DVD+RWの可能性(後編)

4.対応ベンダの動向が業界標準を決める

デジタルアドバンテージ
2001/12/15

 ここまでで、書き換え型DVD規格の中で業界標準となるための条件である、

  1. データの書き込みなどの使い勝手
  2. 既存DVD-ROMドライブとの互換性

についてDVD+RWを検証してきた。使い勝手では、ライティング・ソフトウェアの出来が大きく左右し、現状のDVD+RWに関しては若干の問題が残っていることが分かった(この点は、ほかの書き換え型DVD規格でも多かれ少なかれ同様なのだが)。また、既存のDVD-ROMドライブとの互換性については、ほぼDVD-RWと同様であるという印象を受けた。「DVD+RWは、既存のDVD-ROMとの互換性が高い」というDVD+RW Allianceの説明の割には、残念ながらそれほど互換性が高いものではなかった。つまり、DVD+RWは前評判と異なり、ここまでのところ業界標準となるための絶対的な優位性はなく、各規格が横並びの状況にあることが分かった。

DVDビデオ・レコーディング機能のサポートは?

 次に検証が必要なのは、「3.DVDビデオ・フォーマットでの使い勝手」ということになる。DVDビデオの記録が、書き換え型DVD規格のキラー・アプリケーションの1つであることは間違いない。家電製品の不振が続く中、民生用のDVDビデオ・レコーダーは爆発的なヒット商品とまではいかないまでも、各社とも増産体制にあり、堅調に推移しているようだ。このことからも、DVDビデオの書き込みに対するユーザーの期待がうかがえる。DVDビデオ・レコーディング機能の使い勝手によっては、その書き換え型DVD規格が一気に業界標準として認知される可能性もある。

 では、DVD+RWのDVDビデオ・レコーディング機能はどうなのだろうか。DVD+RWのDVDビデオ・レコーディング機能における最大の特徴は、「DVDビデオの追記機能」をサポートしていることにあった。しかし、MP5120Aが標準添付しているDVDビデオ・オーサリング・ソフトウェアのMyDVDは追記をサポートしておらず、現状では「DVDビデオの追記機能」はサポートされていない。MyDVDは、将来のアップデートによってDVDビデオの追記機能をサポートする予定であるが、時期は明確に示されていない。現在のバージョンのMyDVDに関しては、ほかのオーサリング・ソフトウェアと遜色がないものの、残念ながらDVD+RWのメリットを活かしているとはいえない。その点においてDVD+RWのDVDビデオ・レコーディング機能は、DVD-RWと同程度の機能しかないと言わざるを得ないだろう。DVDビデオの追記が可能なDVD-RAMの使い勝手と比べると、大きく劣っていることになる。

 また、DVD+RWの民生用DVDビデオ・プレイヤーとの互換性においても、DVD-ROMドライブの場合と同様、現在のところ実際に試してみるしかない。リコーはホームページで再生互換が確認されたDVDビデオ・プレイヤーのリストを公開しているが、これにしてもDVDビデオ・プレイヤー側が再生を保証したものではない(リコーの「DVDビデオ・プレイヤーの再生互換リスト」)。この点、松下電器産業がDVD-RAM、パイオニアがDVD-RWというそれぞれのメディアの再生を保証するDVDビデオ・プレイヤーをラインナップしているのとは、大きく状況が異なる(松下電器産業の「DVD-RAM対応DVDビデオ・プレイヤー」、パイオニアの「DVD-RW対応DVDビデオ・プレイヤー」)。

 現在のところ、最も既存のDVDビデオ・プレイヤーとの互換性が高いのはDVD-Rである(DVD-Rで記録したDVDビデオならば、PlayStation 2でも再生可能)。DVD-RAMに比べて、DVD-RWとDVD+RWの方が再生可能なDVDビデオ・プレイヤーの数は多いものの、どちらも50機種程度であり、現行の全機種数からすると非常に限定的だ。DVD-R以外で書き込みを行ったメディアをDVDビデオ・プレイヤーで再生したいのであれば、再生互換が保証されたDVDビデオ・プレイヤーを購入しなければならない。その点、前述のように確実に互換性を保証したDVDビデオ・プレイヤーをラインナップするDVD-RAMとDVD-RWに比べ、DVD+RWの信頼性は一段落ちてしまう(リコーが確認しているDVDビデオ・プレイヤーの数は、パイオニアが発表しているDVD-RWのものと遜色はないのだが)。

