SOHO専用サーバのお手軽度

3.プリンタ共有機能とインターネット接続共有機能

デジタルアドバンテージ
2000/12/05

ET-NAS20Gのプリンタ共有機能

 ET-NAS20Gが提供するプリンタ共有機能は、ハードウェア的にもソフトウェア的にも、Windows PCにプリンタを接続して共有するのとよく似ている。ハードウェアのセットアップは、プリンタからのケーブルをET-NAS20Gのパラレル・ポートに接続するだけだ。一方、ソフトウェア的にも、ファイル共有の場合と同様、ET-NAS20Gで公開した共有プリンタは、エクスプローラから容易に参照/接続できる。ET-NAS20G側の設定は、下記画面のようにWindowsクライアントへプリンタを公開するだけなら、プリンタ名を設定するだけで済む。

ET-NAS20Gの共有プリンタに関する設定画面

Macintoshとプリンタを共有する場合には、接続するプリンタの種類などを設定する必要があるが、そうでなければプリンタ名を設定するだけで、非常に簡単に共有プリンタを公開できてしまう。

 市販されているプリンタ・サーバでは、LAN上にWindows 9x搭載PCしかない場合、各クライアントPCにNetBEUIプロトコルを追加したり、TCP/IP印刷プログラムをインストールしたりしなければならない製品が多い。一方、ET-NAS20GではSMB/NBTさえ利用できれば、クライアントPCは公開された共有プリンタにエクスプローラを介して容易に接続できる。ただし、複数のポートを備えたプリンタ・サーバのように、複数台のプリンタを同時に共有することはできない。

 なお、ET-NAS20GはUSBポートを装備しておらず、USB接続のプリンタは利用できない。もっとも、多くのプリンタはいまだパラレル・ポートを装備しているので、このことは重大な問題にはならないだろう。

ET-NAS20Gのインターネット接続共有機能

 ET-NAS20Gが提供するインターネット接続の共有機能は、細かい違いはあるが、原理的には市販されているダイヤルアップ・ルータと同一のものだ。基本的な機能は以下のとおりである。

 こうした機能により、ET-NAS20Gと同じLANに接続された各PCおよびMacintoshは、ET-NAS20Gをダイヤルアップ・ルータのように使って、これを通してインターネットにアクセスできるようになる。

■モデム/ISDN TAの接続とセットアップ

 一般的なダイヤルアップ・ルータとは違い、ET-NAS20Gはインターネット接続のためのWAN(ISDNや電話回線など)インターフェイスを内蔵していない。シリアル・ポートを介してモデムやISDN TAをつなぎ、ISPにダイヤルアップ接続することで、ET-NAS20Gはインターネットとの通信を実現する。この方式では、従来PCにつないでいたモデムやISDN TAをそのままET-NAS20G用に流用できるほか、アナログ電話回線とモデムの組み合わせを使いながら、オンデマンド・ダイヤルアップ機能を実現できるようになる。一般的にこのような場合には、電話回線をISDNにして、ISDNダイヤルアップ・ルータを購入すればよいのだが、特殊な事情からISDNを使えない場合もあるだろう。存在しないわけではないが、アナログ電話回線+モデム・インターフェイスを持つダイヤルアップ・ルータは、手ごろな製品がほとんどない。またISDN TAとISPが対応していれば、フレッツ・ISDNで本機を利用することも可能だ。その半面、シリアル・ポートを持たないUSB専用モデム/ISDN TAは利用できないほか、ADSLケーブル・インターネットで使われるイーサネット接続のモデム(ケーブル・モデムADSLモデムなど)も利用できない、という制限はある。

 モデム/ISDN TAとダイヤルアップ接続それぞれの設定は、以下のようにWebブラウザから行える。

モデム/ISDN TAのソフトウェア設定を行う画面

ここでは、使用するモデム/ISDN TA用のモデム定義ファイル(Windows 9x用)をET-NAS20Gに送信することで、モデム/ISDN TA固有の初期化設定などをセットアップできる。
  モデム定義ファイルはここで指定して送信する。
  モデム/ISDN TAを初期化するATコマンド。モデム定義ファイルがあれば、これを手動で入力する必要はない。

 このように、Windows 9x用モデム定義ファイル(.INFファイル)されあれば、モデム/ISDNの設定は比較的容易だ。ダイヤルアップとは関係ないアナログ・ポートの設定などは、事前にPCと接続して済ませておく必要があるだろう。

