プロダクト・レビュー

スケーラビリティの高い1Uサーバ
「PowerEdge 1550」

2.性能や拡張性を重視した内部構成

澤谷琢磨
2001/04/14

プロセッサは最大2基までパワーアップ可能

 PowerEdge 1550では、購入時のBTOメニューにおいて、866MHz/933MHz/1GHz(いずれもFSBは133MHz)のPentium IIIから、シングル・プロセッサあるいはデュアル・プロセッサ構成を選択できる(2001年4月中旬の時点)。1Uサーバでも上位機なら、この程度のスケーラビリティを備えられるようになってきている。

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2基のPentium IIIを搭載した評価機 (拡大写真:70Kbytes
これは評価機に搭載されていたPentium III-933MHz×2基から、ヒートシンクを取り外して撮影したもの。通常は大型のヒートシンクに覆われている。このヒートシンクとPCIカードが干渉するため、カードのサイズには制限がある(詳細はPCIスロットの解説を参照)。

バスの「幅」と「数」が違うサーバ向けチップセットを搭載

 現在、ローエンドからミッドレンジ(の下位)のIAサーバでは、旧ServerWorks(現Broadcom)製のチップセットの採用が多い。これは、Intelがこのクラス向けのチップセットをラインアップしていないことが影響している。PowerEdge 1550もまた、ServerWorks社製チップセット「ServerSet HE SL」を採用している。多くの1Uサーバが採用している「ServerSet III LE」に比べると、このチップセットには、メイン・メモリのインターリーブ・アクセスによる高速化や、複数の64bit/66MHz PCIバスのサポートといった機能強化が図られている。

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プロセッサやメモリの至近に配置されたチップセット (拡大写真:77Kbytes
本機のチップセットServerSet HE SLの構成は、ノースブリッジサウスブリッジ、I/Oブリッジの3チップからなる。このうちノースブリッジとI/Oブリッジは非常に高いデータ転送性能が要求されるため、Inter Module Busと呼ばれる転送レート1Gbytes/sの専用バスで相互接続されている。
  ServerSet HE SLのノースブリッジ
プロセッサとメイン・メモリのそれぞれのバスを管理している。
  ServerSet HE SLのI/Oブリッジ
64bit/66MHz PCIを含む複数のPCIバスを管理している。このチップはAGPにも対応しているが、本機では利用されていない(グラフィックスはPCIバス経由で接続されている)。

インターリーブで高速化されたメイン・メモリ

 PowerEdge 1550のBTOメニューでは、メイン・メモリ用のDIMMは2枚単位でしか購入できない。これはServerSet HE SLチップセットが2枚のDIMMに対してインターリーブ・アクセスを行うためだ。そのためDIMMは2枚単位で増設しなければならないが、最大転送レートはPC133メモリの2倍である2.1Gbytes/sに高まる。サーバにとって重要なメモリのスループットを大幅に向上させているのは、大きなメリットといえる。

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4本のソケットで最大2Gbytesまでメイン・メモリを実装可能 (拡大写真:上63Kbytes下40Kbytes
168ピンDIMMソケットが4本装備されており、最大メモリ容量は512Mbytes Registered DIMM×4枚で合計2Gbytesとなる。メモリ増設時にはソケットを1本ずつ空けて2枚のDIMMを装着する。写真のとおり、このDIMMソケットのすぐ上にはPCIカードが装着されるが、ぎりぎり干渉しないよう設計されている。

3系統のPCIバスと64bit/66MHz PCIスロットを装備

 PowerEdge 1550のPCIバスには、2つの特徴がある。1つは64bit/66MHz PCIという高速なバスをサポートしている点だ。デスクトップPCなどで一般的な32bit/33MHz PCIに比べ、最大転送レートは4倍の533Mbytes/sに達する。これにより、Ultra160 SCSIRAIDによるディスク・サブシステムやギガビット・イーサネット、SANファイバ・チャネル)など、サーバで利用される高速なI/OデバイスでもPCIバスがボトルネックになりにくくなる。

 もう1つの特徴は、独立した3系統のPCIバスを装備している点だ。1系統のPCIバスの転送能力は、そこに接続された全デバイスで共有されるため、デバイス数が増えるとバスがボトルネックとなり、各デバイス本来の性能が発揮できない。そこでI/O性能の重要なサーバでは、複数の独立したPCIバスを設け、デバイスを分散させることでバス・ボトルネックを解消する、という技術がしばしば実装される。PowerEdge 1550の場合、2系統の64bit/66MHz PCIバスと、1系統の32bit/33MHz PCIバスを装備している。このうち64bitの方はオンボードSCSIや拡張スロットに、また32bitの方はIDEインターフェイスやグラフィックス、レガシー・デバイスに接続されている。

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別々のバスに接続されている2本のPCIスロット (拡大写真:81Kbytes
どちらも64bit/66MHz PCIに対応したスロットだが、PCIバスは別々の系統になっている。32bit PCIカードも装着可能だが、3.3Vの信号電圧に対応している必要がある。
  PCIスロット(その1)
写真では逆になっているが、もともとRAIDコントローラはこちら側のスロットに装着されていた。1基目のプロセッサ()のヒートシンクが干渉するため、カードの大きさはハーフ・サイズまでだ。
  PCIスロット(その2)
2基目のプロセッサ()がなければ、こちら側のスロットにはフル・サイズのカードを装着できる。プロセッサがあれば、ハーフ・サイズまでだ。オンボードのSCSIコントローラは、このスロットと同系統のPCIバスに接続されていた。
  1基目のプロセッサ
  2基目のプロセッサ

