日本のRFID業界をけん引する人々(1)

実業に根ざして使う人の視点を重視する
日立製作所


柏木 恵子
2006年7月19日
ミューチップ開発などでRFID業界をリードする日立製作所は、2006年4月にトレーサビリティ・RFID事業部を設立し、RFID事業の体制強化を図っている。チップ開発からソリューション提供までを集約した同社の取り組みについて、同事業部副事業部長の中島洋氏に伺った

 チップからSIまでワンストップで提供する日立

――日立がRFID事業に取り組むようになった経緯は

中島 RFID事業参入のきっかけということになると、2001年6月のミューチップ(縦横400μm、厚さ60μmの直方体形チップで、128ビットの読み出し専用データを記録できる)事業の開始になります。

 そこへ至る経緯ですが、ICカード事業を展開する中で、ICチップを紙の中に入れられないだろうか、例えば、紙幣の偽造防止などに使えないだろうかという話がありました。その研究が進んだ結果、具体的な製品としてミューチップが登場しました。

――RFID事業について日立の特色は

中島 日立製作所というよりは日立グループとしての特徴ですが、2つあります。

 1つは、RFIDチップの研究・開発から設計・製作、リーダ/ライタおよびミドルウェア、実際に使うアプリケーション、システムインテグレーション(SI)、ネットワークサービスといったところまで、すべてをワンストップで提供できるという点です。

 もう1つは、日立が多くの実業を持っている点です。これは、RFIDが使われる現場を持っていて、そこでのノウハウを組み合わせられるということです。そういった意味では、RFID技術を追求していくことはもちろんですが、利用の観点、使う側の視点を忘れずに全体の事業を進めていこうと思っています。RFID事業ではなくトレーサビリティ・RFID事業部としているのはそのためです。

 世界広しといえども、チップ開発もSIもやっているという会社はほかにないと思います。だからこそ、利用の観点からRFIDタグにはこういう機能が必要だとか、逆にRFIDタグというのはこういう特性を持っているからこのような使い方をすべきだということが分かります。

 RFIDだけではどうしても実現できないところを、システム全体としてどうカバーしていけばいいのかについては、われわれ自身が実業を持っているということが優位に働いていると思います。

 
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Index
実業に根ざして使う人の視点を重視する日立製作所
Page1
チップからSIまでワンストップで提供する日立
  Page2
ユーザー企業の価値向上のためシステム全体として考える
  Page3
RFIDによって情報の精度・密度・鮮度が上がる
  Page4
セル型生産方式にRFIDが有効な手段になり得る
  Page5
トレーサビリティが築く新しいマネジメント技術へ

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