特集

ブロードバンド・ルータ徹底攻略ガイド
― 基礎技術から実運用のノウハウまで。ルータのスペックを100%読みこなす ―

デジタルアドバンテージ 島田広道
2001/06/28


 CATVインターネットやADSL、無線アクセス、そしてFTTH(Fiber To The Home)と、さまざまなブロードバンド・インターネット接続環境が普及しつつある。と同時に、急速に製品数が増えているネットワーク機器がある。それが、LANとこれらブロードバンド・インターネット接続サービスとを接続するための機器「ブロードバンド・ルータ」だ。この機器の概要については、まずは「ネットワークデバイス教科書:第1回 広帯域インターネット接続を便利に使う『ブロードバンド・ルータ』」を参照していただきたい。

 PCショップに限らず、家電量販店でも、すでに1万〜2万円台と廉価なブロードバンド・ルータが数多く販売されている。家庭やSOHOにおいて、複数のPCでADSLなどのインターネット接続を共有する場合、ブロードバンド・ルータの導入が最も容易である。実際に導入を検討している方も多いことだろう。

 しかし、一概にブロードバンド・ルータと言っても、その種類は多岐に渡っており、各製品ごとの仕様も大きく異なっているのが実情だ。実装されている機能も多いことから、何を基準に選択すればいいのか分かりにくい。

 そこで本稿では、1万〜2万円台と廉価で、入手も容易な市販のブロードバンド・ルータを対象に、どのような機能が装備されており、またそれらがどのような場面で役立つのか、どのような設定が必要になるのか、といったことを明らかにしていく。ブロードバンド・ルータを選ぶうえで必須となる機能が、はたして現行の製品で標準的なものなのか(標準価格帯の製品でも持っている機能なのか)、それとも特殊な機能なのか(多少の価格増を覚悟すべきか)、といったことも理解できると思う。

メルコ製ブロードバンド・ルータ「BLR-TX4」
4ポートの10/100BASE-Tスイッチング・ハブを搭載したベーシックな製品だ(メルコは、どちらかといえば無線LAN搭載のAirStationシリーズで知られている)。ファームウェアは原稿執筆時点で最新のVer.1.13で評価した。

試用したブロードバンド・ルータについて

 実際の製品の例として取り上げたのは、メルコ製ブロードバンド・ルータ「BLR-TX4」である(右の写真)。この製品に代表される2001年6月時点での1万〜2万円台のブロードバンド・ルータは、IPルータに10/100BASE-Tイーサネット・ハブを統合しただけの製品が多い。

 最近のブロードバンド・ルータでは、無線LANのアクセス・ポイントを統合したり、ISDNやアナログ・モデムとの接続機能を加えたりと、さまざまな機能を詰め込んだいわば複合型タイプが増えている。その価格は3万円を超えるものが主流である。しかし各機能を別々に購入するよりは安価で済む。ただしこうした複合製品は、複数の機能を1つの製品としてまとめただけで、たとえばルータの機能に注目すれば、単機能製品と違いはない。本稿では、こうした複合型製品を直接は扱わないが、複合型製品が持つブロードバンド・ルータの基本機能をチェックするのにも役立つはずだ。

BLR-TX4のファームウェアについて
 ファームウェアのバージョンがVer.1.13以外のBLR-TX4では、本稿に記した内容と異なる動作をすることがあるのでご注意いただきたい。なお、BLR-TX4には、大幅な機能追加と改良が施されたVer.1.20ベータ1のファームウェアが2001年9月10日付けで公開されている(BLR-TX4のファームウェア・ダウンロード・ページ)。

ブロードバンド・ルータの基本機能

 ブロードバンド・ルータの基本的な機能を分類すると、以下のようになる。

機能 概要
LAN側ノードのIPアドレス管理 LAN側PC(社内/家庭内のPC)に対するIPアドレスの自動配布など(DHCPサーバ機能) → 解説ページへ
WAN側IPアドレスの管理 ルータのWAN側インターフェイス(ADSLやCATVインターネット接続側のインターフェイス)に割り当てられるIPアドレスの取得など(DHCPクライアント機能) → 解説ページへ
IPアドレス/ポート変換機能 LAN/WANそれぞれで使われているIPアドレスの相互変換により、WAN側にIPアドレスが1つしかない場合でも、複数のLAN側ノードから同時にWANと通信できるようにする機能(NAT/IPマスカレード機能) → 解説ページへ
セキュリティ対策 WAN(インターネット)側からLAN側ノードへの攻撃を防御したり、LAN側ノードからインターネットへのアクセスを制限したりする機能(ファイアウォール機能) → 解説ページへ
そのほかの機能 ファームウェアのアップデート機能やログの保存機能など → 解説ページへ