フロントとリアの両方に装備されたコンソール用コネクタ

 外観から気付くPowerEdge 1550の特徴の1つは、ディスプレイ・コネクタとキーボード/マウス・コネクタがフロント・パネルとリア・パネルの両方に設けられていることだ。ラックの前面と背面のどちらからでもコンソールを接続できるので、導入設定やメンテナンスのときに便利だ。デルでは、フロント側をメンテナンス用、リア側を常時接続用と想定しているとのことである。なお、それぞれのコネクタは排他利用であり、どちらか先に接続した方が有効となる(両方を同時に使うことはできない)。

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フロント・パネルを覆うカバー (拡大写真:54Kbytes
前面から容易にハードディスクを取り出せる本機には、フロント・パネルを保護するカバーが標準装備されている。写真のとおり、カバーはキー・ロックできるため、第三者によるスイッチやハードディスクの不正な操作を禁止できる。評価機はサンプル品だったためか、かぎ周辺部の加工精度があまり高くなく、カバーの着脱がスムーズに行えなかった。製品版ではこうした問題はないとのことだ。
 
フロント・パネルに配置されたコネクタとインジケータLED
フロント・パネルのカバーを外すと、これらのコネクタやインジケータLEDが露出する。
  システムの動作状態を示すLED群
  電源スイッチ
  PS/2コネクタ(キーボード/マウス共用)
  ディスプレイ・コネクタ
 
リア・パネルに配置されたコネクタ
上の写真が、リア・パネルの真ん中の部分、下の写真が向かって右の部分である。拡張カードを2枚まで増設できることもあって、各コネクタは狭いスペースに押し込まれている感がある。その周りに開いている穴は廃熱用で、内蔵のファンにより内部で暖められた空気がここから排出される。
  拡張スロット(左側)のブラケット部分
評価機ではここにRAIDカードが装着されていたので、その外部SCSIコネクタ(VHDCIタイプ)が2つ見える。
  SCSIコネクタ
これはとは異なり、マザーボード上に直付けされたSCSIコントローラとつながっている外部SCSIコネクタ(これもVHDCIタイプ)。テープ・ドライブなどRAIDと無関係の外部SCSIデバイスはここに接続する。
  シリアル・ポート
  ディスプレイ・コネクタ
出力される画像信号はフロント・パネル側と同一だ。
  拡張スロット(右側)のブラケット部分
  USB(2ポート)
  イーサネット・インターフェイス
10BASE-T100BASE-TX両対応のインターフェイスを2系統、標準装備している。
  キーボード/マウス用PS/2コネクタ
フロント側とは異なり、キーボード(下)とマウス(上)それぞれのコネクタが独立している。

小型でも強力なファン4基で冷却

 特に高さ方向の制限の強い1Uサーバでは、プロセッサのヒートシンクに直接ファンを取り付けるのは難しいため、その冷却には特別な配慮が必要となる。PowerEdge 1550は、デュアル・プロセッサ対応であることに加え、発熱量の大きな10000rpmのSCSIハードディスクを最大3台搭載することもあり、強力なファンを4基内蔵して冷却している。そのためか、これらのファンが発する騒音も非常に大きいのが気になった。

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PowerEdge 1550内蔵のファン (拡大写真:58Kbytes
バック・プレーンとマザーボードの間にファンが並んでいるのが見える。これらのファンによりフロント・パネルから外気が吸引され、ハードディスクからプロセッサ、そしてマザーボード上のデバイスや電源ユニットなどを順々に冷却して、最後は後方から排気される。ファンの取り付けスペースは8基分あるが、マザーボード側のファン用電源コネクタは4基分しかなく、増設には難がある(メーカー側は、4基でも十分な冷却効果があると述べている)。
  超高速回転型の山洋電気製DC Fine Aceを採用
このファンは40mm角×28mm厚と小型だが、10300rpmと超高速回転型である(その分、騒音も激しいが)。

 PowerEdge 1550は、1Uという極薄ケースの制限下で、機能や性能、拡張性をなるべく高めることが重視されているのがうかがえる。複数台のサーバを1カ所でまとめて管理したいが、単体の性能やスケーラビリティはある程度必要、という用途に適している。たとえば、比較的負荷の重いeコマース向けのWebサーバが、これに該当する。アプリケーション・サーバも、規模がそれほど大きくなければ本機が向いている(規模が大きければ2Uサーバなど上位機の出番だ)。このように同じデータセンタ向けでも、用途に応じて、下位モデルのPowerEdge 350と本機を使い分けることになるだろう。記事の終わり

  関連記事(PC Insider内)
資料
1Uラックマウント型IAサーバ:「デルコンピュータ PowerEdge 1550
IT Market Trend:第2回 拡大するラックマウント型サーバ市場
大量導入向け低価格1Uサーバ「コンパック ProLiant DL320」

  関連リンク
PowerEdge 1550の製品情報
チップセット「ServerSet」シリーズの製品情報ENGLISH
 
 
 

 INDEX

  [製品レビュー]スケーラビリティの高い1Uサーバ「PowerEdge 1550」
    1.RAID 5にも対応可能なディスク・サブシステム
  2.性能や拡張性を重視した内部構成
 
「PC Insiderのプロダクト・レビュー」


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