iPhone/Android開発者が知るべきWindows Phone 7つの特徴

iPhone/Android開発者が知るべき
Windows Phone 7つの特徴


Windows Phone Developer Dayレポート

仲里淳
@nakazato
2011/6/30

【2】クラウドと連携する6つのハブ

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 メトロやライブタイルと関連した要素として、「ハブ」と呼ばれるクラウドと連携する6つの標準機能がある。

  1. Music+Video(音楽と動画)
    音楽プレーヤなどZuneの機能を統合したようなもので、端末内データの他にストリーミングを視聴したり、音楽や動画を購入したりできる(主に米国での機能)
  2. People(ピープル)
    メールや電話のアドレス帳、ソーシャルメディアのユーザー情報を一元管理して連絡したり、友人らの活動をチェックしたりできる
  3. Marketplace(アプリストア)
    アプリの試用や購入、インストール済みアプリの更新ができる。アプリにはゲームや音楽も含む
  4. Games(ゲーム)
    Xbox Liveと連携して共通のアバターを利用したり、オンラインゲームで友人と対戦したりできる。Xbox 360のゲームとの連動もできる
  5. Pictures(写真の管理と共有)
    カメラで撮影した写真を、オンラインストレージ(SkyDrive)に保存したりソーシャルメディアで公開したりできる
  6. Office(Officeとの連携)
    Word、Excel、PowerPoint、OneNoteドキュメントの閲覧と編集ができる。オンライン上に保存して公開や共有が簡単にできる

【3】モバイルのプラットフォームとしての展開

 Mangoには、WebブラウザとしてIE9が搭載される。これまでは「Pocket IE」など、「モバイルブラウザはあくまでもPCブラウザのサブセット」的なことが多かった。ハードウェアの制約など仕方ない面もあったが、Windows Phoneでは「PCと同じようなWebの体験を提供するためにIE9を採用した」とマイクロソフトは説明する。

 HTML5やFlash対応など、表現力やできることは限りなくPC版と同等のものを備えているということだ。この実現には、PC版のIE9と同じようにハードウェアアクセラレータを活用していることも大きい。

「PCブラウザと同じ体験をスマートフォンでも実現することを目指した」というIE9を搭載(画像はエミュレータ)

 マイクロソフトがWindows Phoneとして提供しているのは、OSだけでなくハードウェアのガイドラインも含まれる。これによって、端末ごとの処理性能にバラつきが生じたり、ソフトウェアの実行に違いが出たりすることを防いでいる。ハードウェアアクセラレータを前提にソフトウェアを設計できるのは、その成果でもある。

 Windows Liveサービスとの連携機能も、マイクロソフト製品として当然備えている。情報の同期(アドレス帳など)、オンラインストレージ「SkyDrive」の利用やPCとの連携(写真や音楽データなど)、遠隔セキュリティ保護(ロックとワイプ)といった機能がある。

 さらに、FacebookやTwitterなどソーシャルメディアとの連携機能も強化されている。自社サービスでロックインするのではなく、クラウドが中心となる時代にユーザーが必要とする機能を第一に考えたということだろう。

【4】Silverlight・XNAベースのアプリ実行&開発環境

 アプリの実行および開発環境として、Windows PhoneではSilverlightとXNAの2つが採用されている。

 Silverlightは、マイクロソフトがWebアプリケーションやRIAのプラットフォームとして開発したものだ。UI記述言語のXAMLによって優れたUIのアプリケーションが開発しやすかったり、UIとロジックが完全に分離されていたり、PC(Windows)との共有が可能だったりといったメリットがある。

 Windows Phoneでは、メトロのテーマに対応したUIコントロール群を利用することになるが、これまでのWindows Mobileとは異なり、プログラマだけでなくデザイナも腕を振る得る余地がある。デザイナ主導のアプリ開発によって、従来にはなかったハイセンスなアプリの登場が期待できる。

 それなりのアプリを開発するには、C#またはVisual Basicのプログラミングスキルは必要だ。ただ、Visual StudioやExpression Blendなど、プログラマとデザイナのコラボレーションを意識したツールがそろっていることはアドバンテージになる。

Expression Blend 4を使ったタイムラインベースのアニメーション制作デモ。Flash開発で活躍するクリエータたちの参入が期待される

 もう1つのXNAは、ハイパフォーマンスのゲームフレームワークとしてXbox 360やWindowsで実績のある環境だ。Silverlightよりはハードルは高いものの、マルチスクリーンの2Dや3Dゲームを比較的簡単に開発できる。また、ゲームだけに限らず、メディア再生や入力などでも高度な処理が可能なため、マルチメディア系アプリの開発に利用できる。

 この2つに加えて、前述のようにHTML5に対応したIE9の存在により、高度なWebアプリケーションの利用環境でもある。

 その他の特徴としては、マルチタスク(ただしバックグラウンドに回っている間は停止する)、ハードウェアリソースの活用、ハードウェア要件の固定(例えば画面は800×480ピクセル固定など)といったものがある。

 開発者にとって気になる開発ツールは、必要なものをひとまとめにした開発キットが無償で提供されている。最新版は以下よりダウンロードできる。

 なお、6月30日から、ベータ2版の提供を開始したが、日本からは参加できない(参考:Microsoft、開発者向け「Mango」の早期プログラムを開始)。

開発キットには、Visual Studio 2010 Express for Windows Phone(上)やExpression Blend 4(下)など、高機能なIDEやクリエイティブツールが含まれている

 開発キットには、エミュレータが含まれているので、端末が手元になくてもアプリが開発できる。ただし、ベータ版のため「英語版の開発環境であること」「Marketplace登録用には使用しないこと」「Expression Brendは最新製品版との併用が難しいこと」といった注意点があるので、それらを確認したうえで利用してほしい。

エミュレータでは、加速度センサーや位置情報(GPS)を疑似的に制御できる。実機でテストをすると意外に面倒な部分なので、開発者にとってはうれしい機能だ

 また、後述するMarketplaceでアプリを公開するには、以下の「APP HUB」で開発者アカウントを取得する必要がある。登録費用として年間9800円が掛かるが(学生は無料)、開発したアプリを実機でテストする場合にも必要になるので、本格的に取り組むつもりなら取得しておこう。

APP HUB

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 INDEX
Windows Phone Developer Dayレポート
iPhone/Android開発者が知るべきWindows Phone 7つの特徴
  Page1
間近に迫るWindows Phoneの日本市場投入
【1】Windows Phone独自のユーザーインターフェイス
Page2
【2】クラウドと連携する6つのハブ

【3】モバイルのプラットフォームとしての展開 【4】Silverlight・XNAベースのアプリ実行&開発環境
  Page3
【5】アプリストア「Windows Phone Marketplace」
【6】開発者コミュニティ「Windows Phone Arch」が発足
【7】後発の利を生かしたバランス感覚に期待


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