 このほかにも、複数のLAN間のルーティングなど重要な機能があるが、ブロードバンドのインターネット接続サービスを利用するという点で、ブロードバンド・ルータの機能を分類すると、上記の4つが最も重要な機能である。

ベンダ名 製品名 特徴 実勢価格
NETGEAR RT314 4ポート・ハブ内蔵 1万6600円
NTT-ME BA512*1 LAN側ポートは1ポート 1万4400円
NTT東日本NTT西日本 Web Caster AR220 4ポート・ハブ内蔵 1万9800円
OCC SAR-7103P HomePNA 1.1対応
OCC SAR-7104 4ポート・ハブ内蔵 1万5800円
アクトンテクノロジィ SMC7004BR 4ポート・ハブ/プリンタ・サーバ内蔵 1万5500円
アクトンテクノロジィ SMC7008BR 8ポート・ハブ/プリンタ・サーバ内蔵 1万9700円
アライドテレシス CentreCOM AR220E 4ポート・ハブ内蔵 1万6700円
エレコム BroadStar LD-BBR4 4ポート・ハブ内蔵 1万5300円
コレガ BAR SW-4P 4ポート・ハブ内蔵 1万4600円
センチュリー・システムズ CR-110 LAN側ポートは1ポート 1万6300円
センチュリー・システムズ CR-110/HUB 4ポート・ハブ内蔵 1万9800円
プラネックスコミュニケーションズ BRL-01N LAN側ポートは1ポート、従来機種より高速化 1万5900円
プラネックスコミュニケーションズ BRL-04 4ポート・ハブ内蔵 1万6800円
プラネックスコミュニケーションズ BRL-04F 4ポート・ハブ内蔵、従来機種より高速化 2万2300円
プラネックスコミュニケーションズ BRL-07P 8ポート・ハブ/プリンタ・サーバ内蔵 2万4800円
マイクロ総合研究所 NetGenesis CAT 4ポート・ハブ内蔵 2万1600円
マイクロ総合研究所 NetGenesis OPT 4ポート・ハブ内蔵、従来機種より高速化 2万6500円
メルコ BLR-TX4 4ポート・ハブ内蔵 1万4400円
リンクシス・ジャパン BEFSR11 LAN側ポートは1ポート 1万5000円
リンクシス・ジャパン BEFSR41 4ポート・ハブ内蔵 1万9000円
リンクシス・ジャパン BEFSR81 8ポート・ハブ内蔵 2万4100円
ルートテクノロジー CAS2040 4ポート・ハブ内蔵 1万5500円
市販されている廉価なブロードバンド・ルータ
実売価格で1万〜2万円台の製品をリストアップした。表示価格は2001年6月下旬に調査したもの。また内蔵ハブのポート数はUplinkポートを含む。
*1 2001年7月に新製品のBA5000 SOHOとBA512Rが登場予定(新製品のニュースリリース

  関連記事(PC Insider内) 
ネットワーク・デバイス教科書:第1回 広帯域インターネット接続を便利に使う「ブロードバンド・ルータ」
ネットワーク・デバイス教科書:第12回 ブロードバンド・ルータの基本設定
新世代ブロードバンド・ルータの性能を検証する
ビギナー管理者のためのブロードバンド・ルータ・セキュリティ講座
ウイルスを遮断できるブロードバンド・ルータ「GateLock X200」

  関連リンク 
「BA5000 SOHO」 および「BA512R」の販売開始に関するニュースリリース
メルコ製BLR-TX4の動作実績情報
ゼロ円でできるブロードバンド・ルータ 2
 1FD Linuxで作る高機能ルータ [インストール編]
ゼロ円でできるブロードバンド・ルータ 2
 1FD Linuxで作る高機能ルータ [設定・運用編]
 
  更新履歴
【2001/09/13】 本稿で試用したBLR-TX4について、ファームウェアによる挙動の違いや最新ファームウェアに関する記述を追加しました。
 
 
 

 INDEX
[特集]ブロードバンド・ルータ徹底攻略ガイド
    1.LAN側ノードのIPアドレス管理
    2.WAN側IPアドレスの管理
    3.IPアドレス/ポート変換機能−IPマスカレード/NAT−
    4.IPアドレス/ポート変換機能−ポート・フォワーディングとDMZ−
    5.セキュリティ対策の機能
    6.そのほかの機能について
 
「PC Insiderの特集」

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