ノートPCのディスク環境まるごとアップグレード

4.ハードディスクのセットアップ

澤谷琢磨
2001/07/14

 ハードディスク移行に必要なハードウェア/ソフトウェアがそろったところで、ハードディスクの取り付け/取り外しなど、実際のハードウェアに触れる作業に移ろう。ここでは、そうした作業のポイントを解説していく。

ハードディスクを取り外す際の注意点

 まずはノートPCから元のハードディスクを取り外さなければならない。取り外す手順はノートPCの構造によって異なるため、ここでは取り外し作業において注意すべき基本的なポイントを説明しよう。

 ノートPCの分解に入る前に、ファイル・システムのチェック(と必要なら修復)をしておこう。Windows 2000ならコマンド・プロンプトから「chkdsk /f」というコマンドを実行すればよい(実際のチェックと復旧作業は、次回の再起動時に行われる)。また、コピー作業中のトラブルやミスによるデータ損失に備えて、必要なデータだけでも別のメディアにバックアップしておきたい。Windows 2000の場合、システム修復ディスクも作成しておいた方がよいだろう。システム修復ディスクとは、ブートできなくなったWindows 2000環境を修復する際に必要となる情報を収めたフロッピーのことだ。作成するには、[プログラム]−[アクセサリ]−[システム ツール]−[バックアップ]を起動し、[システム修復ディスク]ボタンを押せばよい。こうしたソフトウェア側の作業を終えたら、スタンバイや休止状態(ハイバネーション)ではなく、きっちりとOSをシャットダウンしてノートPCの電源を切ろう。

 ハードディスクに限らず、メモリ・モジュールなどホットスワップ非対応のデバイスをノートPCから取り外す前には、必ずACアダプタはもとより内蔵バッテリも取り外して、ノートPC本体への電源供給を遮断しよう。それから、取り外すパーツが人体表面の静電気によって故障したりしないように注意する必要もある(詳細は「連載:PCメンテナンス&リペア・ガイド」の「第2回 PC本体にアクセスしてハードウェア構成を調べる 2. PCの内部を見てハードウェアを確認する」を参照していただきたい)。

 ハードディスクは静電気だけではなく衝撃にも弱いので、慎重に取り扱わなければならない。2.5インチ・サイズのハードディスクは、3.5インチ・ハードディスクと比べて自重が軽いため、耐衝撃性は3.5インチ・ハードディスクには優るものの、数十cmの高さから落としただけで設計限界を上回る衝撃が加わってしまい、壊れてしまう可能性が大きい。また、2.5インチ・ハードディスクのシールド材は薄く、ディスク本体の上面から強く押しつけると破損を招きかねないので、併せて注意したい。

 ノートPCによっては、以下の写真のように防護用カバーをハードディスクに取り付けていることがある。これは、後述の外付け増設キットにハードディスクを取り付ける際に邪魔になるので外しておく。このカバーは後で新しいハードディスクに組み付ける必要があるので、慎重に取り外すこと。

2.5インチ・ハードディスクを覆うカバー
こうしたカバーは、ハードディスクを着脱する際に回路基板を守ったり、あるいは放熱を促進したりするのに用いられる。ハードディスクを交換する際には、当然、このカバーも新しい方に移す必要がある。

外付け増設キットへのハードディスクの組み込み

 無事ノートPCからハードディスクを取り出したら、次は外付け増設キットへそのハードディスクを取り付けよう。ここではHardDisk Stationへの取り付け方を説明するが、それほど難しい作業ではない。

 HardDisk Stationに2.5インチ・ハードディスクを組み込む手順一覧
1. HardDisk Stationのケース分解 2. ハードディスクの取り付け
ハードディスクを組み込む際には、まずハードディスクを収納するケースからPCカードとの接続ケーブルを外し、ケースを止めている3本のネジを外して分解する。ケースそのものは、緑色の基板1枚と上下に分割されたケース・カバーから構成されている。 ノートPCから取り外した2.5インチ・ハードディスクを、HardDisk Stationの内蔵基板のコネクタ実装面に乗せ、水平にスライドさせてコネクタを接続する。ハードディスクと基板それぞれのコネクタのピンがずれたまま接続しないように、よく見て確認しよう。また、初めて取り付ける場合、基板側のコネクタが固くてなかなか入らないが、力んで無理な方向へ力をかけると、コネクタの破損の原因となるので注意したい。
3. ハードディスクのネジ止め 4. ケースの組み付け
ハードディスクを取り付けた状態で基板を裏返すと、ハードディスクを固定するためのネジ穴が、基板の両端に4つずつ設けられているのが見える。このうち、ハードディスク側のネジ穴と合う穴に、付属の4本の平ネジをねじ込んで、ハードディスクと基板を完全に固定する。 1で分解した上下ケース・カバーと、ハードディスクを取り付けた基板を組み合わせて閉じる。最後に、3本のネジを締めてカバーを固定すれば完成だ。

 HardDisk Stationへのハードディスクの取り付けが完了したら、最初に外しておいたPCカードの接続ケーブルをコネクタに取り付ける。これでノートPCへの接続準備はほぼ完了だ。なお、ノートPCによってはPCカード・スロットからの電力供給量が足りず、HardDisk Stationが正常に動作しない場合がある。そのときは、オプションのACアダプタを用意する必要がある(以下の写真)。

