DVD+RWの可能性(後編)

5.将来性が未知のDVD+RW

デジタルアドバンテージ
2001/12/15

 ここまでDVD+RWが業界標準になり得るかどうかを、4つの項目に分けて見てきた。ここからは、書き換え型DVD規格のメリット/デメリットを整理しながら、どの規格に合致した製品を購入するのがいいのかを現在と将来に分けて検討していくことにしよう。

現時点では使い勝手が最もよいDVD-R/RAMドライブ

 まず、現時点の書き換え型DVD規格の中で使い勝手を考えた場合、既存のDVD-ROMドライブとの互換性を重視しなければ、DVD-RAMが最も使いやすいだろう。ファイル・システムがFAT32に限定されるとはいえ、DVD-RAMはWindows XPがネイティブでサポートしており、ライティング・ソフトウェアが不要である。Windows XPでDVD-RAMを使う分には、容量が4.7GbytesになったMOドライブ・ライクな使い勝手が得られる。すでに述べたように、現在のライティング・ソフトウェアは多かれ少なかれ何らかの問題を抱えており、CD-R/RW用のものと比べて決して使いやすいものではない。それを表すかのように、書き換え型DVD用のライティング・ソフトウェアのアップデートは頻繁に行われている。それでもなお、未だに解決されていない問題も残されている。DVD-RAMが、Windows XPならばライティング・ソフトウェアが不要で使いやすいというのは、後ろ向きな考えともいえるが、現状では仕方がないと言わざるを得ないのだ。

 次に配布メディアとして、既存のDVD-ROMドライブとの互換性を重視するのであれば、DVD-Rを選択するしかない(DVD-Rにしても、100%互換ではなく、古いドライブでの読み出しは行えない)。DVD-RWとDVD+RWは、DVD-RAMよりは読み出し可能なDVD-ROMドライブは多いというだけであり、配布メディアにするには互換性が足りない。この点からすれば、DVD-RのサポートもあるDVD-R/RAMドライブとDVD-R/RWドライブは、魅力的かもしれない。また徐々にではあるが、明確に対応を謳うDVD-ROMドライブが増えているDVD-RWも一考に価するだろう。DVD+RWは、現在のところ最も書き込み速度が高速である点がメリットとなる。

 DVDビデオ・レコーディング機能に関しては、互換性に問題はあるものの、使い勝手では追記・編集が可能なDVD-RAMに軍配が上がる。互換性を重視するのならば、ここでもDVD-Rを使うしかない。

 採用ベンダは、DVD-RWがコンパックとソニー、DVD-RAMが日立製作所と富士通のそれぞれが搭載PCをラインナップしており、どちらも先行しているとは言い難い。DVD+RWも、エプソンダイレクトとデルコンピュータの2社しかなく、すべての規格がこれからといえるだろう。ただ、現在販売されているDVD-RAMドライブに関しては、CD-R/RWの書き込みをサポートしておらず、PCに搭載するのにあまり向いていない(ユーザーがCD-Rのライティング機能を要求するため)。

 以上の評価をまとめたのが以下の表だ。

DVD-RAM DVD-RW DVD+RW
使い勝手
互換性
×
DVDビデオ
×
採用ベンダ
現在の各書き換え型DVD規格の評価
○、△、×の3段階で独断的に評価した結果。DVDビデオには、民生用DVDビデオ・レコーダーのサポートも含む。

 DVD-RAMの評価が若干高いものの、これはあくまで相対評価の結果であり、必ずしもベストとはいえない。CD-R/RWと比較すると、使い勝手の評価はかなり低くなる。現在のドライブ価格を考えてみても、内蔵型のDVD-R/RAMドライブが4万円程度、DVD-R/RWドライブとDVD+RWドライブが5万円前後(DVD-R/RWドライブの方が若干安いようだ)であり、一見DVD-R/RAMドライブが有利に思える。しかし、DVD-R/RAMドライブにはCD-R/RWのサポートがないことを考慮すると、それぞれのドライブ価格はほとんど差がない、といえる。ただどちらかといえば、現状の書き換え型DVD規格は「買いではない」というのが正直な感想だ。もちろん、これはあくまでも「現在」の評価である。CD-RWが登場したときも、既存のCD-ROMドライブで読み出せないという問題があり、当時は使い物にならないという評価が多かった。それが、いまではごく普通のCD-ROMドライブでも読み出しが可能であり、もはや標準的なストレージ・メディアの1つになっている。こうした事実を考えると、将来性についても考慮する必要があるだろう。

