特集
最新のビジネス向けPCを解剖する
− 新型チップセット搭載の最新PC2機種を徹底評価 −

デジタルアドバンテージ
2000/09/08

 2000年前半は、企業のPC購入担当者にとって、クライアントPC選びが非常に難しい時期だった。というのも、ビジネス向けデスクトップPCの主流がはっきりしなかったからだ。

 その原因は、Intelのチップセット戦略がうまくいかなかったことにある。まず次期主力チップセットとして登場したIntel 820チップセットは、メインメモリとして使うDirect RDRAMの価格が下がらなかったり、SDRAMとの接続でトラブルが生じたりして、現在に至るまで普及していない。そのためPCベンダは、約2年も前の製品であるIntel 440BXチップセットとPentium IIIとの組み合わせで、デスクトップPCを製品化せざるを得なかった。しかしこのIntel 440BXでは、FSBが133MHzである最新のPentium IIIをサポートしないなど、魅力に欠ける部分が多かった。そして、IntelのデスクトップPC向けチップセットとして、唯一133MHzのFSBに対応していたIntel 810Eチップセットは、もともとCeleronと組み合わせて低価格PCの市場を狙う製品だったため、内蔵グラフィックスをAGPグラフィックス カードでアップグレードできない、というデメリットがあった。つまり、PCベンダとしては、Intel製チップセットで魅力のあるメインストリームのデスクトップPCを製造できなかったわけだ。

 そのため、Intelチップセットとは競合関係にあるVIA TechnologiesのApollo Pro133Aというチップセットが、代わりによく採用された。しかし、肝心のプロセッサであるPentium IIIが供給不足に陥ったため、AMDのAthlon搭載機がメインストリームのデスクトップPCとして投入される事態となった。

 PCを選択するユーザーの立場からすると、選択肢が広いわりに、はっきりとした本命がない、というのが2000年前半のビジネス向けデスクトップPC市場だった。

期待のIntel 815Eチップセット登場

 しかし状況は変わりつつある。2000年6月、次期主力チップセットとしてIntel 815Eという製品が登場したからだ。型番からも分かるとおり、このチップセットは、ローエンドのIntel 810Eと、ハイエンドになってしまったIntel 820との間を埋める製品だ。

 Intel 815Eチップセットは、Intel 810Eと同じくグラフィックスを内蔵しながら、AGPスロットも装備できるという特徴を持つ。つまり、内蔵グラフィックスの性能に不満なら、AGPグラフィックス カードを装着してアップグレードできるわけだ。133MHzのFSBとPC133 SDRAMにも対応しており、ローエンドのCeleronからハイエンドのPentium IIIまでをサポートする。さらにビジネス向けとして重要なのは、10BASE-T100BASE-TXイーサネット コントローラが内蔵されたことだ(*1)。これでグラフィックス/ディスク インターフェイス/サウンド/ネットワークという基本機能が、すべてチップセットに内蔵されたことになる。

*1 物理層(PHY)を担当するチップを外付けする必要がある。

 また、IDEインターフェイスは今後の標準となるUltra ATA/100(Ultra DMA/100)をサポートしたほか、USBコントローラも2つに増え、標準で4つのUSBポートを実装できるようになった。Intel 440BXに比べると、ISAバスがオプション扱いになり、標準ではなくなったことも特徴の1つだ。

Intel 815Eチップセット

左は、メモリとグラフィックスをコントロールするGMCH(Graphics Memory Controller Hub)。真ん中はIDEやUSB、イーサネットなどを内蔵したICH2(I/O Controller Hub 2)。右はBIOSなどファームウェアを格納するFWH(FirmWare Hub)で、フラッシュメモリの一種だ。

今年後半のデスクトップPCの傾向

 Intel 815Eチップセットの登場により、コスト最優先の低価格PC(エントリPC)はCeleronとIntel 810チップセットの組み合わせが増え、従来のAMD-K6シリーズ搭載機は次第に消えていくだろう。AMD陣営からは、グラフィックス統合チップセットが登場すれば、この市場にDuron搭載機が投入されるはずだ(Duronについてはニュース解説「AMDが2次キャッシュをプロセッサ ダイに同梱したAthlonとエントリPC向けDuronを発表」を参照していただきたい)。

 一方、デスクトップPCの主流は、Pentium IIIまたはCeleronの高クロック モデルとIntel 815Eチップセットの組み合わせになるだろう。従来、よく採用されていたVIA Apollo Pro133Aチップセットは、デュアル プロセッサ構成(SMP)が可能であり、また1.5Gbytes〜2Gbytesという大容量のメインメモリを実装できるなど、Intel 815Eにはないアドバンテージを持っていることから、PCワークステーションなど上位の機種で利用される傾向が見られる。Direct RDRAMを採用するIntel 820E/840チップセットと同じ用途だ。

 Intel 815Eチップセットを採用した新機種は、ビジネス向けとコンシューマ向けの両方とも、すでに各PCベンダから発売されており、今後も製品数は増えていくだろう。今回は、ビジネス向けPCの新機種から2機種を選んで評価してみた。1つはエプソンダイレクトのEndeavor MT-4000、もう1つはコンパックコンピュータのDeskpro ENである。前者はどちらかといえばコストダウンと省スペース性を重視したPCであり、後者は管理機能など付加価値の豊富なPCといえる。こうした対照的な2台のPCを評価することで、今年後半の主流となるビジネス向けデスクトップPCの傾向を探り出してみよう。

エプソンダイレクト Endeavor MT-4000(左)とコンパックコンピュータ Deskpro EN(右)

Endeavor MT-4000は、BTO(Built To Order)方式で販売されており、プロセッサやメモリなどの仕様は、注文時に指定できる。Deskpro ENは、ベンダの独自性が強く打ち出されているPCだ。

 

関連記事(PC Insider内)
AMDが2次キャッシュをプロセッサ ダイに同梱したAthlonとエントリPC向けDuronを発表
関連リンク
チップセットの製品情報
Intel 815Eチップセットの出荷開始に関するリリース
Athlonの製品情報


 

  INDEX
[特集]最新のビジネス向けPCを解剖する
    1. エプソンダイレクト Endeavor MT-4000 (1)
    2. エプソンダイレクト Endeavor MT-4000 (2)
    3. コンパックコンピュータ Deskpro EN (1)
    4. コンパックコンピュータ Deskpro EN (2)
    5. ビジネス向け最新デスクトップPCの傾向

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