岡田 大助
@IT編集部
2006年9月27日

■国ごとにまちまちな周波数帯

 RFIDで利用される周波数帯にはいくつかの種類があり、ISO/IECで標準化されているのが「135KHz以下」「13.56MHz」「2.45GHz」「860MHz〜960MHz」「433MHz」の5種類です。このうち、主流になりそうなものが13.56MHzと860MHz〜960MHzです。しかしながら、各国の電波法によって制限される周波数帯もあり、特にUHF帯(極超短波)に属するものの運用はまちまちです。

 135KHz以下(長波、LF)のRFIDシステムは日本でも古くから使われていますが、通信距離が数十センチと短いにも関わらずアンテナが大きいなど、ほかの周波数帯に比べてデメリットが目立つようになり、徐々に使われなくなっています。

 13.56MHz(短波、HF)は、主にパッシブ型のRFIDシステムで使われています。また、FeliCaなどの非接触ICカードもこの周波数帯を利用しています。日本では2002年9月の電波法改正によって、欧米とほぼ同様の利用が可能となりました。通信距離は70センチ程度です。

 2.45GHz帯は、UHFに属する周波数ですが「マイクロ波帯」と呼ばれています。この周波数帯は、電子レンジや無線LANなどでも利用されているISMバンドなので、既存システムとの電波干渉を考慮する必要があります。通信距離は、1メートル程度です。日立製作所の開発した超小型無線ICチップ「ミューチップ」はこの周波数帯を利用しています。

 860MHz〜960MHz帯は、通信距離も5〜10メートルと長く、RFIDシステムでの活用が期待される周波数帯ですが、すでに携帯電話などが利用している周波数帯でもあり、長らく日本ではRFIDシステムとして利用できませんでした。しかし、2006年1月の電波法改正によって952〜954MHz帯が解放されました。一般的に「UHF帯」と呼ばれるRFIDシステムは、この周波数帯を指しています。

 433MHz帯もUHFに属する周波数ですが、日本国内ではアマチュア無線に利用されており、RFIDシステムには利用できません。海外では主にアクティブ型のRFIDシステムに利用され、国際物流における海上輸送用コンテナなどに使われています。そのため、国内では総務省情報通信審議会がアマチュア無線との共用を目指して答申を行っています。

 このほか、ISO/IECで標準化されていない300MHz帯もアクティブ型RFIDシステムで利用されています。


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国ごとにまちまちな周波数帯
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