第7回 富士通製UHF帯リーダ/ライタを知る


西村 泰洋
富士通株式会社
マーケティング本部
フィールドイノベーション
プロジェクト員
2008年6月6日
RFIDシステムに必要なプログラムの実装方法はベンダによってクセがある。本連載はRFIDシステムに必要とされるプログラミングスキルを伝授するバイブルである(編集部)

 前回まで、モトローラとオムロンの製品を取り上げてきました。今回は富士通のUHF帯のリーダ/ライタについて解説します。

 第6回「奥義その弐敵を知り、自らを知る」で、UHF帯製品を投入している主要メーカーの特徴を解説しましたので、現在のUHF帯製品の特徴はおおむねつかんでいただいていると思います。その中で、富士通製のリーダ/ライタの特徴については、以下のように紹介しました。

現在の多数派OSであるWindowsの開発環境を重視したプロダクト。ミドルウェアの利用で各種設定が簡便にできる。

1. 上位機との接続が不可欠。対応OSはWindows XPのみ
2. EdgeBaseを利用しての開発。言語に依存しない
3. Gen2、ISO 18000 TypeBの2種類に対応

 現在の導入事例ではリーダ/ライタを上位機接続するケースが大半を占めていますが、今後は利便性から組み込みタイプが増えていくでしょう。そのような中で富士通は、総合ベンダとしての経験とノウハウを生かし、リーダ/ライタとタグアクセスの設定を迅速・簡単にして、トータルなRFIDシステム開発に重点を置く発想を提示しています。

 日本のUHF帯リーダ/ライタのパイオニア、富士通

 UHF帯は2005年4月に日本国内での利用が可能となりました。富士通はそれとほぼ同時期にUHF帯のリーダ/ライタをリリースしており、日本のUHF帯リーダ/ライタのメーカーとしてはパイオニア的な存在です。

 同社が提供しているリーダ/ライタには、4台までのアンテナを接続するアンテナ分離型製品「TFU-RW362」と、1台のアンテナを内蔵するアンテナ一体型製品「TFU-RW312」があります。

左:TFU-RW362
右:TFU-RW312

 いずれもサイズは195ミリメートル×195ミリメートル×40ミリメートルというコンパクトなサイズです。対応OSはWindows XP Professionalのみですが、RFIDタグに関しては、UHF帯のISO 18000-6 TypeB、ISO 18000-6 TypeC(Gen2)の2種類のプロトコルに対応しています。

 なお、外部接続インターフェイスとしてLANとUSBの2種類が提供されていますが、1機種に2つのインターフェイスが備わっているわけではなく、利用したいインターフェイスによって手配する製品が異なる点には注意が必要です。

 EdgeBaseという名のミドルウェア

 ここまでリーダ/ライタの概要を解説してきましたが、富士通はこれらのリーダ/ライタの利用に当たり、EdgeBaseという名のソフトウェアの利用を推奨しています。正式名称は、TagFront EdgeBase V1ですが、本連載では省略してEdgeBaseとします。

 EdgeBaseは富士通製品を利用したRFIDシステムの開発と運用においてリーダ/ライタと業務アプリケーションの橋渡しをするソフトウェアです。簡単にいえば、開発環境とユーティリティ機能を提供するソフトウェアということになりますが、このEdgeBaseを介してのリーダ/ライタの操作を掘り下げることで、リーダ/ライタの特徴への理解も進むものと思います。

 EdgeBaseは2008年にリリースされたソフトウェア製品で、ミドルウェアとしてすでに2代目になることから、それまでのRFIDシステム構築の経験が生かされているものと思われます。主な機能と構成は以下のとおり。

1. RFIDタグへのアクセス管理と各種設定

アクセス方法とフィルタリング、書き込むデータレイアウトの定義など

2. リーダ/ライタ制御

個別のリーダ/ライタならびにグループとして定義し制御など

3. セキュリティ

RFIDタグのLOCK、KILL、格納するデータの暗号化など

4. 運用管理

タグアクセスの履歴管理、定義情報の交換など

5. 開発環境

APIの提供

 富士通では、このソフトウェア製品を「RFIDシステムを利用する業務アプリケーションに対して、リーダ/ライタ、およびRFIDタグ内部の情報にアクセスするためのインターフェイスを提供する製品」と定義しています。

 EdgeBaseの対応OSはWindows XP Professionalのみ。利用可能なリーダ/ライタは富士通製リーダ/ライタに限定されますが、最大で10台まで接続できます。なお、リーダ/ライタ1台で読み書き可能なRFIDタグの最大枚数は100枚です。

 このほか、.NET Framework 2.0、Microsoft Visual Basic C++ 2005ランタイムライブラリなどが必要となりますが、添付のセットアップCDに同梱されています。

 
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Index
富士通製UHF帯リーダ/ライタを知る
Page1
日本のUHF帯リーダ/ライタのパイオニア、富士通
EdgeBaseという名のミドルウェア
  Page2
EdgeBaseを使ったリーダ/ライタのセットアップ
パラメータを組み合わせてアクセス制御

RFIDシステムプログラミングバイブル 連載インデックス


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