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IC CARD WORLD 2007レポート

非接触IC技術のトレンドは“マルチ”展開


岡田 大助
@IT編集部
2007年3月27日


 ネットワーク直結型の実用的なリーダ/ライタ

 決済に限らず、非接触ICカードの利用シーンは増え続けている。ICチップをチケットに貼付して、偽造防止や本人確認に使われることも多くなった。例えば、Jリーグ・大分トリニータは、今年から年間パスをIC化した。入場処理と本人確認の短縮、来場者データの管理などのメリットが挙げられる。

 このシステムのリーダ/ライタとして利用されているのが、トッパン・エヌエスダブリュの「ユニファイドリーダライタ」だ。一般的なリーダ/ライタは管理用PCと接続して使われるが、ユニファイドリーダライタはCPU(ルネサステクノロジ製SH-Ether SH7616)やメモリ(プログラム領域用高速SRAM 1MB、保存データ領域用低速SRAM 2MB、EEPROM 2MB)を内蔵したネットワーク直結型として開発されている。

 担当者によれば、設置はイーサケーブルを引くだけという簡便さで場所を取らず、迅速な導入とコスト削減を実現したという。イベントのチケットだけでなく、入退室管理システムや勤怠管理、出席管理システムなどに応用できる。1台あたり10〜15万円程度とのことだ。

年間パスは首から下げるホルダーに収められており、サポーターはゲート端末にチケットをかざすだけで入場できる

PC不要で簡単・手軽に「ユビキタスネットワーク」を実現できる OS搭載型非接触ICリーダライタの販売を開始(トッパン・エヌエスダブリュプレスリリース)
http://www.toppan-nsw.com/newsrelease/20060818.html

 ソニーの意欲的な取り組み、PS3とNFC

 ソニーブースでは、プレイステーション3(PS3)のUSBポートに接続できるFeliCaリーダ「PaSoRi」を参考出展し、来場者の注目を集めていた。PLAYSTATION StoreでEdyを入金したり、ゲームの購入ができたりするという。将来的には、決済機能を備えたPS3がデジタル家電の中心となって、さまざまなサービス展開を狙っているようだ。

 また、ソニーとPhilipsが共同で標準化した非接触IC通信規格「NFC」を搭載した携帯電話のデモも行われた。NFCでは、FeliCaとMIFARE(Philipsが開発した非接触ICカード規格、ISO 14443 Type A)と互換性を持ち、双方向通信が可能。デジタルデータのやり取りを直感的に行えるというのが売り文句の1つだ。

 デモに参考出展されていた端末には、PUTボタンとGETボタンの2つが用意されている。ファイルを受信したいときは、GETボタンを押して読み取り状態にしてICカードやNFC端末にタッチする(2アクション)。ファイルを送信したいときは、データを選び、PUTボタンを押し、ICカードや端末にタッチする(3アクション)。携帯間のデータの送受信も可能なので、メールアドレスの交換時などに「赤外線がなかなか受信してくれない〜」と嘆くこともなくなりそうだ。

左)PS3用PaSoRi
右)NFC対応携帯電話


 セキュリティ分野への応用がぞくぞくと登場

 2006のレポートでも取り上げた、FeliCaを使った高セキュリティオフィスを実現する企業連合「SSFC(Shared Security Formats Cooperation)」は、今年は同時開催のSECURITY SHOWへと場所を移しての展示となった。

【関連記事】
もう無関係ではいられない「物理的セキュリティ」

 昨年同様、ブースの入り口でSSFCカードが渡され、実際に入退室ゲートやロッカー、複合機などの体験ができる仕掛けだったが、出展物のバリエーションが増えているのが印象的だった。

 事務局長の矢野義博氏は、「種類が増えただけではありません。例えば、去年展示されていた入室用リーダではカードを認識するのに2秒ぐらいかかっていましたが、今年、ほかのベンダが展示しているものは1秒以下で済むようになっています。これは、競合企業も同じ団体の中で切磋琢磨しているSSFCならではの効果だと思います」とコメントしている。

