特集
高密度サーバはどこに向かうのか?

1. 高密度化、低消費電力化、高性能・高機能化へ

デジタルアドバンテージ
2002/04/16


 さて、フロントエンド・サーバがどのような役割のものかを理解したところで、本題の高密度サーバの動向について解説していくことにしよう。高密度サーバの動向を表すキーワードとして、高密度化、低消費電力化、高性能・高機能化の3つが挙げられる。それぞれについて見ていこう。

1Uからブレードへの高密度化

 2000年前半から各サーバ・ベンダが投入し始めた1Uサーバは、現在、各社とも第2世代に入りつつある。それを示すように、コンパックが2002年2月に発表した1Uサーバ「ProLiant DL360 Generation2」は、機種名に「第2世代」が含まれているという具合だ(コンパックの「ProLiant DL360 Generation2に関するニュースリリース」)。このように、各社ともプロセッサ性能を向上させた1Uサーバの投入を行っている(第2世代の1Uサーバについては、次ページでデルコンピュータのPowerEdge 1650を取り上げ、「プロダクト・レビュー:スケーラビリティの高い1Uサーバ『PowerEdge 1550』」で紹介した第1世代のPowerEdge 1550と比較していく)。

 さらに1Uよりも高密度の実装が可能なブレード・サーバも、複数のベンダから発表が行われており、今後とも増えていくものと思われる。2002年はブレード・サーバが本格化する年になるかもしれない。ブレード・サーバを簡単に紹介すると、3Uサイズのエンクロージャ(Enclosure)と呼ばれるケースに、プロセッサやハードディスクなどを細長いマザーボード上に実装した「ブレード」を何枚も差していくというものだ(ブレードつまりbladeは「刀身」「平たい部分」といった意味)。エンクロージャには、電源ユニットや冷却ファンなどが搭載されており、ブレードに対してバックプレーンを通して電源やI/Oの提供を行うようになっている。ブレード・サーバは、登場したばかりということもあり、エンクロージャとブレード間のインターフェイスや、バックプレーンなどの仕様は標準化されていない。そのため、異なるメーカーのエンクロージャとブレードを組み合わせることや、異なるベンダのブレードを組み合わせて単一のエンクロージャに搭載するようなことは、現時点ではできない。ブレード・サーバは、2001年後半より各サーバ・ベンダがラインナップに加えはじめている。バックプレーンなどの仕様を標準化する動きがあるが、当面はベンダ独自の規格が主流となるだろう。

コンパックの「ProLiant BL10e」(左)と日本電気の「Express5800/BladeServer」(右)
ProLiant BL10eは基板上にサーバを構成する部品をすべて搭載しているが、Express5800/BladeServerはハードディスクを専用スロット上に搭載するなど、ブレード・サーバとはいえ構造は大きく異なっている。

 なお、ブレード・サーバとラックマウント・サーバの中間ともいえる「ブリック・サーバ」と呼ばれる規格も検討されている。Dell Computerは、2002年内にもブリック・サーバ製品を投入する計画であるという。ブリック・サーバは、プロセッサやストレージ、I/Oをそれぞれブロック化し、それをケース内で組み合わせることで、サーバを構成しようというものだ。ブレード・サーバが基板上に1台のサーバを形成するのに対し、ブリック・サーバではユニットの組み合わせによってサーバを構成する点が異なっている。ブレード・サーバとブリック・サーバは用途によって使い分けられると思うが、高密度化の流れがブレード・サーバだけでない点は注目すべきだろう。

ノートPC向けプロセッサの採用による低消費電力化

 サーバの高密度化で問題になっているのが、発熱である。狭いエリアにプロセッサやハードディスク、電源ユニットなどの発熱源が集中するうえ、部品が高密度に実装されているため冷却用の空気の通りも悪い。そのため、発熱を抑えないと、熱暴走を起こすという問題が生じる。新興のサーバ・ベンダであるRLX Technologiesが2001年にブレード・サーバのコンセプトを発表したとき、消費電力の少ないTransmetaのCrusoeプロセッサを採用するとしたのも、この発熱の問題からだ。最近では、Intelも高密度サーバに対応したサーバ向けの低消費電力版Pentium IIIをラインアップし始めており、CrusoeだけでなくPentium IIIを採用したブレード・サーバも登場し始めている。

