最新のビジネス向けPCを解剖する

1. エプソンダイレクト Endeavor MT-4000 (1)

デジタルアドバンテージ
2000/09/08

 

試用したEndeavor MT-4000

エプソンダイレクトは、まだまだPC-9801シリーズが隆盛であった1993年に設立されたIBM PC/AT互換機専門の直販PCベンダである。BTO(Built To Order)を採用するPCベンダとしては、もはや老舗と呼べる存在だ。当初はEndeavor(エンデバー)シリーズだけだったブランドも、現在は仕様を固定することで低価格を実現したEDiCube(エディ キューブ)というブランドが加わっている。

 幅広いBTOの可能なEndeavorシリーズのうち、デスクトップPCのラインアップは、一般的なタワー型ケースを採用した「タワーPC」と、省スペース性を重視した「コンパクトPC」に大別される。今回評価したEndeavor MT-4000は、タワーPCシリーズのなかでも小型のミニタワー ケースを採用しているモデルである。つまりMT-4000は、ある程度の拡張性は必要だが、ケースのサイズは小さめにしたい、というニーズに合致するモデルだ。一方、拡張性の高いミドル タワーPCとしては、Proシリーズがラインアップされている。どちらかといえばProシリーズのほうがハイスペックだが、MT-4000もPentium III-1GHzや46.1GbytesのIDEハードディスクを搭載するなど、高性能・大容量なパーツを選択できる。

 本機には、ソフトウェアとしてWindows OS(Windows 98 Second EditionWindows NT Workstation 4.0、Windows 2000 Professionalのいずれか)とウイルス対策ソフトウェア(McAfee Virus Scan)、それにAdobe Acrobat Reader 4.0のみが付属する、というシンプルな構成だ。必然的に、選択のポイントはハードウェアとなる。

電源ユニットは汎用的なATXタイプだが、小型かつ小容量

MT-4000の内部

小型ミニタワー ケースゆえ、どうしてもケース内はケーブルなどで混雑してしまう。

 右の写真で、マザーボード左上部分に覆い被さるように取り付けられている金属のボックスが電源ユニットである。サイズなどの仕様はATX用の電源ユニットとほぼ同じだが、奥行きだけが40mm短い(microATXマザーボードとよくセットで採用されるSFX電源ではない)。着脱可能なマザーボード上のパーツのうち、電源ユニットで隠れるのはプロセッサだけであり、メモリは電源ユニットを外さなくても着脱できる(後述のようにケーブルが邪魔になるが)。また、電源ユニット自体もネジ1本だけで外せるように、取り付け方が工夫されている。

 一般的にタワー型PCケースなら、電源ユニットの位置はたいてい5.25インチ ドライブ ベイの後ろ側である。しかし本機は、5.25インチ ドライブ ベイをよけるように、あえてマザーボードの側面に電源ユニットを配置している。これはケースの奥行きをなるべく短くするためだろう。というのも、電源ユニットを5.25インチ ドライブ ベイの後ろ側に配置した場合、CD-ROMチェンジャなど通常より奥行きの長いドライブを装着すると電源ユニットとぶつかってしまうため、ケース全体の奥行きを長くして余裕を持たせる必要があるからだ。

 注意が必要なのは電源容量が最大142Wと小さいことだ。一般的に、ミドルタワー以上のPCなら、250〜300W程度の電源ユニットを装備している。それらに比べ、特に本機の電源ユニットでは+12Vの最大出力が3.0Aと小さい(250Wなら約9A、300Wなら約12A)。そのため、ハードディスクやCD-ROMドライブのようにスピンドル モーターの駆動に+12Vを使うデバイスをケース内に追加する場合は、あまり消費電力の大きなデバイスは追加しないほうがよいだろう。とはいえ、フロッピードライブを除いて最大4台までしかドライブは内蔵できないので、現実に電源容量が問題になることはほとんどないと思う。

メモリ ソケットは3本あるが、使えるのは2本だけ

メモリ ソケット部分

右端のソケットには、DIMMを装着できないよう黄色いシールが貼られているのが分かる。

 本機が採用するマザーボードは、ASUSTeK Computer製CUSL2-Mという製品で、メイン メモリのDIMMを装着するためのソケットは3本ある。しかし、そのうちドライブ ベイの側に最も近い1本はシールで封印されており、使うことができない(左の写真参照)。1本を使用不能としている理由は不明だが、Intel 815Eチップセットでメイン メモリを133MHzのクロック周波数で駆動する場合、ダブルサイドDIMMは2本までしか装着できない、というチップセットの仕様からくる制限と思われる(シングルサイドDIMMなら3本まで)。