 以上のことから、DVDビデオ・レコーディング機能に限定した場合、現状のDVD+RWは「DVDビデオの追記機能」がサポートされていないことから、DVD-RAMとDVD-RWに対する絶対的に優位なポイントがないことが分かる。

対応ベンダが限られるDVD+RW

 続いて最後の項目「4.採用ベンダの動向」について検証していこう。前述のようにDVD+RWは、DVD+RW Allianceによって規格化が行われている。DVD+RW Allianceの主なメンバーは、Philips、リコー、ヤマハ、ソニー、Hewlett-Packard、Dell Computerなどで、DVD規格の本家「DVD Forum」のメンバーに比べ、業界全体から広く支持を集めているとは言い難い状態にある。このうちDVD+RWドライブを開発・製造しているのは、いまのところリコー 1社しかない(実際の製造はリコーと光ドライブ関連で提携している船井電機である)。米国では、Hewlett-Packard(HP)とSony Corporation of Americaの2社がDVD+RWドライブを販売しているが、どちらもリコーのOEM製品となっている。なお日本国内では、リコーのほか、アイ・オー・データ機器とロジテックリコー製のDVD+RWドライブの販売を行っている。

DVD+RWのメディア
現在、DVD+RWのメディアはリコーと三菱化学の2社から販売されている。価格はデータ用で1000円前後、ビデオ用で1200円前後であり、ほぼDVD-Rメディア並みを実現している。ちなみに、DVD-RAM Type II(4.7Gbytesカートリッジ入り)とDVD-RWのメディアは1500円前後となっている(DVD-RAMの4.7Gbytesカートリッジなしならば、1000円前後のメディアもあるようだ)。

 このドライブのPCへの採用は順調に進んでおり、エプソンダイレクトがPentium 4搭載PC「Pro-100」のBTO(48倍速CD-ROMドライブとの差額が4万1000円)で選択可能としているのを始め、デルコンピュータがワークステーション「Precision WorkStation 530」にオプション設定(4万円)している(Dell Computerも米国でDVD+RWドライブをオプション設定している)。HPは、家庭向けPC「hp pavilion」でDVD+RWドライブを搭載することを表明していることから、近々、搭載モデルの発表がありそうだ。このように、Dell ComputerとHPという、大手PCベンダがDVD+RWドライブを支持している点は、DVD+RWにとって明るい材料である。

 一方、民生用DVDビデオ・レコーダーについては、どうも日本国内においては望みが薄そうだ。大手家電メーカーでもあるソニーは、日本国内においてはDVD-RW採用のDVDビデオ・レコーダーを支持している。DVD+RW Allianceのメンバーであるヤマハも対応を明らかにしていない。ヨーロッパでは、PhilipsがDVD+RW対応のDVDビデオ・レコーダーの販売を予定しているが、これも日本市場への投入については未定である。

 このようにDVD+RWドライブ、DVD+RW採用DVDビデオ・レコーダーを開発・製造するベンダが少ないことは懸念材料として挙げられるだろう。現在のようにDVD+RWドライブを開発・製造するのがリコー1社だけの状態が続くようだと、供給面の不安からメインストリームのPCに標準搭載することは難しい。もし、リコーのDVD+RWドライブに製造などのトラブルが発生した場合、代替ができないからだ。また、現在のところ1機種しかないため、規格上の問題点も現れにくく、ライティング・ソフトウェアの機能が安定しない要因の1つになっている可能性も高い。DVD+RWが業界標準となるためには、採用ベンダを増やすことはもちろんのこと、より積極的に開発・製造を行うベンダが必要だ。この点に関しては、まずソニーを含むDVD+RW Allianceに名前を連ねるベンダの積極的な展開に期待したい。

  関連リンク 
DVDビデオ・プレイヤーの再生互換リスト
ビデオモードディスク再生互換機種リスト
DVD-RAM対応DVDビデオ・プレイヤー
DVD-RW対応DVDビデオ・プレイヤー
DVD+RW AllianceについてENGLISH
 

 INDEX
  [特集]DVD+RWの可能性
    1. そもそもDVD+RW規格とは
    2. DVD+RWの使い勝手を検証する
    3. 書き込み速度と互換性の検証
  4. 対応ベンダの動向が業界標準を決める
    5. 将来性が未知のDVD+RW
 
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