 低消費電力のもう1つのトピックは、サーバのDC(直流)電源対応だ。これは高密度サーバに限ったことではないが、特に高密度サーバは導入台数が多くなる傾向にあることから、電源のDC化に注目が集まっている。多くのデータセンターでは、無停電電源装置(UPS)をセンター全体で導入しており、ここでAC(交流)からDCへの変換を行いバッテリに蓄電しながらサーバに電力を供給している。停電などが発生した場合、バッテリからACに変換してサーバへ電力を供給することになる。つまり、現状ではAC→DC→ACと変換され、さらにサーバ内でACからDCへの変換が行われるという無駄が行われているわけだ。そこで、サーバ自体をDC電源対応にすれば、無停電電源装置でACからDCへ変換し、そのままサーバに供給することで、サーバ内ではDC→DC変換(電圧の変換)だけで済むようになる。こうすることによって、ACとDC間の変換回数が減り、変換で生じる電力ロスや発熱を低減できる。さらにサーバ内でのAC→DC変換による発熱を抑制するという効果がある。特に電気通信事業者では、通信装置用電源として-48/60VのDC電源が採用されていることから、DC電源に対応したサーバが望まれる傾向にあるようだ。

高性能・高機能化

 高密度サーバは、前述のようにフロントエンド・サーバとして利用されることを前提に開発が行われているため、性能や機能よりも低消費電力や価格面が重視される傾向にあった。しかし、フロントエンド・サーバであっても、暗号化の需要やデータ容量の大きなWebページの増加によって、高い性能が求められるようになってきている。

 そこで高密度サーバのおいても、高密度化と低消費電力化とのバランスを取りながら、プロセッサの高クロック化やデュアルプロセッサへの対応によって性能の向上が図られてきている。このように消費電力と性能のバランスが重要なのは、デスクトップPCや通常のサーバよりも、むしろノートPCの特性に近い。実際、Intelのロードマップによれば、高密度サーバに対してはPentium IIIから、開発コード名「Banias(バニアス)」で呼ばれるノートPC向けとして開発が進められているプロセッサに移行するという(サーバ向けに機能が強化されると思われる)。プロセッサについては、クライアントPCがデスクトップPC向けとノートPC向けで製品ラインナップが分かれたように、サーバにおいても高密度サーバ向けとそうでない通常のサーバ向けでは、異なる製品が提供されることになりそうだ。

 ハードディスクに注目すると、容量が向上するとともに、エントリ・サーバでは低価格化を実現するためIDEハードディスクが積極的に使われ始めている。また、1UサーバでもRAIDコントローラをオンボードでサポートする傾向が見られる。ブレード・サーバでは、コンパックのProLiant BL10eが2.5インチIDEハードディスクを1台、日本電気のExpress5800/BladeServerが3.5インチIDEハードディスクを2台搭載可能だ(Express5800/BladeServerはブレード上ではなく、同じエンクロージャ内に搭載する)。同じブレード・サーバとはいえ、ProLiant BL10eとExpress5800/BladeServerではコンセプトが大きく異なっていることが分かる。ProLiant BL10eが必要最低限の機能を実装する代わりに多くのサーバが実装できるように工夫している一方、Express5800/BladeServerは1Uサーバと同様の機能をブレード形状に押し込めるという方向性だ。将来的にどのような形に収束するか分からないが、1Uサーバの方向性を見ても、サイズを維持した状態で高機能に向かうものと予想する。ブレード・サーバにおいても、ProLiant BL10eのような薄型の形状を維持しながら、2.5インチや1.8インチのハードディスクを採用することで、2台もしくは3台のハードディスクを搭載可能にしていくのではないだろうか。

 さらに高機能化という点では、1Uサーバでも電源ユニットの二重化を可能にしていたり、ギガビット・イーサネットを標準装備していたりと、これまでの2U/3Uサイズのサーバと同等の機能を持つようになってきたことを挙げておきたい。

高密度サーバはデータセンター向けか?

 高密度サーバは、データセンターのフロントエンド・サーバ向けに製品化されてきたが、一般的な企業内サーバにおいても上述の消費電力や省スペースの面では魅力がある。特に、第2世代に入り、高性能・高機能が実現しつつある1Uサーバは、企業内のエントリ・サーバ(部署サーバ)としても十分に利用可能な実力を持っている。そこで、小型のラックを利用して、エントリ・サーバとして1Uサーバを利用する動きも出始めているようだ。しかし、サーバ・ベンダの多くがデータセンターなどの環境で利用されることを前提として開発しているため、稼働音についてはほとんど配慮されていないことに注意したい。

 では、次ページからは、具体的に第2世代の1Uサーバ「PowerEdge 1650」を例に取りながら、第1世代との違いや1Uサーバの特徴を見ていくことにしよう。そこから、高密度サーバの方向性を探っていく。

  関連記事 
スケーラビリティの高い1Uサーバ「PowerEdge 1550」

  関連リンク 
Express5800/BladeServerの製品情報ページ
Compaq ProLiant DL360シリーズに関するニュースリリース
 

 INDEX
  [特集]高密度サーバはどこに向かうのか?
  1.高密度化、低消費電力化、高性能・高機能化へ
    2.第2世代の1Uサーバ「PowerEdge 1650」
    3.高機能化する高密度サーバ
 
「PC Insiderの特集」

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