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System Insider 編集後記 2002年4月
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4月23日にこれまでのPC Insiderから、System Insiderへとリニューアルさせていただきました。これまでPC Insiderの記事は、そのままのURLで継続してお読みいただけますが、新規の記事はSystem Insiderでの公開となります。これまで以上に役立つ情報を提供していきますので、引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。 なぜIT業界の合併は成功しないのか
Hewlett-PackardとCompaq Computerの8カ月にわたる合併劇がやっと幕を閉じた。その間、両社の関係者のみならず、業界全体を巻き込んで合併のぜひについて論争が行われた。私の周りでも、両社で何か新しい動きがあるたびに話題になったものだ。そこで、多くの人がいうのが「IT業界の同じクラスの会社が合併した場合、成功した例がない」というもの。確かに、これまでも多くの企業が合併・買収を繰り返しているが、企業規模が等しければ等しいほど、その合併はうまくいっていない。 例えば、今回の合併劇で一方の主役を担ったCompaqは、以前のDECとの合併では、結局うまくいかなかった。両社の合併で、Compaqは一時的にシェアを上げ、サービス部門やハイエンド・サーバ部門の取得によってPCベンダから総合コンピュータ・ベンダへの脱皮を果たした。しかしその結果、組織は肥大化し、収益率が大きく下がってしまった。クライアントPCばかりでなく、サーバにおいてもDell Computerに追い上げられ、その結果HPとの合併を選択することになったわけだ。 ほかにも現代電子とLG半導体の合併で誕生したHynix Semiconductorも合併の失敗例といえるかもしれない。現在同社も、メモリ部門の売却を検討するなど、事業の再構築が必須の状況下にある。Hynix Semiconductorの場合、財閥の再編といった国策的な側面があったため、企業合併の失敗例とはいえないのかもしれないが、単純に合併しても事業はうまくいかないという点では、CompaqとDECと同じだ。 まったく成功例はないのかというと、そうでもない。少々古い話になるが、1987年にThomson SemiconducteursとSGS Microelettronicaが合併して誕生したSGS-THOMSON Microelectronics(現、STMicroelectronics)などは成功例といえるだろう。 では、こうした成功例と失敗例の差はどこにあるのだろうか。単純に同じような企業が合併した場合、一時的にシェアが高まるため合併した効果があったように見えるが、その効果は2年ほどでなくなることが多い。2〜3年も経つと、合併前の1社が持っていたシェア程度に落ちてしまう。これは、IT業界の競争が激しいことに加え、顧客が固定しないことが挙げられるだろう。良い製品が出れば、簡単に他社に乗り換えてしまう。それも製品サイクルが短いため、短期間で製品が入れ替わってしまうのだ。顧客が固定しているような業界では、シェアを引き上げることが製造コストの逓減を生み、その結果競争力が向上する、という流れになるが、残念ながらIT業界はそのような構造にはなっていない。ある程度以上の企業規模ならば、多品種をいかに効率よく製造できるかどうかが重要になってくる。 つまり、合併で相乗効果があるかどうかが重要なのだ。Thomson SemiconducteursとSGS Microelettronicaの場合、Thomson Semiconducteursはフランス、SGS Microelettronicaはイタリアと珍しく国籍が異なる企業の合併であった。これにより、商圏がヨーロッパ全体に広がったばかりでなく、国際企業に脱皮し、全世界に対して同社の強みであるロジック系半導体が販売できる体制になったことが大きい。もちろん、合併によって開発部門や製造設備が強化されたことも成功のポイントであっただろう。このように異なる部分がある方が、お互いに補完し合えてうまくいくケースが多いように感じる。 もう1つ重要なのは、企業文化だ。企業も生き物なので、長く営業していると、有形無形のいろいろな文化を生み出す。社員も、その企業の中にいるときはそれほど意識しないのだが、会議の進め方から人事までいろいろなところに独自の企業文化が存在する。企業合併とは、2つの異なる文化を合わせて、新しい企業文化を生む作業でもある。これに失敗してしまうと、いつまでも実質的な合併が行えず、効率の悪い組織のままとなる。こうした企業では、往々にしてタスキがけ人事が行われ、組織間の横の連絡がない、といった症状を引き起こす。CompaqとDECは、まさに企業文化が交わらなかったケースかもしれない。 未だに新生HPの合併を危惧する声も聞かれるが、ぜひとも合併の成功例になっていただきたい。個人的には、「Compaq」のブランドが消えていくのが寂しいが、こうした時代の流れを記録するのもわれわれの役目かもしれないと思う、今日このごろである。
(System Insider 小林章彦) |
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