバ「eserver xSeries 360」は、そのXA-32チップセットを搭載した初めてのサーバである。すなわちEXAに基づいた初のIAサーバでもある。本機には、Intel Xeon MPも含めてさまざまな新技術が投入されており、目新しい機能も目立つ。ミッドレンジとはいえ、従来のハイエンド/エンタープライズ・レンジの性能やスケーラビリティまでカバーする可能性を持ったサーバといえる。そこで、特に新技術や2002年度の標準となりうる機能に焦点を当てて、本機を紹介しよう。試用したのは、Intel Xeon MP-1.5GHz(512Kbytes 3次キャッシュ内蔵)を搭載するeserver xSeries 360 8686-2RXである。

3Uサイズのメンテナンスのしやすい本体ケース

 eserver xSeries 360は3U厚(133.4mm)のラックマウント型ケースを採用している。まずはケースの外観からチェックしてみよう。2001年は1Uサーバが注目を集めたため、3U厚というと非常に大型に見えるが、4wayのミッドレンジ・クラスのサーバとしては小型の部類に入るかもしれない。

3Uサイズの本体ケース
3Uラックマウント型という、最近話題の1Uサーバに比べて厚みのあるケースのため、写真ではそれほど大きくないように見えるかもしれない。しかし外形寸法は幅442×奥行き701×高さ133.4mmと、特に奥行きが長い。1Uサーバと並べてラックに搭載すると、後ろが突き出る可能性が高い。

 フロントパネルに注目すると、向かって右側にはハードディスクのベイが見え、その左側には電源ユニットがフロント・カバーに隠れている。他のデバイスと比較すると、一般的に故障する危険性が高いハードディスクや電源ユニットがフロントパネル側に配置されているのは、万一の故障時に、いちいちラックの裏側に回らなくても、ラックの前面から容易に交換作業が行えるよう意図したものだろう(どちらもホットプラグホットスワップ可能)。なお電源コネクタ自体は、本体のリアパネルに実装されている。

ホットスワップ可能な電源ユニットを最大3台まで装着可能
電源ユニットは、このようにレバーを引き上げて簡単に引っ張り出せる。引き出した電源ユニットと、その奥にあるもう1台の合計2台が標準装備されている。1台当たりの電源容量は370Wで、1台が壊れてもほかの電源ユニットが電力を供給し続ける冗長構成をサポートしている。そのため、各電源ユニットにはAC電源ケーブルをそれぞれ直結する設計になっている(本機のリアパネルには、AC電源ケーブル用コネクタが3つ設けられている)。
 
ホットスワップ可能なハードディスクを最大3台まで装着可能
標準では、引っ張り出した1台とその上にあるもう1台の合計2台のハードディスク(1台当たりの容量は36.4Gbytes)が装備されている。ハードディスクとSCSIコントローラ、およびバックプレーンは、Ultra160 SCSIに対応している。オプションでRAIDコントローラを追加すれば、RAID 1/5などによる冗長構成も可能だ。内蔵可能な最大ディスク数は3台とそれほど多くはないが、後述するようにI/Oの性能と拡張性は高いため、外付けストレージを数多く接続できる。

 ケース上部は1枚板のカバーからなり、スライドして取り外せる。ここに詳細なステータスを表示するインジケータが設けられている点に注目したい。

クリックで拡大写真へ
ケースの上部カバー表面に注目すると……
上部カバーの表面には、各種パーツの着脱方法などを記したラベルのほか、カバーを取り外すレバーや診断用インジケータLEDが設けられている。
  ハードウェアの診断用インジケータLED。LED自体はケース内部にあり、カバー上の穴からLEDの表示が見える。つまりメンテナンス時は、ケースを開けることなく、ケース内温度の上昇や各種パーツの障害といったステータスを参照できるわけだ
  カバーを取り外すレバー。これを写真のように上げるだけでロックが解除され、カバーが取り外せる
 
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RAIDの基礎知識
ブレード・サーバに見る信頼性と冗長性の関係
 
  関連リンク 
eserver xSeries 360の製品情報ページ
「エンタープライズ X-アーキテクチャー(EXA)」の情報ページ
 
 
 

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