タツタ システム・エレクトロニクス製入退室管理システム。誰がどこにいるのか、動線を追跡できる

【関連記事】
連載:SSFCが実現する高セキュリティオフィス空間

 ソリトンシステムズでは、ICカードによるデバイス認証システム「SmartOn」シリーズと2007年6月に出荷を予定しているプライベートCAアプライアンス「Net'Attest CA」を出展した。

 SmartOnには、従業員数2000程度まで対応する「SmartOn」、数万人規模の大企業向けの「SmartOn NEO」、スタンドアロン型の「SmartOn Solo」、既存のFeliCaカード、MIFAREカードをそのまま流用できる「SmartOn ID」の4種類があり、業界でも高いシェアを持っているという。

 また、新発表となったNet'Attest CAは、「PKI認証局を30分で構築できる」という導入のしやすさがウリのアプライアンスだ。1台で最大4000枚の証明書が発行できる。例えば、それらをICカードやUSBトークンに格納して、ユーザー認証に利用できる。

Net'Attest CA。本当に30分で導入できるのか質問したところ、「多くのネットワーク管理者で実際に計測した結果です」との返事が戻ってきた

 ビー・ユー・ジー(BUG)では、FeliCa対応リーダ/ライタ「ピットタッチ」を活用した事例をいくつか紹介していた。

 シスコシステムズ製のIP電話「Cisco Unified IP Phone 7970G」と組み合わせた事例は、内線電話機に出退勤管理に活用するもの。ピットタッチにICカードをかざすと、アプリケーションサーバを通じてユーザーのログイン/ログアウト情報がコールマネージャに通知される。すると、リーダ/ライタが接続されているIP電話端末にユーザー専用の内線番号が割り振られ、ユーザープロファイルに応じたアプリケーションがダウンロードされる。

 BUGでは、ユーザーがどの端末を利用しても出退勤管理ができるだけでなく、個別の業務連絡を的確に行えるとしている。また、ICカードを使ったユーザー認証により不正使用の防止にも役立つとのこと。フリーオフィスや出張先でも同じ内線番号が使えるのは便利かもしれない。

どこでも同じ内線番号が利用できるピットタッチとIP電話

おまけコラム:首都圏のみなさん、SuicaとPASMOがケンカしてませんか?

 2007年3月18日から、首都圏では地下鉄やバスで利用できる非接触ICカード「PASMO」がスタートした。しかも、先行しているJR東日本のSuicaと相互利用可能であり、ほとんどすべての公共交通機関をキャッシュレスで利用できるようになった。

 しかし、十分な運賃をチャージしているのに、ゲートが開かないといったトラブルに見舞われたことはないだろうか。財布や定期入れの中に複数の非接触ICカードが存在すると、読み取りエラーが発生することがあるのが原因だ。駅の改札では、異なる決済サービスを同時に認識した場合、ゲートが開かないようになっている。

 ご存じのとおり、非接触ICカードには電池が入っていない。起電力は、リーダが発信している電波から得ている。この電波の届く範囲をコントロールできれば、不要な非接触ICカードを起動せずに、必要な決済サービスを利用できる。

 フロムウェストが出展していた「フラックス・パス」は、磁性フィルターによって磁束を制御し、非接触ICカードの読み取りエラーを防止するカードだ。使い方は、2枚の非接触ICカードの間に挟んで、使いたいICカードの方をリーダにかざすだけだ。

 交通系カードだけでなく、非接触ICカードの遠隔スキミング対策としても利用できるので、気になる人はチェックしてみてはいかがだろうか?


2/2
 

Index
非接触IC技術のトレンドは“マルチ”展開
  Page1
決済系サービスが一気に多様化、キーワードは「マルチ対応」
タクシーも非接触ICカード決済に対応へ
ICカード運転免許証を民間企業で活用する
Page2
ネットワーク直結型の実用的なリーダ/ライタ
ソニーの意欲的な取り組み、PS3とNFC
セキュリティ分野への応用がぞくぞくと登場

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