HardDisk Stationのコネクタ部
左側から、PCカード/USBインターフェイス接続用コネクタ、給電元の切り替えスイッチ、そしてACアダプタ接続コネクタが実装されている。PCカード・インターフェイスの場合、給電はPCカード側から行われるため、切り替えスイッチはPC側を選択する。ノートPCによっては、PCカードから必要なだけの電力を給電できない場合がある。この場合、切り替えスイッチをDC側に変更し、オプションのACアダプタを接続する。
  PCカード/USBインターフェイス接続用コネクタ
  給電元のACアダプタかUSBかの切り替えスイッチ
  ACアダプタ接続コネクタ

 こうしてケースに納めると、直接ハードディスク本体には力や静電気が加わらないので、保存にも好都合だ。ただし、ケース内に納めたといっても、中身は衝撃に弱いハードディスクであり、取り扱いは慎重に行いたい。

新しいハードディスクの取り付けと動作確認

 ハードウェアのセットアップの最後は、新しいハードディスクをノートPCへ取り付ける作業だ。基本的には、ハードディスクを取り外したのと逆の手順となる。特に注意すべきは、ハードディスクのコネクタをノートPC側(あるいは中間的なアダプタ)のコネクタに取り付ける際に、ピンをずらして装着したり、無理に押し込んでピンを曲げたりしないことだ。下の写真のように、2.5インチ・ハードディスクのコネクタのピンは非常に細い。何度も繰り返すようだが、ハードディスク本体には無理な力をかけてはならない。

2.5インチ・ハードディスクのコネクタ部分
信号や電源などが割り当てられた計47本のピンが2mm間隔で並んでいる。ピン自体が細いので、折り曲げたりしないよう注意したい。なお、右端の2×2ピンはマスタ/スレーブを設定するピンだが、通常は開放(マスタ設定)のままでよい。

 そのほか、元のハードディスクに防護用カバーが付いていた場合には、忘れずに新しいハードディスクに取り付ける。

 新しいハードディスクをノートPCに取り付けたら、ACアダプタや内蔵バッテリを元に戻し、電源を投入して動作を確認しよう。まず、BIOSが正しくハードディスクの容量を認識できているかを確かめてみる。ただし、デスクトップPCとは異なり、ノートPCのBIOSは、起動時にハードディスク容量などの各種ステータスを画面に表示しないものが多い。そのような場合はBIOSセットアップを起動して確認する。また、Windows 98以降で作成した起動フロッピーがあれば、FDISKコマンドを実行して、FDISKの報告する作成可能なパーティションの最大サイズを調べ、ハードディスクの公称容量*1と比べればよい。

*1 伝統的にハードディスクの公称容量は、1Kbytes=1000bytes、1Mbytes=1000000bytesとして計算される。一方、fdiskなどは1Kbytes=1024bytes、1Mbytes=1048576bytesとして計算するため、実際には同じ容量でもKbytesあるいはMbytes/Gbytes単位の表記では、容量が異なるように(少なくなるように)見えるので注意が必要だ。

 容量だけではなく、ディスク・アクセスも正常に実行できることを確認するには、ハードディスク・ベンダが提供しているテスト・ユーティリティが有効だ。例えばIBM製ハードディスクの場合、IBMの提供するDrive Fitness Test(DFT)というユーティリティを用いて、ハードディスクそのものに障害がないかテストすることができる(IBMのハードディスク用ユーティリティのダウンロード・ページ)。しかし、編集部で調べた限り、2.5インチ・ハードディスク製造ベンダの中でIBMだけが、こうしたハードディスクをテスト/設定するユーティリティをWebサイトで配布している(つまりエンド・ユーザーでも入手できる)。2.5インチ・ハードディスクはOEM向け製品であり、エンド・ユーザー向けのサポートがなくても不思議ではないのだが、それにしてもほかのベンダにもユーティリティの提供を望みたいところだ。

Drive Fitness Test(DFT)の実行画面
これはバージョン2.10の画面である。DFTを利用すると、ハードディスクのセクタを正常に読めるかテストするほか、接続ケーブルや温度の問題をチェックしたり、ディスク内部に蓄えられたエラーログを確認したりすることが可能だ。3.5インチ・ハードディスク製造ベンダのほとんどは、同種のユーティリティをエンド・ユーザーに提供しているが、2.5インチ・ハードディスクではIBMのみだ。
 
  関連記事(PC Insider内) 
PCメンテナンス&リペア・ガイド
 第2回 PC本体にアクセスしてハードウェア構成を調べる
  2. PCの内部を見てハードウェアを確認する
ディスク環境まるごとアップグレード
 
  関連リンク 
ハードディスク関連ユーティリティのダウンロード・ページ
 

 INDEX
  [特集]ノートPCのディスク環境まるごとアップグレード
    1.アップグレード方法を決める
    2.セットアップ前に確認すべきこと
    3.コピーに必要な機材をそろえる
  4.ハードディスクのセットアップ
    5.ハードディスク間コピーの準備と実行
           コラム:PCカードを認識できるDOS起動フロッピーの作り方
 
「PC Insiderの特集」

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