 ちょっと注意が必要なのは、メイン メモリ容量が最大512Mbytesまでということだ。この上限はIntel 815Eチップセットの仕様なので、なにもMT-4000に限ったことではない。512Mbytesというメイン メモリ容量は、デスクトップPCがカバーする多くの用途では十分な値だと思われる。しかし、Intel 815Eチップセットの前に主流だったIntel 440BXチップセットは1Gbytesまで実装できる。つまり、以前よりスペックダウンしていることは覚えておきたい(新しいPCだからといって、メモリ最大容量が旧機種より増えているとは限らないわけだ)。

 またマニュアルには、PC133対応SDRAM DIMMだけが増設できるとあり、PC100やそれ以下のクロック周波数に対応するDIMMは保証範囲外である。ただし編集部で実験した限りでは、メイン メモリを100MHzで駆動するようBIOSセットアップで変更すれば、PC100 SDRAM DIMMも利用できた(これはマザーボードであるCUSL2-Mの仕様の範囲内でもある)。

 左上写真には写っていないが、ケースを開けた直後の状態では、DIMMソケットの上にIDEやフロッピードライブのフラット ケーブルや電源ケーブルが被さっており、DIMMを着脱する際、ちょっと邪魔になる。

CNRスロットはサポートされないものの、必要十分な拡張スロット数を装備

拡張スロット部分

ハードディスク ベイとぶつかるので、全長が175mmを超える拡張カードは装着できない。
  AGPスロット。AGP Pro対応だが、本機ではサポートされない。
  PCIスロット。一般的な5V信号に対応したスロットだ。
  CNRスロット。Intel 815Eチップセット搭載機の特徴の1つである。

 本機の拡張スロットは、AGP×1、PCI×3、CNR(Communication and Network Riser)×1である。CNRとはIntelが提唱している拡張カード規格の一種で、イーサネットやHomePNAなどのネットワークやオーディオ、モデムといった機能のうち、デジタル回路の部分はマザーボードに実装し、アナログ部分を拡張カードに実装するというものだ。これにより、PCベンダは同一のマザーボードを用いながら機能の異なるPCのラインアップを、より安価に実現できるという。

 CNRスロットを活用するには、当然ながらCNRカードが必要なのだが、CNRの仕様自体がIntel 815Eチップセットと同時に登場したばかり(*1)なので、いまだ入手できないようだ。そもそもCNRカードはOEMベンダ向け専用で、リテール市場つまりエンドユーザーが単体で購入できるようにはならない、といわれている。さらに本機の場合、エプソンダイレクトはCNRスロットをサポートしていない(マニュアルにはまったく記されていない)し、オプションの中にもCNRカードはない。マザーボードであるCUSL2-Mはサポートしているが、期待しないほうがいいだろう。

*1 CNRが登場する以前、Intelはネットワーク機能をサポートしないAMR(Audio/Modem Riser)という仕様を推奨していた。またAMDもCNRに対抗してACR(Advanced Communication Riser)という同様の仕様を提唱している。

 CNRが使えなくとも、マザーボード上にネットワークやオーディオが装備されていることから、よほどのことがない限り、3本のPCIスロットで不足することはないはずだ(足りなくなりそうな用途なら、本機ではなくミドルタワーケースのEndeavor Proシリーズを選ぶべきだ)。むしろ注意すべきはPCIカードの全長で、3.5インチ ハードディスク ベイとぶつからないよう、カードの全長は175mm以下のものを選ぶ必要がある(AGPカードも同じ)。

 また本機はAGPスロットを備えているので、ここにAGPカードを装着すれば、マザーボード上のグラフィックス機能は自動的に無効になり、AGPカードが利用できるようになる。BTOでの選択次第では、ここにAGPカードが装着されて出荷される場合もある。右上写真のAGPスロットには黄色いシールが貼られているが、これはAGP Pro対応カードを装着するときだけ剥がせばよいものだ。AGP Proとは、ワークステーション向けのハイエンド グラフィックス カードのための規格だ。本機では、AGP Proカードをサポートしないが、一般的なデスクトップPC向けAGPカードを利用する分には制限はない(マザーボードとしてはAGP Proカードをサポートする)。

 次のページでは、引き続きEndeavor MT-4000を評価する。

関連リンク
Endeavor MT-4000の製品情報
エプソンダイレクト Endeavor MT-4000の発表に関するニュースリリース
マザーボードCUSL2-Mの製品情報
CNRの仕様や製品情報など
Intel 815Eチップセットの製品情報



  INDEX
  [特集]最新のビジネス向けPCを解剖する
  1. エプソンダイレクト Endeavor MT-4000 (1)
    2. エプソンダイレクト Endeavor MT-4000 (2)
    3. コンパックコンピュータ Deskpro EN (1)
    4. コンパックコンピュータ Deskpro EN (2)
    5. ビジネス向け最新デスクトップPCの傾向

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