特集

高密度サーバはどこに向かうのか?

デジタルアドバンテージ
2002/04/16


 厚さ約4.4cmという薄型の1Uサイズのラックマウント・サーバが大手サーバ・ベンダから出荷が始まったのは、2000年の初頭のこと。ラックマウント型として主流であった3Uや4Uサイズが2Uサイズになり、そして1Uサイズとなり始めたのは、データセンターなどで多くのサーバを狭いスペースに格納したいという要求があったからだ。こうした要求はさらに強まり、現在では3Uサイズに20台ものサーバが格納できる「ブレード・サーバ」といったものまで登場してきている。ここでは、こうした高密度サーバの現状と動向を探るとともに、第2世代に入ってきた1Uサーバの特徴を見ていくことにする。

高密度サーバ登場の背景

 高密度サーバの現状を探る前に、なぜこうした薄型のラックマウント・サーバが登場してきたのか背景を説明しておこう。

 インターネットの普及によって、電子メールやWebページのホスティング・サービスに対する需要が大きく伸びたのはご存じのとおりだ。そのため、ISPなどのデータセンターでは大量のサーバが必要となった。また、企業においても、インターネット/イントラネットを使ったサービスを行うために、企業内のデータセンターでもサーバの需要が増している。一方、データセンターはセキュリティや災害対策などの強化を行っており、一般的なオフィスなどよりも単位面積あたりのコストが高い。それゆえ、狭い面積に大量のサーバが置けることが、大きなコスト・ダウンにつながる。そのため、サーバ・ラックに大量のサーバが搭載可能な1Uサイズといったサーバが登場することになったわけだ。

サーバの3階層モデルを理解しよう

 このようにサーバの高密度化が求められるようになってきた理由を理解するには、最近主流になっている「サーバの3階層モデル」を知る必要がある。インターネット証券やインターネット通販といったインターネットを利用したBtoCサービスを提供するためのシステムでは、3階層(3ティア)モデルと呼ばれる複数のサーバを階層的に接続する構成を採用することが多い。ユーザーからのアクセスはファイアウォールなどを経由して、まずロードバランサによって複数のフロントエンド・サーバ(「エッジ・サーバ」とも呼ばれる)に振り分けられる。次にフロントエンド・サーバでは、その後ろにあるアプリケーション・サーバを使ってユーザー認証を行ったり、さらにその後ろにあるデータベース・サーバから顧客リストや在庫リストなどを取得してWebページを動的に作成したりする。一番後ろにあるデータベース・サーバでは、ユーザー管理や在庫管理などを行うことになる。このように用途によって、階層的にサーバを分けることによって、効率的な処理が行えるようになるという。

サーバの3階層モデル
高密度サーバは、主にフロントエンド・サーバ用途として考えられているが、性能が向上することでアプリケーション・サーバとしての利用も増えてくるものと思われる。

求められるサーバの要件

 このような階層的なシステムを構築するのは、それぞれの階層において求められるサーバの要件が異なっているからだ。通常、サーバの性能を向上させるためには、2つの方向性がある。1つは、プロセッサなどの性能を向上させてサーバ単体の性能を上げること(「スケール・アップ」という)、もう1つは並列に台数を増やすこと(「スケール・アウト」という)だ。各階層によって、スケール・アップとスケール・アウトのどちらが効率的なのかが変わってくる。

 フロントエンド・サーバの性能を向上させる場合、スケール・アップとスケール・アウトのどちらでも対応できる。ここでスーパーマーケットのレジをイメージすると分かりやすいだろう。客がレジで待たされることが多くなった場合、レジ係をより手馴れた人に変えたり、2人体制にして各レジの処理を向上させたりすることがある(サーバ単体の性能向上)。一方で、レジを追加して開けることで、レジの数を増やすこと(サーバの数を増やす)も一般的な方法だ。どちらにしても、レジ待ちは解消できるだろう。だがレジを手馴れた人に変えるような方式では、レジが故障したり、顧客が何らかのトラブル(料金が足りないなど)を発生させたりすると、そのレジの処理は止まってしまい、全体的には大幅に処理が滞ってしまうことになる。一方、レジを増やした場合、1つのレジは処理が止まってしまっても、ほかのレジは処理が続けられるため、(台数にもよるが)処理速度は大きくは下がらない。このことは、フロントエンド・サーバでも同様であり、相互に関連性がなく並列的な処理が可能な場合、スケール・アップよりもスケール・アウトの方が望ましいことが分かる。

代表的な1Uラックマウント・サーバ
デルコンピュータのPowerEdge 1650(左)とコンパックのProLiant DL360 Generation2。第2世代の1Uサーバとして、どちらも2002年2月に発表された。

 また、スケール・アップを行うにはサーバ自体の置き換えが発生するなど限度があるが、スケール・アウトの場合は必要に応じて台数を増やせばよいので、柔軟な対応が行えるというメリットもある。例えばテレビ広告などによってWebサーバへのアクセス数が急激に増えた場合、スケール・アップの場合はサーバ自体をより性能の高いものに置き換えるという大きな手間が必要になるが、スケール・アウトならば新しいサーバをセットアップして追加するという比較的容易な方法で対処できる。このようにフロントエンド・サーバでは、柔軟性の高いスケール・アウトが選択される傾向にある。これが、1Uやブレード・サーバといった高密度サーバに対する需要の源になっている。

 ちなみにミッドティアのアプリケーション・サーバでは、動作させるアプリケーションによってスケール・アップとスケール・アウトが選ばれる。1台で複数のアプリケーションを実行しているような場合は、アプリケーションごとにサーバを分けるなどスケール・アウトが行われるが、分散が難しいアプリケーションではスケール・アップが選択される。バックエンドのデータベース・サーバの場合、データの整合性を維持するため、1つのデータベースに対し1台で賄うことが多い。つまり、より処理能力が必要になった場合、スケール・アップを行うことになるわけだ。

 3階層のそれぞれでサーバに求められる要件をまとめてみると、フロントエンド・サーバでは単体の性能よりも本体サイズと価格、ミッドティア・サーバではある程度の性能とスケール・アップに対する柔軟性、バックエンド・サーバでは性能とスケール・アップへの対応力、といった点になるだろう。このことから、1Uやブレード・サーバといった高密度サーバがサーバ市場全体に対する動向ではなく、主にフロントエンド・サーバに対する要求を中心とした流れであることが分かるだろう。

  関連リンク 
PowerEdge 1650の製品情報ページ
ProLiant DL360 Generation2の製品情報ページ
 
 

 INDEX
[特集]高密度サーバはどこに向かうのか?
    1.高密度化、低消費電力化、高性能・高機能化へ
    2.第2世代の1Uサーバ「PowerEdge 1650」
    3.高機能化する高密度サーバ

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