最新のビジネス向けPCを解剖する

5. ビジネス向け最新デスクトップPCの傾向

デジタルアドバンテージ
2000/09/08

 最後に、2機種の最新デスクトップPCを評価して得られたことを、ここでまとめてみよう。

Intel 815Eチップセット搭載デスクトップPCの注意点

 チップセットが変わったことにより、新しいデスクトップPCの機能も変わっている。もちろんメリットのほうが多いのだが、中にはデメリットもないわけではない。新しいIntel 815E搭載デスクトップPCを導入するにあたって、筆者が気が付いた注意すべき点に触れておこう。

■使えなくなった機能

 Intel 815Eチップセットで使えなくなった機能としてまず挙げられるのは、ISAスロットである。従来からISAバスは、PCから排除すべきレガシー デバイスの代表格として扱われており、すでにIntel 810/820チップセットではISAバスがオプション扱いになっていた。Intel 815EでもISAバスは標準装備されないので、ついにメインストリームのデスクトップPCから、ISAスロットが消え去ることとなった。オプションでISAバスを実装できないことはないが、コストが増えるだけなので、まず実装するPCベンダはないだろう。これまでISAカードを使ってきたユーザーは、そろそろPCIなどほかのソリューションを探す必要がありそうだ。

 また、前世代のIntel 440BXチップセットに比べると、Intel 815Eはデュアル プロセッサ構成(SMP)をサポートしていない。メイン メモリ容量も最大512Mbytesとそれほど大きいほうではない(Intel 440BXでは最大1Gbytesだった)。こうした機能がデスクトップPCに必要かといえば疑問の余地があるが、少なくともIntel 815E搭載機は、科学技術計算などパフォーマンスをひたすらに追求する必要のある用途に適しているとは言い難い。

■チップセットの全機能が活用されているとは限らない

 今回評価した2機種のデスクトップPCは、いずれもUSBを2ポートしか実装していない。しかし、Intel 815Eは2個のUSBコントローラを内蔵しており、合計4ポートのUSBを装備できる。評価した2機種が2ポートしかUSBを実装していない理由は不明だが、コンシューマ向けのIntel 815E搭載機では3〜4ポートを実装している例もある。ビジネス向けPCでは、ユーザーが使用するUSBデバイスの数はそれほど多くない、とPCベンダは判断しているかもしれない。

 Intel 815Eと同時に登場したCNR(Communication and Network Riser)もまた、評価した2機種では利用されていない。もっとも、評価した2機種では、CNRが対象としているネットワークやサウンドの機能が、マザーボード上にコネクタごと実装されているので、CNRスロットの必要性が低いことも確かだ。

 そのほか、Intel 815EのIDEインターフェイスはUltra ATA/100に対応しているが、搭載されているIDEハードディスクはUltra ATA/66までしか対応していない場合もある。今回の評価機では、Endeavor MT-4000がこれに該当する(*1)。ただし、Ultra ATA/66で性能が足りないほど高速なハードディスクは2000年9月の時点でまだ存在しない。より高速なハードディスクが今後登場するとしても、IDEインターフェイスがUltra ATA/100に対応しており、ボトルネックにはならないので特に問題ではない。

*1 BTO(Built To Order)で選択できる46.1Gbytesのハードディスクだけは、Ultra ATA/100対応である。

Intel 815Eチップセットの登場で変わること

 上記ではIntel 815Eのデメリットに触れたが、全体として、Intel 815Eの登場は、エンドユーザーにとってメリットのほうが多い。

 グラフィックスやネットワークなどの内蔵機能が増えたIntel 815Eにより、PCベンダは単一のマザーボードで多彩なコンフィグレーションを実現できるようになった。つまり、下位機種には安価なCeleronとチップセット内蔵グラフィックスを採用し、上位機種には高クロックのPentium IIIと高性能なAGPグラフィックス カードを採用する、ということが、Intel 815Eチップセットを搭載した単一のマザーボードをベースに実現できる(2000年前半は、上位機種と下位機種でチップセットを変更する必要があった)。実際、Deskpro ENではマザーボードやケースなどを統一しつつ、3段階の性能差のあるラインアップが構成されている。また、BTO(Built To Order)の可能なEndeavor MT-4000では、エンドユーザー自身が仕様を柔軟に変更できる。

 PCベンダの都合により、チップセットの内蔵機能を無効にすることも可能だ。たとえば、Endeavor MT-4000では何らかの理由により、イーサネット コントローラにあえて3Com製のものを採用している。このように選択範囲が広い分、PCベンダは自社の独自性をPCに反映しやすい。

 以上のようなPCベンダにとってのメリットは、エンドユーザーにもメリットとなる。PCベンダはさまざまなコンフィグレーションのデスクトップPCを用意できるので、エンドユーザーにとっては選択肢が広がる。また、PCベンダが単一のマザーボードで下位機種から上位機種まで提供できるということは、エンドユーザーがPCを購入した後にアップグレードできる幅も広い、ということを意味する。たとえば、最初は下位機種を購入しておき、後で性能が足りないと感じるようになったら、上位機種に組み込まれていた高性能パーツでアップグレードすればよい。初期導入コストを抑えつつ、アップグレードで長期間使えるようにできるということは、TCO(Total Cost of Ownership)の削減という観点では重要な要素だ。

 チップセット内蔵機能が増えたということは、パーツ数が減るため、PCのコストダウンというメリットも考えられる。エンドユーザーがこのメリットを享受できるかどうかはPCベンダの価格設定次第だが、Endeavor MT-4000の価格設定を見ると、確かに期待できそうだ。記事の終わり

関連リンク
Endeavor MT-4000の製品情報
Deskpro ENの製品情報
CNRの仕様や製品情報など
Intel 815Eチップセットの製品情報


 

  INDEX
  [特集]最新のビジネス向けPCを解剖する
    1. エプソンダイレクト Endeavor MT-4000 (1)
    2. エプソンダイレクト Endeavor MT-4000 (2)
    3. コンパックコンピュータ Deskpro EN (1)
    4. コンパックコンピュータ Deskpro EN (2)
  5. ビジネス向け最新デスクトップPCの傾向

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