■ダイヤルアップ・ルータに比べ、機能は少ないが設定は容易

 以下の表は、ET-NAS20Gのインターネット接続共有の主な機能を記したものだ。

WAN側について
ET-NAS20G自身のIPアドレス 固定/ISPからの自動取得
接続回線 ダイヤルアップ専用線
ダイヤルアップ接続 接続先電話番号を3つまで設定可能
オンデマンド・ダイヤルアップ可能(切断までの待ち時間は変更可能)
手動接続/切断も可能
接続プロトコル PPP(認証はCHAP/PAP)
同時接続数 最大253セッション
ルーティングされるプロトコル TCP/IP
アドレス/ポート変換 IPマスカレード(NAPT)
DNSサーバの設定 LAN側のDNSサーバ・アドレス設定を流用
LAN側について
ET-NAS20G自身のIPアドレス 固定/DHCPクライアントとして自動割り当て
サブネット・マスク 変更可能
DNSサーバの設定 ISP提供またはLAN接続のDNSサーバを利用可能
WINSサーバの鉄製 LAN接続のWINSサーバを利用可能
DHCPサーバの機能
無効/有効 無効に設定可
配布アドレス ネットワーク部:ET-NAS20G自身のLAN側IPアドレスと同一
ホスト部:0〜254(変更可能)
固定IPアドレス 配布アドレスの範囲外に手動で設定可能(予約は不可)
ET-NAS20Gのインターネット接続共有機能の主な仕様

 いわば専用機といえるISDNダイヤルアップ・ルータに比べた場合、どちらかというとNASを主眼として設計された本機のインターネット接続共有機能は、若干劣る部分もある。例えば本機は、パケットをフィルタリングする機能を手動で設定変更することができない。

 多くのISDNダイヤルアップ・ルータは、パケット・フィルタリングの設定をユーザーが変更できるようにしている。そのため、デフォルトではインターネット側から各種設定用Webサーバにアクセスできるものの、後でユーザーが手動でルータ自身へのHTTPパケットをフィルタで止めてしまうことで、インターネット側からのWebアクセスだけを禁止することができる。

ISDNダイヤルアップ・ルータのパケット・フィルタリング設定画面

これはヤマハ製ネットボランチRTA52iの例。パケットの向きやポート番号、IPアドレス、IPパケットの種類などで、細かい設定が可能。
  パケット・フィルタリングの各パラメータはここに入力して設定する。

 一方、本機でもインターネット側から設定用Webページにアクセスできるが、これだけをパケット・フィルタリングなどで禁止することはできなかった(実験した限りでは、これを禁止しようとすると、LAN上のPCからインターネットへのWebアクセスも一緒に禁止されてしまった)。また本機の共有フォルダは、LAN側だけではなくインターネット側からもアクセスできてしまう*1。Windowsのファイル共有に用いられるNetBIOSインターフェイスが、インターネット側にも開かれているせいである。通常ダイヤルアップ・ルータは、インターネットからNetBIOSインターフェイスに対するアクセスを、パケット・フィルタリングなどで阻止できるが、評価したET-NAS20Gではできなかった。

*1 ただし、クライアントPCなどLAN側の共有リソースには、インターネット側からアクセスできない。

 設定用Webページはパスワードで、また共有フォルダはグループを利用したセキュリティ設定により、実質的にインターネット側からの不正なアクセスは阻止できる。とはいえ、パケット・フィルタリングの手動設定ができない点は、セキュリティ的にあまり好ましいものではない。

 また最新のISDNダイヤルアップ・ルータでは、LANからインターネットへのむやみな発呼で通話料金が激増するのを防止するために、発信時間帯の設定などが行えるようになっているが、本機はそのような機能は持っていない。

 このようにインターネット接続の「専用機」といえるダイヤルアップ・ルータの機能と比較すると、本機のインターネット接続機能には見劣りする部分が散見される。特に、セキュリティ機能が弱いという点は気になるところだ。ダイヤルアップ接続を行っており、毎回IPアドレスが変わるような環境なら、組織的な攻撃は受けないだろうが、フレッツ・ISDNなどの常時接続サービスで、使用するグローバルIPアドレスが固定の場合には特に注意が必要だろう。

関連リンク
ISDNダイヤルアップ・ルータ「ネットボランチRTA52i」の製品情報
ET-NAS20Gの製品情報
 

 INDEX

  [特集]SOHO専用サーバのお手軽度
     1.ET-NAS20GのハードウェアはPC相当
     2.ファイル共有機能
   3.プリンタ共有機能とインターネット接続共有機能
     4.多機能より管理の容易さを優先

「PC Insiderの特集」

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