将来的な互換性に懸念が残るDVD+RW

 現在のDVD+RWの評価で最も大きな問題点は、ライティング・ソフトウェアの不備にあった。これが近い将来改善されるのであれば、使い勝手は向上し、状況は大きく変わる。規格とハードウェアに関しては、後発なだけあり、DVD-RAMとDVD-RWの問題点を解消しているからだ。しかし、一方で互換性問題はより深刻になる可能性が高い。DVD+RWは、「DVD」という名前がついているものの、DVDの規格化を行っているDVD Forumは承認していない。DVDのロゴ・ライセンス業務を行っているDVD FLLC(DVD Format/Logo Licensing Corporation)は、「DVD+RWに対応した製品に関してDVDロゴを発行しない」としており、DVD+RWサポートを明確に謳うDVD-ROMドライブについても、DVDロゴを発行しない可能性があることを示唆している。また、DVD Forumに参加するベンダは、DVD+RWの再生ができないDVD-ROMドライブをわざと作っても、DVDロゴ・ライセンス上は問題ないことも意味する。実際に一部のベンダは、DVD+RWをファームウェアによって認識し、読み出しが行えないようにしている、というウワサもあるくらいだ。もし、こうした話が本当ならば、DVD+RWの互換性は向上するどころか、大きく後退してしまう可能性さえある。このようなユーザー不在のイジワルをされないためには、早急なDVD+RWドライブの普及を図り、数の力によってねじ伏せるしかない。

 一方のDVD Forum陣営の正式規格であるDVD-RAMとDVD-RWにも動きがある。同じような2つの規格が存在し、それぞれに互換性がないことから、本家といえどもDVD-RAM、DVD-RWのどちらもなかなか市場に浸透しない。そこで、DVD Forumでは新たにDVD-R、RW、RAMのすべてに対応した「DVD Multi」を開発、2001年11月より、ライセンス提供を開始した。DVD Multiには、ROM版とリライタブル(書き換え型)版、プレイヤー版、レコーダー版の4種類があり、現状のDVD-ROM、DVD-R、DVD-RW、DVD-RAMを置き換える規格となっている。すでに、Hitachi-LG Data Storageと松下電器産業が書き換え型DVD Multiに対応したドライブの開発を表明しており、2002年前半に販売が開始されるという。どちらのドライブも、DVD MultiとCD-R/RWに対応しており、PCベンダが搭載しやすいものとなっている。

 DVD Multiの登場により、2002年後半には事実上、書き換え型DVD規格はDVD+RWとDVD Multiの2つに集約されることになる(DVD-R/RWやDVD-R/RAMも残るだろうが)。このどちらが業界標準となるのかを予想するのは難しいが、出だしで若干のつまずきを見せてしまったDVD+RWは難しい局面に入るといえるだろう。優れた技術だからといって業界標準になれるとは限らないことは、歴史が証明している。最終的には、採用ベンダとユーザーの数、それを背景とした政治力によって決まることになるだろう。DVD+RWが標準となるには、まずDVD+RW Allianceに参加する企業の足並みを揃え、民生用DVDビデオ・プレイヤーやリコー製以外のDVD+RWドライブの早期投入が必要だろう。すでに、次世代DVD規格を標準化する動きもあり、のんびりとはしていられない。次世代DVD規格で有利な立場を確保するためにも、現行の書き換え型DVD規格の標準を勝ち取らなければならないからだ。

 一方、ユーザーとしては、現行の「中途半端」な書き換え型DVD規格はよほど切羽詰った理由がない限りスキップするのが懸命なのかもしれない。ハードディスクが高容量化し、160Gbytesディスクが販売される現在、ディスク1枚で4.7Gbytes(両面なら9.4Gbytes)しか保存できない規格は、バックアップ用途としてはそもそも使いやすいものではない。DVDビデオの記録にしても、DVDの高画質を活かした標準モード(ビット・レート:9Mbits/s)では1時間しか記録できず、2時間のスペシャル番組などはディスクの交換が必要になってしまうからだ。このことから現行の書き換え型DVD規格は、CD-R/RWに収まりきらない700Mbytesを超えるようなデータのやり取りでしか有効なものとならない可能性が高い。記事の終わり

  関連リンク 
DVD Forumのメンバー・リスト ENGLISH
DVD Multiのライセンス開始とDVD+RWに対するメッセージ ENGLISH
DVD Multi Ver.1.0の規格書 ENGLISH PDF
 

 INDEX
  [特集]DVD+RWの可能性
    1. そもそもDVD+RW規格とは
    2. DVD+RWの使い勝手を検証する
    3. 書き込み速度と互換性の検証
    4. 対応ベンダの動向が業界標準を決める
  5. 将来性が未知のDVD+RW
 
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