Oracle VMの世界

Oracle VMの世界(3)

Oracle VMにおける仮想マシンの作成


日本オラクル株式会社
中嶋 一樹
2009/3/24

Oracle VMとは、オラクルが提供している無償のサーバ仮想化ソフトウェアである。Xenをベースとしているが、さまざまな機能追加や使いやすさの改善が行われている。本連載では、Oracle VMの製品コンセプトから機能、利用シーンまでを解説する

連載:Oracle VMの世界 INDEX

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 Oracle VMにおける仮想マシンの作成方法には以下の3とおりがあります。

  • テンプレートを基に作成
  • インストールメディアからの新規インストール
  • PXEブートによるネットワークインストール

 最も簡単かつ短時間で済むのはテンプレートを基に作成する方法です。オラクルではさまざまな仮想マシンテンプレートを用意しており、全てE-Deliveryよりダウンロード可能です。

E-Delivery
http://edelivery.oracle.com/oraclevm/

 仮想マシンテンプレートの利用

 テンプレートには純粋にOSだけが含まれているものから、OSの上にOracle Databaseなどのソフトウェアがセットアップ済みのテンプレートもあります。オラクルは現在製品として出荷しているソフトウェアを順次、仮想マシンテンプレートの形で提供し始めています。こうすることによってOS環境の設定、ソフトウェアのインストールというセットアップ作業がテンプレートのインポートという操作だけで済んでしまいます。

 また、各テンプレートはOSのパラメータなどもそのアプリケーションに最適化され、その動作についてオラクル自身が検証を行った実証済みの構成であるため、個別インストールによって生じ得る設定ミスを防ぎ、安定した動作を期待できます。今回はこのテンプレートを基にした仮想マシンの作成手順をご紹介します。

 まずはテンプレートをE-Deliveryよりダウンロードします。この例ではOracle Database 11gがインストールされているOracle Enterprise Linux 5 update 2 32bitのテンプレートを用いることにします。

 まずE-Deliveryにログインします。次にSelect a Product Packのプルダウンメニューから「Oracle VM Templates」を選択し、Platformから「x86 32bit」を選択して「Go」ボタンをクリックします。

図1 Oracle VM Templatesのx86 32bitを選択してGoを押す

 次に「Oracle VM Templates for Oracle Database Media Pack for x86 (32bit)」をクリックします。

図2 Oracle VM Templates for Oracle Database Media Pack for x86 (32bit)を選択

 次に「Oracle Database 11.1.0.6 for x86 (32bit) with Oracle Enterprise Linux 5.2」の「Download」ボタンをクリックするとダウンロードが開始されます。

図3 Oracle Database 11.1.0.6 for x86 (32bit) with Oracle Enterprise Linux 5.2を選択してDownload

 ダウンロードしたファイルをVM Serverの/OVS/seed_pool/に保存して下さい。次にファイルを次のように解凍していきます。

# cd /OVS/seed_pool/
# unzip V14045-01.zip
# tar xvfz OVM_EL5U2_X86_ORACLE11G_PVM.tgz

 次にVM Managerからこのテンプレートのインポート操作を行います。VM Managerにログインし、「Resources」タブ =>「Virtual Machine Templates」タブを選択し、右上の「Import」ボタンをクリックします。

図4 VM Managerで仮想マシンテンプレートのインポートを選択

 続いてテンプレートをどこからインポートするかを選択します。今回はすでにVM Serverの適切なディレクトリにテンプレートを格納済みですので「Select from Server Pool (Discover and Register)」を選択して「Next」ボタンをクリックします。

図5 テンプレートのインポート元を指定

 次にテンプレートの情報を入力します。

図6 テンプレートの情報を入力

Server Pool Name:インポートするテンプレートが格納されているServer Pool

Virtual Machine Template Name:インポートするテンプレート 今回は「OVM_EL5U2_X86_ORACLE11G_PVM」を選択(選択したServer Poolの/OVS/seed_pool/以下にあるディレクトリ名がここにリストされます)

Enable High Availablity:H/A機能の有効/無効 (現在はServer PoolでH/A機能が無効になっているため、テンプレートレベルでのこの設定はグレーアウトされています)

Operating System:テンプレートのOSタイプ 今回は「Oracle Enterprise Linux 5」を選択(ここで正しいOSタイプを選択することは重要です。VM ManagerはこのOSタイプの情報に基づいて仮想マシンの設定ファイルを生成します)

Virtual Machine System Username:テンプレートのOSアカウント(ユーザー名) 今回は「root」と入力(この設定値は実際の仮想マシンのアカウント情報には影響しません。もし後々この仮想マシンテンプレートのデフォルトアカウントを忘れてしまった場合に、管理者にメールでこのとき入力したアカウント情報を送付するための項目です)

Virtual Machine System Password:テンプレートのOSアカウント(パスワード) 今回は「ovsroot」と入力(Oracleが提供する仮想マシンテンプレートのrootパスワードが「ovsroot」です。役割はユーザー名と同様です)

Description:任意の備考

 「Next」ボタンをクリックすると確認画面になります。情報を確認して「Confirm」をクリックします。

図7 テンプレート情報の確認画面

 これでテンプレートはVM Managerに登録された状態となります。ただし登録されたテンプレートのStatus欄が「Pending」となっていることに注意してください。テンプレートのインポートは管理ユーザー(admin)でない一般ユーザーでも行える作業なので、管理ユーザーがこのテンプレートのインポートを承認する必要があります。承認するには、いま登録したテンプレートの左横のラジオボタンを選択して「Approve」ボタンをクリックします。

図8 このテンプレートの承認を行う

 確認画面が表示されますので「Approve」をクリックします。

図9 確認画面で再びApprove

 
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Index
Oracle VMにおける仮想マシンの作成
Page1
仮想マシンテンプレートの利用
  Page2
仮想マシンの作成プロセス
  Page3
仮想マシンの起動

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