x86最速プロセッサ Pentium III-1.13GHzの実像に迫る

1. クライアントPC向けアプリケーションでの性能差

 

デジタルアドバンテージ 島田広道
2000/08/10

 まず最初は、Microsoft Officeを始めとするクライアントPC向けアプリケーションを利用するデスクトップPCとして、Pentium III-1.13GHzの性能を調べてみよう。

SYSmark 2000について

 このベンチマーク テストには、BAPCo(Business Applications Performance Corporation)のSYSmark 2000を使用した。SYSmark 2000では、実在する複数のアプリケーションを特定の手順で自動実行して処理時間を測定し、それに対してSYSmark 2000で基準とされているPCを100としたときの相対値を計算して結果とする。基準PCの仕様は以下のとおりである。

項目 仕様・製品名ほか
プロセッサ Intel Pentium III-450MHz
マザーボード Intel 440BX搭載マザーボード
メイン メモリ 128Mbytes SDRAM
グラフィックス アクセラレータ: NVIDIA製 RIVA TNT2 Ultra
メモリ: 32Mbytes SDRAM 
(Diamond Multimedia Systems製 Viper 770 Ultra)
ハードディスク 18Gbytes IDEハードディスク、Ultra ATA/33で駆動
(IBM製 DJNA-371800)
OS Windows 98 Second Edition英語版
SYSmark 2000における基準PC

 SYSmark 2000で実行される各アプリケーションは全部で12種類あり、そのうち7種類が「Office Productivity」というカテゴリに収まる。これには、ワード プロセッサや表計算ソフトウェアのように汎用的なビジネス向けアプリケーションが集められている。一方、残りの5種類のアプリケーションは「Internet Content Creation」というカテゴリに含まれ、動画像などを扱う「重い」アプリケーションが多い。以下に各アプリケーションの概要を記す(いずれも英語版である)。

Office Productivityカテゴリ
Corel CorelDraw 9.0 ドロー系の画像作成ソフトウェア
Corel Paradox 9.0 リレーショナル データベース
Microsoft Word 2000 ワード プロセッサ
Microsoft Excel 2000 表計算ソフトウェア
Microsoft PowerPoint 2000 プレゼンテーション資料を作成・表示するソフトウェア
Dragon NaturallySpeaking Preferred 4.0 音声認識ソフトウェア
Netscape Communicator 4.61 Webブラウザ
Internet Content Creationカテゴリ
Adobe Premiere 5.1 動画編集ソフトウェア
Adobe Photoshop 5.5 ペイント系の画像作成ソフトウェア
Avid Elastic Reality 3.1 モーフィングに対応する画像処理ソフトウェア
Metacreation's Bryce 4 レイ トレーシングで静止画やアニメーションを作成するソフトウェア
Microsoft Windows Media Encoder 4.0 音声や動画を別のフォーマットにエンコードするソフトウェア
SYSmark 2000が測定に用いるアプリケーション群

SYSmark 2000のテスト環境について

 テスト用PCのハードウェア仕様は前ページの表を参照していただきたい。ソフトウェアについては、まずOSにWindows 2000 Professionalの英語版を用いている(日本語版を使わないのは、2000年8月現在、日本語版ではSYSmark 2000が動作しないからだ)。デバイスドライバはそれぞれ2000年8月の時点で最新のものをインストールしている。また、画面の解像度は1024×768ドット、色数は65536色、リフレッシュレートは75Hzである。そのほか、省電力機能やネットワークを無効にするなど、ベンチマーク テストを実行するのに必要な設定を除けば、BIOSやOSの設定はデフォルトのままである。

重いアプリケーションほど1.13GHzの力を引き出す!?

 SYSmark 2000の実行結果から、カテゴリ別の結果をまとめると、以下のようになった。

SYSmark 2000によるベンチマーク テスト結果

グラフの数値は、基準のPCを100にしたときの相対値で、大きいほど高速である。

 これを見ると、少なくともアプリケーション レベルでは、1.13GHzと866MHzの間で有意な性能差が見られる。そして、Office Productivityカテゴリより、Internet Content Creationカテゴリのほうが、性能差が大きいことも分かる。866MHzに比べて1.13GHzは、前者では14%の性能向上にとどまるが、後者は20%まで伸びている。余談だが、Internet Content Creationに限定すると、Pentium III-1.13GHzは、アプリケーションレベルの実性能で基準PC(Pentium III-450MHz)の2倍に達していることになる。

 SYSmark 2000の実行結果をより詳細に見ると、Internet Content Creationカテゴリのうち、886MHzと1.13GHzとの性能差が最も大きいMetacreation's Bryce 4は、その値が28%に達している。1.13GHzと866MHzでプロセッサ コアの性能が同じだと仮定すれば、どんなベンチマーク テストも、クロック周波数の差である31%より性能差が大きくなるとは考えにくい。つまり31%という値は、理論的な性能向上の上限と想定できる。したがって28%というMetacreation's Bryce 4の結果は、理論値にかなり近い良好な値といえる。

 Avid Elastic Reality 3.1やAdobe Premiere 5.1も、性能差は20%以上である。このように、動画やレイ トレーシング、画像処理など、Internet Content Creationカテゴリに含まれる比較的「重い」アプリケーションほど、1.13GHzを導入する効果がよりはっきり表れやすい。

 逆に、Office Productivityカテゴリのアプリケーションでは866MHzとの性能差が小さい。詳細な結果によると、Microsoft Word 2000では、わずか2%しか性能が向上していない。こうした一般的なビジネス アプリケーション用途が中心なら、現時点で高価なPentium III-1.13GHzに投資するのは得策ではない。

 次のページでは、グラフィックス ワークステーションとしての性能をチェックしてみよう。

関連リンク
SYSmark 2000の概要や入手方法などの情報が掲載されている
アプリケーション ベンダのリンク集



 INDEX
  [特集]x86最速プロセッサ Pentium III-1.13GHzの実像に迫る
  1.クライアントPC向けアプリケーションでの性能差
    2.OpenGLアプリケーションでの性能差
    3.データベース サーバでの性能差

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